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2024年完全リニューアルのシンNISA、今年絶対しておくべき事は

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

2024年完全リニューアルのシンNISA、今年絶対しておくべき事は

2024年実施予定だった新NISAがシンNISAにバージョンアップ

2023年になり、みなさんいかがお過ごしでしょうか。2022年は大幅な物価上昇があり、皆さんの日々のやりくりにも大きな影響が出た一年でした。

2023年もしっかり家計のやりくりをし、赤字のでないよう注意して過ごしていきましょう。
さて、2022年の最後に大きなニュースが飛び込んできました。NISA制度の大改革です。

NISAとは少額投資非課税制度のことで、一定の範囲内であれば投資で得た収益が一切課税されないという仕組みです。通常なら20.315%という重い税率となっているところ(10万円の投資が15万円に増えても、売却したら約1万円税金を払わなければなりません)、NISAなら非課税で全額を手元に残すことができます。

このNISA、小刻みに改正を繰り返してバージョンアップしてきたのですが、2024年にも小幅な改正予定がありました(実施年月の延長と年2万円の増額等)。

これをすべてご破算にして、いわば「シン・NISA」となって生まれ変わることになったのです。

今回は2024年から始まるシン・NISAの概要と、2023年はどうするべきか、という話をしたいと思います。

シンNISAは資産所得倍増プランの大きな成果

今回のシン・NISA、従来のNISAの使いにくさのほとんどを解消し、さらに大幅な拡充を果たしています。例えば、

●口座の選択
【2023年までのNISA】
つみたてNISAと一般NISAのどちらかを選ぶ
【シン・NISA】
1つのNISA口座の中でつみたて枠、成長投資枠(仮称)に分けて管理(実質2口座同時開設できることに)

●年間拠出枠
【2023年までのNISA】
つみたてNISAが年40万円、一般NISAが年120万円でどちらかを選択
【シン・NISA】
つみたて枠が年120万円と3倍増、一般NISA枠が240万円と2倍増で年360万円まで投資可能

●非課税投資期間と投資上限額
【2023年までのNISA】
つみたてNISAは最大20年(最大800万円)、一般NISAは最大5年(最大600万円)、非課税投資が可能
【シン・NISA】
制度が恒久化され、無制限に非課税投資が可能。NISA口座全体で1800万円まで投資ができる(買付金額で考えるので値上がりして1800万円を超えてもOK。成長投資枠には1200万円の上限あり)

のような感じで、従来の制度がまさに「倍増」といったバージョンアップとなっています。

岸田内閣の掲げる「資産所得倍増プラン」の方向性が具体的な形でひとつ結実したというわけです。

2024年はどうする? 絶対に利用したい口座のひとつに

NISA口座で購入することのできる投資商品はほぼすべて、「NISA口座でなくても」購入することができます。しかし運用で生じた利益が非課税になることを考えれば、NISA口座を使わない手はありません。

上限が大きいので自分には無関係だと思う人もいるでしょうが、上限は気にせず、毎月1万円程度の積立投資をしていけばいいのです。20~30年かけて元本として1800万円を入金する、くらいのイメージを持つといいでしょう。

基本的な利用方法としては「長期・積立・分散投資」という投資のベーシックな方法を使うといいでしょう。まず「長期」については短期的には株価が下がることがあっても長い目でみて儲かったときにしか売らない(むしろ値下がり時期は安く新規購入できるチャンス)と考えてみてください。現在のつみたてNISAが設定していた20年くらいを視野にいれておきたいところです。

毎月少額からの「積立」投資は無理なく少しずつ資産を増やしていく重要な方法です。自動的に引き落としをさせてお金を投資に積み上げていきましょう。

「分散」も大事です。成長投資枠では個別企業の株を買うこともできますが、つみたて枠では投資信託の定額購入が前提となっています。投資信託はたくさんの企業、たくさんの地域を対象として投資をすることができます。これを利用し、世界の経済全体の上昇をみなさんの収益に変えていくような投資をしてみたいところです。

2024年は、資産運用をするならシン・NISAを活用することが必須といってもいいでしょう。

2023年はどうする? 未開設の人も口座を作って利用してみよう

もうひとつの問題は「今年」です。2024年からシン・NISAがスタートすることが分かっていて、現在のNISA制度は終了することが決まっているのに、あえてNISAをやる必要はあるのでしょうか。

答えは簡単です。「2023年も、できる限り現行のNISAを活用しよう」です。

2つの理由があります。1つは「2023年に投資をしたNISAの非課税投資分は、2024年以降のシン・NISAと別でカウントする」からです。別のNISA制度として管理されることになるので、2023年に積み立てた分、非課税枠が増えることになります。

そもそも、2023年にできる非課税の投資は現在のNISA制度しかありません。つみたてNISAなら2042年末まで、一般NISAなら2027年末まで、その投資を非課税で続けることができます。ぜひ利用したいところです。

2つめの理由は「投資デビューは早くしておいたほうがいい」からです。2024年になったら始めよう、のように考えるくらいなら、月5000円(あるいはそれ以下でもいい)からでもいいので積立投資デビューし、実経験をしておくことをオススメします。

どんなにたくさん書籍を読んだとしても、例え少額でも投資を実際にやってみる経験には代えられません。本格的に投資をするのは2024年から、としても今からやってみるほうがいいでしょう。

また、手続き(マイナンバーの書類提出などが初回に必要)がちょっと大変なので、面倒なことはさっさと済ませておくほうがいいと思います。

すでにNISA口座を開設済みという人は、今の積立投資等を継続してください。まだ未開設という人はぜひ今年のうちにNISAで投資デビューをしておきましょう。

2024年以降、シン・NISAが国民の資産形成を支える制度になる

入金額で1800万円までの投資元本が運用できるということは、運用収益を上乗せすればこれを大きく上回ることになります。

仮に30年をかけて1800万円積み立てるとすれば毎月5万円になります(実際にはボーナス併用ができるので月2万円+ボーナス月18万円のような設定も可能)。これに年4%の収益が上乗せされたとすれば、なんと30年後の受け取り額は3470万円です。これが全額手元に残るわけです。これはつまり、「老後に2000万円」を十分にカバーできる非課税投資枠があるということです。

また途中で一部分を売却した場合(教育費等に使うなど)、その分の非課税投資枠は翌年に復活して「1800万円まで非課税投資できる」状態は続きます。これもシン・NISAが大きく便利になるところです。

NISA制度は今回の大改革をもって国民の資産形成を支える制度として確立されることになるでしょう。ライフプラン3.0世代においても、資産運用を考えるとき、シン・NISAを利用することが必須アイテムということになるはずです。

2024年が楽しみになってきましたし、2023年のうちに現状のNISA制度を上手に活用してみたいところです。

なお今回のNISA制度改正は、自民党の令和5年度税制改正大綱をもとに解説しています。2023年の通常国会で法案の提出、成立を目指すものであり、まだ完全に確定したわけではありません。最新情報を適宜チェックしてみてください。

 

※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。