資産運用、必要と思うが元本割れが怖い…国債はどう?/FP相談
今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、資産運用をどうすべきか迷っているMさん(40代)からのご相談です。
40代男性Mさんの相談
現在40代で、将来の貯蓄が不安です。銀行の金利は低いし、NISAは損しそうで怖いので金利が良い日本国債を買おうか迷っています。アドバイスしていただけませんか?
個人向け国債のメリット・デメリット
将来のための資産形成の方法を迷っておられるのですね。おっしゃる通り銀行預金だけでお金を増やすことは難しく、悩ましいですよね。NISA制度を活用して投資信託などで運用するにも元本割れのリスクが気になるというお気持ちも分かります。
金融商品にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、ここでは、日本国債(個人向け国債)と投資信託の違いを整理しながら、Mさんに参考にしていただけることを記してみようと思います。
まず、個人向け国債は3年満期、5年満期、10年満期の3種類があります。3年と5年は固定金利となっており、10年は変動金利です。今後、金利が上昇すると予想されるときは、固定金利より半年ごとに金利が見直される変動金利がおすすめです。
利子は、半年に1度支払われます。長らく最低利率の0.05%が適用されていましたが、最近は日銀の方針変更があったことから変動10年は0.33%(第156回債)へと上昇しています。
個人向け国債のメリットは、何といっても元本が保証されていること。満期まで保有する場合はもちろん、中途解約でも同様です。デメリットは、1年経過後からしか中途解約できないことや、ペナルティとして直近2回分の利子相当が差し引かれるということです。
また、一般的な預貯金より金利は高いですが、そうはいっても小数点以下の金利ですので、あまり増やせません。特に今のようなインフレ下では、お金の価値が目減りしてしまいます。直近で発表されている1月消費者物価指数(総合)は4.3%。この状況がずっと続くとは考えにくいですが、コロナ前でも0.8%(2019年12月)の物価上昇だったことを考えると、インフレリスクを考えて資産運用をすることも大切といえるでしょう。
投資信託のメリット・デメリット
投資信託は、インフレに強いとされる株式等に分散投資ができます。個人向け国債より高い利回りが期待できる点はメリットといえます。デメリットは元本保証ではないこと。ただ、個別の株式投資と違い、多くの企業等に分散投資できるため、少額から日本や世界の株式などに投資できる=経済を丸ごと買える、のが特徴です。
また、投資信託は、株式だけではなく価格変動が緩やかな債券に投資した銘柄もあるため、株式と債券を組み合わせた運用も可能です。さらに、リスクを抑えるために積み立てでコツコツと投資をし購入価額を平均化させる方法もあります。
金融庁のつみたてNISAに関するHPでは、つみたて投資を5年、20年した場合の実績が示され、長くコツコツと積み立てると元本割れのリスクが少なくなることが記されています。過去の実績ですし、元本割れがないと言い切ることはできませんが、長期のデータですので参考にしてよいでしょう。
なお、つみたてNISAで投資できる銘柄は、投資信託の中でも長期的な資産形成に向いている一定の基準を満たしたものでなければならないルールがあります。そういうことから、初心者でも始めやすく、おすすめです。
個人向け国債と投資信託の配分を考えてみる
Mさんがお考えの個人向け国債で資産形成をするのも方法の一つですが、もう少し資産を増やすことを意識されたいなら、NISAを活用した投資信託の運用を検討してみましょう。元本割れを心配されていますので、例えば、検討している資金のうち半分を個人向け国債、残りの半分をつみたてNISAでコツコツ積み立てるのはいかがでしょうか。それでも気になるようなら、つみたてNISAを2~3割に引き下げても良いかもしれません。
まとめ
筆者は、一般に資産運用を取り入れた方が良いと考えますが、将来のために貯蓄が順調ならマストではないとも思います。また、投資に回す金額もひとそれぞれです。無理のない範囲で検討してみましょう。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。