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富裕層が資産形成期には絶対やらないあの投資手法とは?

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

富裕層が資産形成期には絶対やらないあの投資手法とは?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

自分の得意分野を見極めよう

前回からスタートした「PECDメソッド」の解説ですが、最初の「P」、「PLAN(計画期)」ステップが完了したので、次は「E」ですね。「E」って、何の略ですか?

「E」は「EXPERIENCE(経験期)」のこと。資産運用を成功させるカギともいえる「経験」を積む段階で、資産運用における自分の得意分野は何なのかを、広く体験しながら見極めていく期間なんだ。運用利回りを理解したからといって、いきなり本格的に資産運用をスタートしてはいけないよ。まずは、自分自身が「どのような資産運用の方法が得意なのか」を把握することが必要なんだ。

資産運用にも得意、不得意があるんですね。

テニスの天才プレーヤーが、野球やサッカーなどの世界で必ずしも成功できないように、資産運用でも、株式、為替取引、不動産など、人によって得意分野は異なるんだ。

確かに仕事でも、営業は向いているけれど経理は不向きだったり、資料作成は優秀だけど人前で話すのは苦手だったりと、得手不得手がありますもんね。資産運用でも、得意だと感じるもの、苦手だと感じるものがあるというのも当然か。

とはいっても、自分の向き不向きがすぐにわかるはずはないよね。

そうですね。資産運用の場合は特に。

では、どうすればわかると思う? 

唐突ですね。何かヒントをくださいよ(笑)。

親が自分の子どもにいろいろな習い事をさせてみる。これがヒント。

え? 僕も、「運動の才能があるかもしれない」と、水泳やバレー、野球やサッカーなど、いくつかの種類のスポーツを経験させられましたけど…。

そして、そのなかで芽が出たもの、芽が出そうなものを深掘りしていったんじゃない? 

そうか。いろいろな種類を経験してトライ&エラーすることで、「この子は水泳の才能がある」とか、「この子はピアノのセンスがある」などがわかってくる。資産運用も同じこと、っていう意味ですか?

そう。親がプロゴルファーだから子どももプロゴルファーになる、というような特別な場合を除いては、何も経験させないうちに、子どもの才能を決める親はあまりいないよね。僕たちが資産運用を行うときも、どのような方法が得意で、才能があるのかということを、まずトライ&エラーする必要があるんだ。

なるほど!

まずは大きく分けて株式投資が得意なのか、それとも不動産投資なのか、もしくはレバレッジをかけた為替取引なのかなど、自分自身の才能がどこにあるのかをまず知ること。さらに株式投資に興味があるなら、どんな業種の会社に興味があるのか。建築なのか、ITなのか、アパレルなのか、などによっても、向き不向きが分かれるものなんだよ。

自分に合った資産運用法を見つけるには?

E:EXPERIENCE(経験期)では、さまざまな経験をトライ&エラーするということが必要なんですね。

そうだね。ただしトライ&エラーの前に、株式投資なら株式投資の知識を身につけることが重要。知識を持ったうえで行わないと、運や勘に頼ることになり、得意不得意がわからないよね。

そうですね。そして知識をもとに少額ずつ、さまざまな投資を経験してみるとか?どんなトライ&エラーが理想的ですか?

1万円で投資信託を何種類か買ってみたり、数万円で買える企業の株式を複数買ってみたり、興味のある国の債券を買ってみたり、という具合かな。不動産だって、いくつも買うことは難しくても、不動産を証券化したREITなら少額で何種類かの商品を購入することが可能だよ。このE(経験)のステップで大切なのは、興味のある分野を中心に、いろいろと試して得意分野を探すこと。株式投資が向いていると思ったらものの、値動きが気になってそわそわしてしまうという人は、実はあまり向いていないかもしれないし、為替取引にチャレンジしたものの、いつも思惑が外れてばかり、というケースもあると思う。

いずれにせよ、少額とはいえ自分の大切なお金をリスクにさらして成功と失敗を繰り返すうちに、相性のよい分野が自然とわかってくるということですね。

同時に経験値も積み上がってくるよ。それまでは興味のなかった国際情勢のニュースや、株価や企業の動向をチェックして、知識が深まっていく人もいると思う。

このステップで試行錯誤した経験が、今後の資産形成で最高の武器になるんですね!

そういうこと。一人ひとりの経済状況やライフスタイルによっても異なるけれど、このE(経験)のステップでは、最低でも7種類の運用方法を、6か月間ほどかけて試していくことをおすすめするよ。

わかりました!

これが、富裕層へのプロセス!

EXPERIENCE(経験期)ステップが完了したら、次のステップはPECDの「C」。

そう。「CONCENTRATION(集中期)」。ここは自分に向いている、得意だと判明した運用方法に集中して、大きく「資産を増やしていく」時期を指すよ。前に伝えたけれど、資産運用の常識として広まっている「分散投資」は、リスクを抑えられる反面、増えるスピードも分散してしまう。言ってみれば、ずっとブレーキを踏みながら車を運転しているようなものなんだ。

でも先生、ほとんどの富裕層は分散投資を行なっているのに、資産形成しようとしている僕たちは、なぜ分散投資じゃだめなんですか?

「富裕層が富裕層になるまでに行なっていたこと」と、「富裕層が富裕層になってから行なっていること」が違うからだよ。これはとても大切なことだからくわしく説明していくね。

お願いします!

