家賃2万円なのになぜ貯金が増えない?いくら貯金するのが理想?
目次
FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は35歳、パート勤務のEさん。夫と子ども1人の3人家族の家計簿です。
35歳パート勤務Eさんの相談内容
義父の持ち家を月2万円の家賃で借りています。家賃は安く抑えられていて助かるのですが、なかなかお金が貯まりません。実は家計簿をつけたことがなく、今回相談にあたって初めて先月のお金についてまとめてみました。最近NISAなどの投資の情報を目にすることが多く気になっています。これから投資を始めればお金が貯まっていくのでしょうか。
Eさんの家計簿は…?
収入は夫婦の手取りと児童手当で、合計は27万6800円。今月貯金できた金額が2万円です。収入の約7%を貯金にあてられています。現在の貯金額は30万円です。
家計の支出の内容と金額を把握すべき理由
Eさんご夫婦の年収はあわせて約400万円です。仮にこれから10年間現在の収入で働くとするとトータルで4000万円の収入を得ることになります。65歳まで働くと仮定すると、これから20年で8000万円の収入を得ることが予想されます。
今回家計を整理するまで、「なんとなく」お金を使ってきていて、何にお金を使っていたか確認をしたことがなかったとのことですが、今のまま「なんとなく」お金を使っていくと65歳までの8000万円近くのお金を無計画に使っていくことになります。
借金も抱えておらず今まで特に気になっていなかったのだと思いますが、自分が本当にどんな生活がしたくて、自分やご家族にとって本当に価値のある支出と価値のない支出を見極める目を持たないと「今月は2万円余ったから貯金しよう」という行き当たりばったりの家計管理になってしまい、いつまでたってもお金が貯まらなくなってしまいます。
大切な時間を使って働いて稼いだお金をこれからどんなことに使っていきたいか、じっくりご夫婦で考えてみましょう。5年後、10年後はどのような生活をしていきたいのか、できるだけ具体的に考えてみてください。
「家計に余裕がある」からお金が貯まらないことも
貯金ができない家計の原因のひとつとして「少し余裕がある」ことがあげられます。
共働きであることや、実家暮らしで家賃、光熱費、食費の負担が少ないケースなどです。ひっ迫した家計状況でない分、「なんとなく支出」が増加する傾向にあります。
Eさんは現在、月2万円で一戸建ての家を借りられていますが、通常は家賃2万円で戸建てに住むことはできません。通常、家賃などの住居費は手取りの25%程度の支出が見込まれるため、住居費に関してはとても恵まれた家計だといえます。
できれば、児童手当を除いた収入合計26万1800円の25%にあたる6万5450円は家賃相当額と考え、現在の家賃2万円との差額、4万5450円は貯金にまわすことを検討してみましょう。
なんらかの理由で居住費の2万円が一般的な家賃額になるような変更が生じた場合、現在の貯蓄額ではあっという間に貯金がなくなってしまいます。住居費を抑えられている間にできるだけお金を貯めるようにしましょう。
必ず儲かる話なんてない
「これをやれば必ず儲かる」「預けたお金が確実に倍になる」「私はこれだけで〇億儲けた」などいろんな儲け話が私たちの身の回りにはあふれています。
NISAは投資信託や株式への投資が非課税になりますが、それをすれば「必ず」利益が出るものではありません。なんのために、いつまでに、いくらを目標に投資を始めるのかを考え、投資の目的を明確にしてから始めましょう。
今のまま目的もなく始めてしまうと、お金が増えたら使う、の繰り返しでお金が増えても貯まっていかない可能性があります。
「儲かるらしい」というイメージだけで投資を始めてしまうと、元本が減ってしまったときに「だまされた!」と判断してしまうかもしれません。なぜ投資をするとお金が増えるのか基本的な仕組みを理解して始めることがとても大切です。
また、日々の生活に支障のない金額で投資を始めることが大切です。まずは少なくとも生活費の3~6カ月分のお金を貯めることから始め、そのお金が貯まってから投資を始めることをおすすめします。
貯金の残高を増やすには「なんとなく支出」をやめる
Eさんはまだ1カ月しか家計全体を把握したことがないとのことですが、「なんとなく支出」がとても多いのではないでしょうか。まずは、お金を使わない日を決めることをおすすめします。
お金を使わない日を設けることで、どれだけ毎日「なんとなく」お金を使っているか、ご自身の習慣に気付きやすくなると思います。
なんとなくコンビニに寄って買い物をする、冷蔵庫に食材が十分あるのに食材を買い足してしまうことはないでしょうか。お金を使う機会を減らすと、「考えて」使うようになります。
今日はお金を使わない日だから、あるもので代用できるものはないかなど工夫が生まれることも。偶数日にはお金を使わない、月曜と木曜はお金を使わない、など実行しやすい仕組みを自分で考えて検討してみてください。
大切なのは、働いたお金を何に使いたいかよく考えて使うことです。せっかく稼いだお金を家庭のお財布に入れても、お財布に穴が開いていて、いつもお金がこぼれてしまっているようではお金が貯まることはありません。穴をふさいで、お金を使う価値があるときにだけ使うように意識してみてください。
家賃分として浮いた4万5450円と、児童手当以外の手取りの約1割にあたる2万6000円の合計7万1450円を貯金に回せば、半年で約43万円貯金でき、現在の貯金と合わせて73万円になります。
毎月の貯金分を除いた生活費は25万6800円ですから、73万円あれば、約3カ月分の生活費を緊急予備資金として確保できます。さらに生活費の雑費の中から貯金に回す金額が捻出できないかも検討し、生活費全般をコンパクトにまとめられれば、もっと早く緊急予備資金を確保できます。
今までお金が貯まらない経験をしたからこそ、できることがあります。言い換えればEさんの家計はお金が貯まる伸びしろが大きい家計といえます。ぜひ、ご検討ください!
アドバイスを受けたEさん談
今のまま投資を始めても、増えたら使うことを繰り返していたと思います。これから10年で4000万円の収入があるとは考えたことがありませんでした。毎月、夫と私それぞれの月々の手取り金額だけを見ているので、どちらかというと少なく感じていましたが、2人の収入金額を、これから受け取る期間や総額で考えると大きな金額になりますね。大事に使わないとなぁと思いました。
家計簿診断を終えて
資産運用を計画的に始めることは家計にとって大きなメリットがあります。ただし、明確な目的を持たず毎月お金を使い切るような家計の場合、資産運用を始めても貯まった分だけ使うことが繰り返される可能性があります。
貯めるお金は一定額を先取り貯金に回すなどして貯まる仕組みをつくり、お金を使うときは一呼吸おいて、よく考えてから使うようにしてみてください。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。