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50代独身、突然退職することに。貯金少なく老後資金準備は手遅れ?

うちの家計簿 世継 祐子

50代独身、突然退職することに。貯金少なく老後資金準備は手遅れ?

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は会社員50歳女性、Mさんの家計簿です。思わぬ失職によって資金面で老後の不安があるというご相談です。

50代会社員女性Mさんの相談内容

勤めていた会社の経営が悪化し、会社からの勧めもあって、条件等いろいろ考えた結果退職することにしました。定年まで働こうと思っていたこともあり、これから求職活動をすることに不安があります。また今回、仕事を失って、貯金が少なすぎることに気が付きました。もう手遅れでしょうか。

Mさんの家計簿は・・・?

手取り21万9000円。貯金は合計1万8230円、手取りの8.3%を貯金しています。会社からの推奨で退職する予定です。現在の貯金額は120万円です。

もう手遅れ⁉これからどうしますか    

Mさんから、これからのお金のことは「もう手遅れだと思っています」とのお話がありました。確かにMさんのように予期せぬ退職をすることになり、思うようにお金も貯まっていない中、次の就職先が決まっていないと、とても不安な気持ちになると思います。いわゆる「お先真っ暗」と感じてしまうかもしれません。

しかし、これからできること、考えることはまだたくさんあります。「お先真っ暗」と思っても人生は続いていきますし、手遅れだと思っても明日はやってきます。そして家計、お金の管理は一生続きます。まずはあきらめず、これからできることを始めていきましょう。

緊急予備資金の準備はできています

Mさんの家計簿の手取りから貯金を引いた生活費は20万円です。現在の貯金額は120万円なので20万円の6倍、生活費の半年分は貯金ができていました。今回のように、人生には自分ではコントロールできない「リスク」があります。そのような「リスク」に直面したときも半年分の生活費が貯金できていると安心できます。今後も生活費の6カ月分を「緊急予備資金」として確保しておくようにしましょう。

失業手当等、新しい仕事につくまでの経済的な支えになる制度を利用しながらまずは再就職を目指しましょう。この就職活動中に、自分のお金の使い方とも向き合って頂ければと思います。

Mさんの「ねんきん定期便」からわかること

ねんきん定期便
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Mさんの「ねんきん定期便」の老齢年金の見込み額を確認すると65歳からの老齢年金の見込み額は13万円程度と記載されています。ただしこの数字は現在の年金加入制度に60歳まで継続して加入した場合の、65歳から受け取れる見込み額です。これからの働き方の変化に応じて、年収が変わる可能性もありますし、60歳以降も働いて厚生年金などに加入し続けるかもしれません。その場合、将来の年金受取額も変わってくることを理解しておきましょう。
「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)

将来の老齢年金の受取額を増やすには、国民年金に40年間加入し「老齢基礎年金」を満額受け取ることに加え、60歳以降も働くことで厚生年金に加入し「老齢厚生年金」の受取額を増やす方法などがあります。年金の受け取り時期を遅くする「繰り下げ」などの方法もありますが、まずは65歳から受け取れる年金額を正しく知ることが大切です。

日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すると自分の年金情報をいつでも閲覧できます。また、この「ねんきんネット」の中の「年金見込額試算」を利用すると、働く年齢と年収に応じた将来の年金額を簡単に試算することができます。これから転職先を検討する際に何歳まで働けるか、年収見込み額など雇用情報を確認し入力すると将来の年金見込額も簡単にチェックできますので試算してみましょう。

誰かに試算してもらうのでなく自分の目で年金情報を確認し、今後の収入見込みなどを入力し自分で判断していくことがとても大切です。自分の働き方、暮らし方、お金の使い方は自分で決めることができます。自分の年金と向き合ってこれからの働き方を検討してみましょう。

住まいの費用の考え方

積まれた段ボール
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現在、Mさんの家賃は家計の32%以上を占めています。住まいの費用はできるだけ30%以内に抑えることを検討してください。必ず毎月かかるお金、「固定費」の一番高額になる費目が「住まいの費用」です。現在の年金見込額13万円で生活が十分できる見込みが立っていればいいですが、仮に13万円から現在の家賃7万1000円を引くと、残りは5万9000円です。5万9000円で生活できる自信がない、今だけでなく老後の生活費にゆとりを持ちたいと考えるのであれば、将来の自分のためにお金を貯めておく必要があります。

将来はご実家に戻って生活することを検討されているとのことですが、ご実家のリフォーム費用の捻出や、何らかの理由でご実家に戻ることができないことも考えられます。住まいの費用は一度決めると長期的に一定の金額がかかってしまいます。新しい勤務先を検討する際に、転居等も含め住まいの費用のコストカットをご検討ください。

仮に家賃を収入の30%にあたる6万5700円に抑えられれば、毎月5300円を貯金にまわせます。収入の3割以下で住まいの費用を捻出することを検討ください。

65歳までにいくら貯めたいか目標を決めることから

今までは先に支出をし、余ったら貯金をされていたようですが、これからは、収入が無くなる老後に向けて、年金に加えていくら必要かを考え、不足分を貯めていくことを考えましょう。22歳から50歳までの年収が360万円だったとすると、今までに1億円以上の収入があったことになります。仮にそこから手取りの15%の3万2850円を貯めていたとすると、3万2850円×12カ月×28年で1092万円貯まっていた計算になります。

お金は他の誰でもなく、自分で使い方を決めることができます。これから何にお金を使いたいか、支出に優先順位を立て、年金開始時期の65歳までにいくら貯めたいか考えてみましょう。

貯める金額を明確にすることで資産形成の計画も立てやすくなります。Mさんは友人との旅行が満足支出となっていますので、将来も旅行を継続できるようまずは自分で目標額を検討してみることから始めましょう。

アドバイスを受けたMさん談

家計簿は付けていたのですが、ただ付けるだけになっていて見返していませんでした。年収が400万円近い時もあったのですが、収入が多くなればその分なんとなく使ってしまっていました。今までで1億円近い収入を得ていたとは驚きです。

目的を持たずに貯めることはできないけど、65歳以降も旅行は楽しみたいので、楽しみのためにムダ遣いを見直そうと思います。まず先に貯める金額を決めるようにします。

家計簿診断を終えて

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「Wallet+」のアプリ内で、目的ごとに自由にお金を貯めることができる「目的預金」機能を利用し、貯めるお金を引き出しにくくするのも良い方法だと思います。まずは半年でも、目標金額に向けて計画的に貯められるようになると、自分の家計管理に少しずつ自信が持てるようになります。これからできることを一つ一つ達成していきましょう!これからです!