たとえば、ここに1人の富裕層になった人がいるとする。富裕層という定義は金融資産1億円以上とのことなので、そのくらいの人をイメージしてみよう。

その富裕層の人がどうやってそんな資産を築いてきたのかが気になる~。

ははは。それはさておき、富裕層の人には、大きく分けて2つのパターンがある。1つ目は、医者や弁護士、スポーツ選手や会社経営など、ある1つの高い才能を仕事にして資産を築いた人。2つ目は、並の収入でも、小さな元手から資産運用で資産を築いた人。そのなかでも、2つ目の「仕事で貯めた元手をベースに資産運用で資産を築いた人」が、貧しい時期から富裕層になるまでに何を行なってきたかに焦点を当てると、僕たちが資産形成するうえでの答えがみえてくる。それが、「集中投資」なんだ。

え、まさかギャンブル的に一気に…

いやいや(笑)。経験期でしっかりと自分の得意分野を見つけて、かつ、しっかり知識をつけたうえで集中投資を行ったということ。だからこそ、分散投資よりもはるかに高い利回りを出すことができ、その結果、富裕層になっているんだよ。

そして富裕層になってからは、大きく築いた資産を減らさないために、「分散投資」による資産運用を行っている、ということですね。

そう。こんなふうに富裕層がいま分散投資をやっているからといって、資産形成期である人が分散投資を行っても、富裕層のように資産が増えることはない。「富裕層が富裕層になるまでに何をやっていたか」に焦点を当てて、同じことをやることが大切なんだよ。

でも集中投資には、大きく資産を減らしてしまうリスクもあるのでは?

そうだね。では、富裕層はそのリスクをどのように回避していると思う?

知識でしょうか?

うん。あとスキルもね。自分の得意分野がわかったら、その分野への知識を深め、より多く経験することでスキルを高め、リスクヘッジしているんだよ。

知識とスキル。

そしてもう1つ教えておきたいのは、「リスクに対する考え方」。以前、人生においてお金には、大きく分けて2つのリスクがあると話したよね。1つは「資産が減るリスク」。そしてもう1つが「資産が増えないリスク(お金が足りないリスク)」。リスクというと、僕たちは「資産が減るリスク」ばかりに目がいってしまいがち。だけど、実は収入が上がりづらく、少子高齢化で年金制度が崩壊しつつある今の社会では、将来に「資産が増えないリスク(お金が足りないリスク)」の方が、僕達の背中に大きくのしかかってきているんだ。

最近つくづく、「先延ばしにすればなんとかなる」とか、「会社は国がなんとかしてくれるだろう」という考えが危険だってことがわかります。

そうなんだ。大人として経済的に自立することは、人生の選択肢を広げてくれるもので、一度きりの人生の充実度を変えてくれる。そういう意味でも、「資産が増えないリスク(お金が足りないリスク)」にあらためて目を向けて、第一歩を踏み出すきっかけにしてもらえたら嬉しいな。

わかりました!

2つのものを「集中」させよう!

さて、EXPERIENCE(経験期)で見つけた得意分野を再現性のあるものにして、CONCENTRATION(集中期)で大きく資産形成していくということを伝えてきたけれど、実は、この「集中」の効果は資産運用に限らないんだ。

というと?

たとえば、1つめのタイプとして挙げた、医者や弁護士、スポーツ選手や会社経営など、ある1つの高い才能を仕事にして資産を築いた人も、いわゆる集中投資をしているよね。

そうですね。野球やサッカー、テニス、水泳、医者や経営者など、すべてのジャンルでプロになれる人はいませんもんね。

だよね。幼いころからさまざまなスポーツを経験し、そのなかから野球に向いていると判明した時に、野球にお金、時間、知識を集中させていくことで、一流選手になることができる。

ふだんの仕事でも同じことがいえますね。企画や営業、経理、総務など、すべてにおいて優秀な人はいないけれど、自分の得意分野を発見して、そこに集中することでスキルが上がっていく。人生でもお金でも、「集中」を効果的に活用すべきということか。

なお、資産運用での集中投資には、次の2つの「集中」が存在するよ。

この2つは、どちらも大切で、かつ、お互いを補い合う関係にあるんだ。

どういうことですか?

たとえば、Kくんの得意分野が「株式投資」と判明したとする。そのときに、その得意分野に資金を集中させることで、資金の増えるスピードが上がる。ただし、スピードを上げるということは、事故のリスクなども高まってくるので、しっかりとしたリスクヘッジが必要となる。そのリスクヘッジとは?

知識ですよね。

そう。資金を集中するのなら、しっかりとその分野の知識をつけ、知識の集中を行なったうえでリスクヘッジをし、リスクを限りなく減らしつつ、資金を築いていくということが大切になるんだ。

シンプルだけど、ここはすごく大切なポイントですね。先生、今回もありがとうございました!

まとめ

「PECDメソッド」の「E」はEXPERIENCE(経験期)。この段階は、資産運用における自分の得意分野は何なのかを、広く体験しながら見極めていく期間です。

そしてそのEXPERIENCE(経験期)ステップが完了したら、次は「C」、つまりCONCENTRATION(集中期)。「E」で自分に向いている、得意だと判明した運用方法に集中して、大きく「資産を増やしていく」時期となります。

2つの時期を通して大切なことは、経験期でしっかりと自分の得意分野を見つけ、知識を同時に身につけながら集中投資を行うこと。またその間にはリスクヘッジも行いながらリスクを限りなく減らし、資産を築いていくということが大切です。

次は、「PECDメソッド」の「D」、「DIVERSIFICATION期」について学んでいきます。お楽しみに!