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NISA の利用率はどれくらい?新NISAの認知度も調査

マネーインサイトラボ

NISA の利用率はどれくらい?新NISAの認知度も調査

変化の激しいデジタル時代において、人々の「お金」に関する意識や価値観、行動はどのように変化しているのでしょうか?
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営する「マネーインサイトラボ」では、お金に関する調査・研究を実施し、その結果をご紹介しています。

今回のテーマは「NISA・つみたてNISA(少額投資非課税制度)の利用実態」です。
年々NISA口座開設数が増えていますが、実際どのくらいの人が利用しているのでしょう。また2024年1月スタートの新NISA はどのくらい認知されているのでしょうか。

それではさっそく結果を見てみましょう。

NISA・つみたてNISAの利用割合は全体の3割

はじめに、NISA・つみたてNISAの利用状況を伺いました。

利用している人は全体の約30%。どの年代も未利用者の方が多く、X世代(43~58歳)、Y世代(27歳~42歳)、Z世代(18~26歳)の順に利用率が下がっています。また「知っているが、利用していない」「知らない・よく分からない」と答えた方を合わせると全体の半数以上に。

特にZ世代は利用率が19.3%と他の世代と差が開いています。また約4割が「知らない・よく分からない」と回答しており、認知度も低いことが分かりました。

新NISA、認知度はどれくらい?利用状況に影響を与える?

NISA利用者のNISA改正の認知度は8割

2024年1月の改正では、年間投資上限額が最大360万円まで引き上げられます。現行のNISAの年間投資上限額は、一般NISAで120万円、つみたてNISAで40万円ですので、上限額が大きく拡大する形に。

そこで、NISA利用者に対し、2024年1月のNISA改正後の利用額の意向を伺ったところ、約3割の人が「改正をきっかけに利用額を増やそうと思っている」と回答しました。また「改正されることを知らない」と答えた人を除くと、8割以上が改正されることを認知していることが分かります。

NISA未利用者の利用意向は1割台

一方で、NISA未利用者にも改正後のNISAについて伺ってみると、改正することを認知している人は全体の6割程度と、やはりNISA利用者と比較するとその認知度は低いようです。また「利用(または再開)したいと思った」と回答したのは全体の14.5%に留まり、どの年代も同程度の割合となりました。

2024年の改正内容、魅力を感じたポイントは?

2024年1月の改正内容は年間投資枠の拡大だけではありません。現行のNISAではできなかったつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能に。また非課税保有期間は無期限化、制度も恒久化され、非課税保有限度額が1800万円に設定されるなど、大幅な刷新となっています。

そこで、「制度改正をきっかけにNISAを利用したい、または利用額を増額したい」と思った人にどの改正内容が魅力と感じたのか調査しました。

その結果、多くの人が選択したのが「非課税保有期間の無期限化」と「年間投資枠の拡大」。現行のNISAは一般NISAで5年、つみたてNISAで20年と非課税で保有できる期間に限りがあるため、「いつまでも非課税で保有でき、いつでも好きな時に解約できる」点を魅力に感じた人が多い結果となりました。

特に年間投資枠の拡大はX世代の割合が高く、X世代にとっては、長期投資よりも比較的短期でまとまった運用ができる点が好感だったようです。その表れとして、「つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能」な点もX世代の割合が高く、逆に「口座開設の恒久化」は他の世代よりも低い結果となりました。

依然多いNISA未利用者、何がハードルを上げている?

NISA未利用者で「改正しても利用したいと思わない」「まだ分からない」と答えた人にその理由を伺ってみました。

最も多かったのは「自分の知識が足りないから」。次いで「仕組みが分からないから」という答えも多い結果となりました。改正内容の是非よりも、自身の投資に対する知識や制度に対する理解不足が障壁となっているようです。


以上が今回の調査結果です。

NISA口座の開設数は若年層を中心に年々増加していますが、依然としてNISA未利用者の方が多いのが現状です。
日本証券業協会のレポートによると、NISAのモデルとなった英国の制度「ISA」は制度恒久化後に残高と口座数が大きく伸びたといいます。NISAも2024年1月の改正で恒久化されるのをきっかけに、今後さらに口座開設数と残高が伸びていくことを期待したいところです。

しかし制度を整えるだけでは知識不足や理解不足の障壁は崩せません。金融機関等による分かりやすい情報提供、金融教育の本格化など制度自体への理解をより促進させるための施策が今後の課題となりそうです。

【調査概要】
・調査対象:Z世代(18~26歳)、Y世代(27歳~42歳)、X世代(43~58歳)
・調査集計期間:2023年3月3日(金)~3月13日(月)
・調査機関:iBankマーケティング株式会社
・調査方法:Wallet+でのアンケート調査
・有効回答数:1,200サンプル(Z世代400名、Y世代400名、X世代400名)

【マネーインサイトラボについて】
マネーインサイトラボは、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行とiBankマーケティングが共同運営するお金に関する調査・研究組織です。デジタル時代における、人々のお金に関する意識・価値観・行動の変化や、新しい金融サービスの可能性について新たな視点を見出すことを目的に活動していきます。