子供名義の口座で貯蓄、贈与税はかかる?回避する方法は?
待ったナシの少子化対策。政府は子育て世代を支援すべく様々な制度設計の見直しを行っています。それに伴い社会保険料や税金などの負担増も見込まれています。
子どもの大学費用や将来のために貯蓄をしている家庭や、子供がもらったお年玉を貯蓄している家庭も多いと思います。そこで気になるのが贈与税。せっかくの貯蓄に思いもよらない税負担を強いられるといった展開は避けたいところです。今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、子ども名義の口座でコツコツ貯蓄をしている女性Mさんのご相談です。
30代女性Mさんの相談内容
未就学の子どものために、数年前から子ども名義の口座で貯蓄をしています。自分たちの貯蓄以外に、祖父母からもらったお祝いやお年玉などもこの口座に入れています。「子ども名義の口座は贈与税がかかるケースがある」と聞き、自分たちは当てはまらないか不安になりました。どのような場合に課税されるのでしょうか?また注意点などあれば教えてください。
子ども名義の口座預金、親が管理するなら贈与税の対象外
「子どもの将来のために」と親が子どもの名前で銀行口座を作ることはよくあります。その理由としては「生活費などと別で管理したいから」というものが多いようです。
この場合は子ども名義ではあるものの親が管理している状態なので、実質は親の財産とみなされます。つまり、「子どもへ贈与している」とはみなされないため贈与税は課税されません。よってお年玉などを口座で管理している間は贈与税の心配はしなくて良さそうです。
一方、親が死亡した際は、子ども名義の預金も親の財産とみなされ、相続税の対象となる可能性があります。なお贈与税、相続税にはそれぞれ以下のように基礎控除があります。仮に課税対象となっても、非課税の範囲内で収まる場合もあります。
<贈与税・相続税の基礎控除(非課税の範囲内)>
- 贈与税の場合:原則年間110万円まで
- 相続税の場合:3000万円+600万円×法定相続人の数(3人の場合、4800万円)
贈与税がかかるケース、金額の目安は?
将来子どもが18歳や20歳など節目の年齢になった際に「今まであなたのために貯めてきたのよ。これを自由に使いなさい」と通帳とカードを渡したとしましょう。この場合、子どもが自由に引き出して利用できるようになるため、贈与とみなされます。その際に110万円以上の残高があると、贈与税の負担が生じる可能性がありますのでご注意ください。
ただし、貯金を実際の生活費や教育費などで支出した場合は贈与税がかからないとされています。以下国税庁の「タックスアンサー」からの抜粋です。
<贈与税がかからない場合>
夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。
なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てたりした場合には贈与税がかかることになります。(国税庁HP)
通常、親は子どもを扶養する義務があります。その子どものために必要な生活費や教育費を準備してきたのであり、それを子どもが実際に使ったということであれば贈与にはならないということです。一方、貯めた数百万円を子どもが生活費などとして使わずに、自分の財産として資産運用などを行った場合は、親から子どもへ財産が贈与されたとみなされ贈与税の対象となります。
金融教育も兼ねて子どもと一緒に管理しよう
「大学の入学資金のため」に子ども名義の預金口座を作り、かつ、実際に教育費や生活費など必要な資金として使えば、課税の心配をする必要は無さそうです。
ただ、せっかくの子ども名義の預金口座です。子どもが小学校高学年になる頃に口座の存在を伝え、親子で一緒に管理するのも良いでしょう。子どもがお金の使い方や、銀行や金融の仕組みを知る良い機会になります。そして税金の取り扱いについても子どもと確認しながら、子どもの成長に合わせて「これからどのように口座を管理するか?そしてそのお金をいつ、どのように使うか?」という話を少しずつしていくのはいかがでしょうか。