パナが蛍光灯市場から撤退、今すぐLEDにしておいた方が良いワケ
監修・ライター
家電大手のパナソニックが戦後間もなくから続けてきた蛍光灯の生産を終了させる方針を打ち出しました。今後は蛍光灯からLED照明の生産により力を入れていく予定のようです。なぜ、このタイミングで蛍光灯の生産を終了させるのでしょうか。LED照明のメリットとともに解説します。
70年以上の歴史に幕
NHKが8月16日に報道したところによると、パナソニックは現在、住宅やオフィスなどに向けて販売されている蛍光灯について2027年末迄にすべての生産を終了させる予定だといいます。
パナソニックが初めて蛍光灯の生産を開始したのは戦後間もない1951年(昭和26年)。蛍光灯と蛍光灯スタンドが発売されました。翌1952年(昭和27年)には紐を引くことで点灯や消灯ができる「プル式家庭用蛍光灯器具」を発売。1956年(昭和31年)にはひと月あたりの蛍光灯の生産量60万本を達成。1960年(昭和35年)には蛍光灯の生産量で業界トップに躍り出ました。以降、「パルック蛍光灯」「インバータ・ストロング」、「パルックプレミア」などのヒット商品を送り出しながら蛍光灯の生産を続けてきたパナソニックですが、70年余りに渡って続けてきた蛍光灯の生産を2027年に終了します。
パナソニックは今後、LED照明の生産を加速させる予定です。実は、パナソニックに限らず、メーカー各社の蛍光灯からLED照明への生産の切り替えはより一層進んでいきます。それは、国際条約で蛍光灯の生産や輸出入にストップがかけられたからです。
蛍光灯の生産・輸出入が禁止に
2023年10月30日から11月3日の日程で開催された「水銀に関する水俣条約第5回締約国会議」で、すべての一般照明用の蛍光灯について、2027年末までに製造及び輸出入を禁止することで合意しました。蛍光灯の蛍光ランプに、人体に悪影響を及ぼす水銀が含まれていることがその理由です。
国内の住宅用照明器具は2020年度時点で10億台存在すると言われていますが、そのうちの47%がLED照明、あるいは有機ELを使用した次世代照明と推計されています。とはいえ、未だ半数以上が次世代照明に切り替わっていないことも事実です。「自宅の照明がまだ蛍光灯」という方も決して少なくないでしょう。蛍光灯の生産が2027年末に完全に終了する中、どんなに遅くとも3年後には蛍光灯からLED照明などの次世代照明に切り替えなければなりません。そこで、あらためてLED照明のメリットを考えていきたいと思います。
LED照明のメリットとは
LED照明のメリットとして最もよく知られているのは、寿命が長い点ではないでしょうか。一般的な蛍光灯の寿命は約6000~1万2000時間と言われています。毎日8時間、蛍光灯を使用した場合には約2~4年程で電気が点かなくなる計算です。一方、LED照明の寿命は約4万時間。毎日8時間使った場合には年間で約2920時間使う計算になりますが、13年以上はもつということになります。
さらに、消費電力が低いこともLED照明の代表的なメリットです。一般社団法人日本照明工業会の調べによると、蛍光灯シーリングライトとLEDシーリングライトを年間2000時間 (1日5~6時間の点灯)使用した場合の電気代は次の通りです。
●年間電気代
蛍光灯シーリングライト=4216円
LEDシーリングライト=2108円
蛍光灯からLED照明に替えるだけで、年間2000円以上もお得になるわけです。また、日本照明工業会の例によると、蛍光灯ランプの平均価格は2135円、LED照明の平均価格は8723円とLED照明の方が高くなりますが、電気代が安くなることを踏まえると約3年で元が取れる計算になります。さらにLED照明は寿命が長いため、蛍光灯のように数年ごとの交換費用も発生しません。長く使えば使うほど、お得になるのがLED照明の長所の一つです。
加えて、紫外線や赤外線の放出が少ない点もLED照明のメリットとして挙げられます。電気をつけても、紫外線に反応する虫はほとんど寄ってきません。屋外に設置している照明に寄って来る虫に悩まされているという方は、LED照明に替えるとその悩みはなくなるでしょう。
2027年末にはすべての蛍光灯製品の生産・輸出入ができなくなります。これは国際的な取り決めのため、確実なことです。蛍光灯の生産が終了する間際には、LED照明の切り替え需要が大きく高まることが予想されます。需要が高まると、製品の価格も高くなることが一般的です。さらにLED照明は長く使えば使うほどお得になります。今蛍光灯を利用されている方は、まだそれほど需要が高くない今のうちに、蛍光灯からLED照明へ切り替えてみてはいかがでしょうか。