憧れの銘柄も1株から買える⁉新NISAで注目の「ミニ株」とは
監修・ライター
通常の株式投資は100株単位ですが、ミニ株(単元未満株)を利用すると1株や10株など少ない株数と金額で株式投資が可能です。2024年の新NISA開始に向け、ネット証券各社はミニ株のサービスに力を入れています。この記事では、ミニ株の仕組みとメリット・デメリットについて解説します。
株式を買うのに必要な金額
新聞などでよく目にする「株価」とは、その銘柄の「1株」の値段であり、通常は「100株単位(単元株)」での取引が基本です。加えて、取引手数料も必要になるため、株式の購入に必要な金額は以下のように計算できます。
- 株式の購入に必要な金額=現在の株価×購入株数(通常は100株単位)+取引手数料
例えば、株価が1000円で100株購入すると、
1000円×100株=10万円
これに取引手数料がかかります。
1000円でも買える!?1株から購入できるミニ株(単元未満株)とは
証券会社によっては、単元株より細かい単位で取引できるミニ株があります。これらを使うと、1株や10株など少ない株数と金額で株式投資をすることができます。例えば株価が1000円なら1株1000円で株式を購入できるのです(手数料は考慮せず)。
ただし、ミニ株は株式総会での議決権がなく、株主優待も受けられない場合があるので、取引前には必ず確認が必要です。また、保有株数に応じた配当は受け取れますが、通常の株式投資と取り扱いが異なることもあります。
ミニ株のメリット
ミニ株を利用すれば、通常の株式投資の100分の1の金額から投資できます。つまり、多くの株式に分散投資しやすいため、リスクを抑えた運用が可能です。
また、少額での投資なので株価が下落した時の損失を最小限に抑えることができます。これまで、損失が怖くて株式投資を始められなかったという初心者も、リスクを抑えて投資を始められるというメリットがあるのです。
ミニ株のデメリット
ミニ株は証券会社が独自に取り扱っています。ですから、株式を購入するにはあらかじめ取り扱いがあるかどうかの確認が必要です。また、売買の時間が決まっている証券会社が多いので、自分が希望する値段で購入できない可能性があります。
楽天証券が「ミニ株」参入
2024年から開始される新しい「少額投資非課税制度(NISA)」に向け、ネット証券各社は「ミニ株」と呼ばれる単元未満株のサービスに力を注いでいます。例えば楽天証券は4月17日からミニ株(単元未満株)取引サービスの「かぶミニ」の取り扱いを始めました。またSBI証券やマネックス証券なども顧客獲得のキャンペーンを行っています。
「ミニ株」を利用することにより、リスクをためらう初心者や収入の少ない若年層が少額のお金でも株式投資をすることができ、貯蓄から投資へのステップアップを後押しすることが狙いです。
楽天証券は新規口座開設者の半数以上が30代以下で、楽天市場などでためたポイントを活用して株式投資する若年層も多いことから、ミニ株のサービスに親和性が高いと考えています。
これまで多くの若年層は投資信託を購入していましたが、新しいNISAを前に、ネット証券各社は現物株の顧客層を拡大する計画です。SBI証券は、最大3カ月分の売却手数料を無料にするキャンペーンを2023年6月末まで実施しており、マネックス証券もキャンペーン期間(4月3日~5月31日)にエントリーをし、初めてミニ株(ワン株)を買付したら、証券総合口座に200円をプレゼントするキャンペーンで顧客獲得を狙っています。
〈SBI証券、楽天証券、マネックス証券のミニ株(単元未満株)サービス〉
※約定・・・証券会社に出した株の売買注文が成立すること
米国株は1株単位で購入可能
米国株は1株単位での取引が基本です。例えば、アップル株は1.5万円程度、マイクロソフトは3万円程度で購入可能です(2023年4月時点)。日本株に投資するより少ない金額で米国の有名企業の株式に投資できるのです。
東京証券取引所は、企業に株式分割を促すなどして最低取引金額の引き下げを呼びかけています。それに応じて「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング(9983)は3月に1株を3株に分割しましたが、それでも100株購入すると300万円を超えます。また、同じく3分割した東京エレクトロン(8035)の最低投資金額も150万円を超えているのです。
日本株の最低投資金額は依然として高いのが現状です。今後株式投資の顧客層を拡大するためには、ミニ株制度のさらなる充実と普及が望まれます。