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株や投資信託、1つにまとめた方がいい?複数口座管理のデメリットは?

FPにききたいお金のこと 中村 賢司

株や投資信託、1つにまとめた方がいい?複数口座管理のデメリットは?

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複数の金融機関や証券会社で投資信託や株を保有されている場合、管理が大変ですよね。今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、複数の金融機関で運用している20代女性からのご相談です。証券口座は一つにまとめた方がいいのでしょうか?メリット・デメリットなどを紹介していきます。

20代女性からの相談

現在投資信託や株を運用しています。キャンペーンなどの特典目当てでさまざまな金融機関(銀行、ネット証券など)で少しずついろんな銘柄を運用しているのですが、資産管理のためには1つの口座にまとめておいた方が良いのでしょうか?まとめる場合、1度売却して再び購入するとなるともったいない気がして、そのままにしています。うまく管理できる方法はあるのでしょうか。アドバイスいただきたいです。

複数の金融機関・証券会社を使うメリット・デメリット

証券口座を銀行やネット証券など複数の金融機関で保有されている場合、保有している投資信託や株の現状を確認するには、それぞれのホームページにログインする必要があります。これでは資産管理が大変ですね。

さらに損益通算を行う場合、それぞれの金融機関から発行される年間取引報告書を元に自分でまとめて計算しなければいけません。確定申告の面からも証券口座は1つにまとめておく方が、管理が楽になります。

しかし、デメリットばかりではありません。

証券会社や銀行によって取り扱う金融商品が異なります。投資信託や債券などご自身が投資したい金融商品を取り扱っている金融機関ごとに口座を持つことはメリットともいえるでしょう。

また、一般的にネット証券の方が株取引の手数料は割安です。よって株取引をするメイン口座はネット証券、その他の金融商品を購入するサブ口座は最寄りの銀行でといった方法で使い分けることで、購入できる金融商品の選択肢が増え、管理もしやすくなるでしょう。

1つの証券口座にまとめた方が資産管理はしやすい

PCで作業する女性
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1つの証券口座にまとめた方が資産管理はしやすくなります。証券口座の種別が特定口座の場合、金融機関が1/1~12/31まで1年間の年間取引報告書を発行してくれるので損益通算が一目で分かります。

「源泉徴収あり」を選択していると確定申告は必要ありませんが、損益の状況によっては確定申告をした方が良い場合もあります。証券口座を1つにまとめていると年間取引報告書をみれば一目瞭然で、1年間の損益がすぐに分かりますが、もし複数の金融機関を使っている場合、それぞれの金融機関から発行される年間取引報告書をみて、ご自身で損益通算の計算をしなければいけません。

また、それぞれの金融機関でIDやパスワードを管理しなければいけませんので、その管理も大変になります。

証券口座がひとつであれば、ご自身の資産状況も該当口座のwebサービスにログインすればすぐに把握できますし、年間の取引状況も金融機関がまとめてくれるので大変楽です。

株や投資信託の移管は売却しなくても可能

では1つの金融機関に口座をまとめる場合、保有している投資信託や株は1度売却しないといけないのでしょうか。

いえ、その必要はありません。

投資信託や株は、売却せずに証券会社を移管させることが可能です。この場合、証券保管振替機構(ほふり)の振替制度を利用します。移管元の金融機関に、移管先の金融機関を告げて所定の手続きを行ってください。

ただし移管には手数料がかかります。投資信託の銘柄数や、保有している株数に応じ、金融機関ごとに手数料が設定されていますので、移管する際には事前に確認してください。

資産管理を一元化できるアプリの活用

資産管理
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証券口座をひとつにまとめなくても資産管理を一元化できるアプリを利用する方法もあります。

頻繁に売買をしない人や積み立て投資をしている人であれば証券口座ごとの損益通算をしなくても良いので、複数の金融機関で保有している投資信託や株はそのままにしておいて、アプリで管理するという方法も良いでしょう。

アプリによっては無料プランでも無制限で証券口座や銀行口座を連携させることも可能です。また、クレジットカードや電子マネー、iDeCoなどの確定拠出年金まで連携できるサービスもあります。

移管手続きが面倒な方は、こういったアプリを利用する方法もあります。

まとめ

今回のご相談は、証券口座は1つの口座にまとめておいた方が良いのかということでした。結論から申し上げると、資産管理方法が楽になるので、まとめておいた方が良いでしょう。

まとめる場合、売却して再び購入する必要はありません。手数料はかかりますが、移管制度を利用することで投資信託や株を保有したまま証券会社を変えることができます。

ただし、NISA口座で運用している投資信託や株は、移管すると一般口座か特定口座預りになります。この場合、売却時に非課税とはなりませんのでご注意ください。NISA口座で購入したものはそのままにしておく方が良いでしょう。非課税期間が終了した後、移管するという方法もあります。

最近ではアプリを活用することで資産管理を一元化できるので、金融機関ごとのキャンペーンや取扱商品の多様性などを重視する方は、1つにまとめるより、アプリで管理する方法をおすすめします。

いずれにせよ、現在の資産状況を一目見て確認できるようにしておいた方が便利といえるでしょう。