「資産形成」みんなやっているの?世代ごとの違いや特徴を調査
目次
変化の激しいデジタル時代において、人々の「お金」に関する意識や価値観、行動はどのように変化しているのでしょうか?
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営する「マネーインサイトラボ」では、お金に関する調査・研究を実施し、その結果をご紹介しています。
今回のテーマは「資産形成に対するイメージと実態調査」です。
Z世代(18~26歳)、Y世代(27歳~42歳)、X世代(43~58歳)に分けて、資産形成に対するイメージや実際に保有している金融商品などを伺い、世代ごとの特徴などを探ってみました。
それではさっそく結果を見てみましょう。
「資産形成」と聞いてイメージするものTOP3は「投資信託」「株式」「普通預金」
様々な金融商品の中から「『資産形成』と聞いてイメージするもの」を最大3つまで選択してもらったところ、どの世代も「投資信託」を選んだ方が一番多く、次いで「株式」が多い結果となりました。
資産形成には「貯蓄」と「投資」の2つの方法がある中、多くの方はどちらかというと「投資」を強くイメージしていることが伺えます。しかしZ世代は「貯蓄」の手段である「普通預金」を選んだ人も比較的多いようです。
同データから「普通預金」と「定期預金」の結果を比較してみてみましょう。世代別に割合の大きさを見てみると、X世代は「普通預金<定期預金」、Y世代は「普通預金≒定期預金」、Z世代は「普通預金>定期預金」となっています。かつて定期預金の金利は6~8%ほどあったため、X世代の中には「定期預金に預けておけばお金が増える」という印象を持った人が一定数いることが推測できます。一方で生まれた時から低金利だったZ世代は「定期預金に入れてもお金は増えない」というイメージを持っていたり、「そもそも定期預金になじみがない」という人が多く、その世代間の違いが今回の結果に表れているのではないでしょうか。
イメージでは投資信託や株式が多いものの、実際に保有しているのは…
それでは、みなさんが持つイメージと実態に差はあるのでしょうか?
「資産形成の目的として実際に保有・購入しているもの」を伺ったところ、全体で最も多かったのは「普通預金」。次いで「投資信託」「定期預金」と続きます。
一方、イメージに関する調査で2番目に多かった「株式」を保有している人は少なく、最も保有率が高いX世代でも20%を切っています。「資産形成」といえば「投資」を強くイメージするものの、いざ自分がやってみようとすると「株式」にはなかなか手がでない方が多いのでしょうか。その理由は「投資信託に比べると比較的リスクが高い」「知識が不足しているためハードルが高い」などが考えられます。
毎月積立している?
続いて、「毎月積立、または購入しているもの」について調査したところ、Z世代の4割、X・Y世代の半数以上が何らかの金融商品を毎月積立(または購入)していることが分かりました。
積立している具体的な金融商品を世代別に見てみると、Z世代で最も多かったのは「普通預金」、X・Y世代で最も多かったのは「投資信託」でした。緊急予備資金がある程度貯まっているX・Y世代は普通預金での貯蓄から投資へシフトしていることが伺えます。一方Z世代は、まだ預金残高が十分でなく、まずは預金で緊急予備資金を蓄える段階の人が多いのではないでしょうか。
ポストコロナを見据えた2023年、積立額を増やす意向あり?
ようやく「ポストコロナ」が垣間見える2023年、世界情勢が不安定で値上げも相次ぐ中、みなさんの貯蓄・投資意向に変化はあるのでしょうか。
毎月何らかの金融商品を積み立てている人の中で、「今年は金額を増やそうと思っている(増やしている)」と答えた人は37.5%と、全体の4割程度でした。また「変わらない」と答えた人は59.4%。この結果を踏まえると、外部環境が不安定な中でも、ほとんどの方が将来に向けて資産形成をしたいという意向は変えていないようです。
特にZ世代に注目してみると、「増やそうと思っている(増やしている)」と答えた人は50%以上。他の世代よりも多い結果となりました。
続いて、増やそうと思っている人・増やしている人の背景を探ってみましょう。
全体では「気持ちの変化や節約志向の高まり」により増やそうと思っている人が多いですが、Z世代の「目標ややりたいことができたため」と答えた方が他の世代よりも多い点にも注目です。収入の変化に加えて、目標ややりたいことが資産形成のモチベーションになっていると考えられます。
資産形成に関する情報源、多くは「ニュースアプリ」から。「インフルエンサー」の影響も
2022年4月から高校で金融教育がスタートしたものの、学校で習ってこなかった世代の人達は、現在どのように資産形成に関する情報を得ているのでしょうか。
全体の約4割は「情報源はない」と回答したものの、様々なソースの中で最も多かったのは「金融系の情報ニュースアプリ、サイト」。スマホで気軽に検索できるため、活用している人が多いと考えられます。
また最近はYouTubeやInstagram、TwitterなどのSNSでも活発に情報発信されていることから「インフルエンサー」から情報を得ている人も少なくありません。意外にも、デジタルネイティブと言われるZ世代だけでなく、X・Y世代もインフルエンサーが発信する情報を参考にしているようです。またZ世代はインフルエンサーと同等程度に家族からも情報を得ていることが多いことが分かりました。
以上が今回の調査結果です。
多くの人にとって、「資産形成」とは「投資信託」や「株式」といった値動きのあるリスク商品のイメージが強いようです。しかしその実態はイメージとやや異なり、世代によって差はあるものの、依然として「普通預金」や「定期預金」のほうが多いことが分かりました。この結果から、「投資」、とりわけ「株式投資」に対する障壁の高さを推測できます。それは単に「貯金ができていない」だけでなく、「手続きの面倒臭さ」や「金融知識不足」に加え、「リスク商品に対する不安」なども要因なのではないでしょうか。
しかし、資産形成とは「将来に向けてお金を準備すること」、言い換えれば「長い期間をかけて少しずつお金を増やしていくこと」です。預金の金利では物価の上昇分を賄えなくなった今、投資の必要性もますます高まっています。長い期間をかけてリスクとうまく付き合いながら少しずつ増やす「長期投資」はこれからの資産形成で重要になってくるでしょう。まずは、ニュースアプリやインフルエンサーからの金融系情報をうまく活用しながら、少額からでも投資を始めてみてはいかがでしょうか。
また、金融教育の開始や2024年のNISA改正をきっかけとして、貯蓄から投資へシフトしていく人が少しずつ増えることも期待されます。マネーインサイトラボでは、今後も人々の意識や動向の変化を探っていきたいと思います。
【調査概要】
・調査対象:Z世代(18~26歳)、Y世代(27歳~42歳)、X世代(43~58歳)
・調査集計期間:2023年3月3日(金)~3月13日(月)
・調査機関:iBankマーケティング株式会社
・調査方法:Wallet+でのアンケート調査
・有効回答数:1,200サンプル(Z世代400名、Y世代400名、X世代400名)
【マネーインサイトラボについて】
マネーインサイトラボは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営するお金に関する調査・研究組織です。デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化や、新しい金融サービスの可能性について新たな視点を見出すことを目的に活動していきます。