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iDeCoやめたいけど…解約できない!?どう対処すればいい?

FPにききたいお金のこと 内山 貴博

iDeCoやめたいけど…解約できない!?どう対処すればいい?

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年金への不安や長生きへの備えとして老後資産への関心が高まっており、その中でiDeCo(個人型確定拠出年金)を始める人も増えています。とても魅力的な制度ですが、1つ注意点があります。それは「原則60歳まで引き出すことができない」ということです。よって無理なく長期的に継続していくことが重要ですが、今回は生活環境が大きく変わることに伴いiDeCoをやめたいという方からの相談です。こういう場合、どうなるのでしょうか?

40代会社員女性Fさんからの相談内容

40代の会社員で、18歳の子どもが1人います。夫は単身赴任中ですが、子どもが4月から一人暮らしを始めるため、仕事を辞めて夫の単身赴任先で一緒に生活する予定です。現在、iDeCoに加入中です。退職時、iDeCoもやめたいのですが可能でしょうか?また、再就職した際に再開は可能ですか?

iDeCoをやめるのは難しい…まずは減額の検討を

減額
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生活環境が大きく変わるため「iDeCoをやめたい」と考えておられるようです。iDeCoは老後資金を準備するという大きな目的があるため、一度始めると原則60歳まで続けることになります。ただし、以下の条件を全て満たす場合は「脱退一時金」を受け取ることができます。つまり「やめる」ことが可能です。

上記①~⑦の全てを満たさなければならず、特に⑥にありますように、加入してからの期間が短く、残高が少ないことも要件になっているため、iDeCoを始めて一定期間が経過した人は基本的にやめることはできません。

おそらく仕事を辞めてご主人のもとで生活をするため、これまでどおり掛金を拠出するのが難しいというのが「やめたい」という理由だと思います。iDeCoは年に1回掛金額を変更することができ、最低金額は5000円です。老後資産のためにもご主人と相談し、また協力してもらい、最低限掛金を拠出することができないか?まずは掛金の減額を検討してください。

拠出の一時停止は可能、「運用指図者」とは?

「COST」と書かれた積み木ブロックと家のおもちゃと電卓
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どうしても月5000円の拠出が難しい場合、今後の拠出を停止することは可能です。残念ながらiDeCoをやめてこれまでの掛金を引き出すことはできませんが、毎月の拠出を停止することはできます。

この場合、「加入者資格喪失届」を金融機関(運営管理機関)に提出することになります。その際の喪失理由は「運用指図者となるため」を選んでください。これで今後の掛金の拠出は必要なくなり、今ある残高を運用するのみということになります。拠出停止後、再就職された際などは、拠出を再開することもできます。

よって、掛金の拠出を停止し、それまでの拠出分を運用する「運用指図者」という選択が今回のご相談者には合っているかもしれません。ただし、運用指図者の場合、手数料を意識する必要があります。金融機関によって異なりますが月額66円~数百円の手数料が生じます。よって、その手数料に負けないだけの運用を行いたいところです。安全性重視でリターンが低い運用をしていますと、手数料分の残高が減ることになるので、その点注意してください。
参照:「加入者資格喪失届」

まとめ

今回のご相談に対するポイントをまとめると以下のようになります。

iDeCoやNISA制度が現在注目されています。特に税制メリットがあるということから、投資の知識や経験が少ない方が始めるケースも多いようです。NISAはいつでも売却・換金できますが、今回紹介しましたように、iDeCoは途中で引き出すことが原則できません。今後のライフプランをじっくり検討し、無理のない範囲で上手に付き合ってください。