アメリカの貯金最新事情。平均貯蓄額は?やっぱり定期預金なの?
消費大国アメリカでは、昔から人々は宵越しの銭を持たないことで知られてきました。今でもそうなのでしょうか?また、貯金をしている人は一体どのくらいの額を銀行に預けているのでしょうか。銀行に貯金するとしたらやはり定期貯金でしょうか。今回はアメリカの貯金事情をお伝えします。
米銀行では普通預金の金利が二極化
日本では銀行に貯金しても金利が長らく非常に低い状態が続いていました。しかし日銀の金融緩和策の柱だったマイナス金利政策が解除されて2024年3月に利上げが決定され、銀行の預金金利は軒並み上昇しています。
例えば、みずほ銀行やゆうちょ銀行を例に挙げると、最新の普通預金の金利は以前より高い0.100%ということです。
アメリカの銀行の預金金利は、日本に比べて以前より高めでした。ただ2023年に複数の銀行の破綻を受け、小規模な銀行からメガバンクへ預金流出が加速したことで、預金金利は二極化しています。
アメリカのメガバンクと言えばJPMorgan Chase (JPモルガン・チェース)、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、 Citibank(シティバンク)、Wells Fargo Bank(ウェルス・ファーゴ・バンク)などが代表格です。これら大手の銀行と小規模な銀行では金利が異なっています。一例として小規模な銀行では4%台、メガバンクでは0.01%程度です。小規模な銀行はお金が集まりにくいため、金利を高めに設定していることが解ります。(銀行によって異なる。数字は2024年10月現在)。
例えばCitibankを例に挙げると、さまざまなプランや預金額に応じて預金金利も異なっています。通常の預金(セービング)の金利を例に挙げると現在では0.03%前後で落ち着いているようです。
使う予定のないお金はやはり定期預金?
すぐに動かす予定のないお金の貯蓄として、アメリカでは通常の預金(セービング)口座より利率が高いCD(Certificates of Deposit)が利用されています。日本の銀行の定期預金や定額預金に当たるものがまさにこれです。
CDを利用すると、(時期によっても異なるが)最近では3ヵ月や5ヵ月など割と短い期間だとしても4%以上の金利が付くことがあります。日本の銀行の定期預金や定額預金の金利(0.125%、0.350%など)と比較しても高めです。
アメリカの政策金利はこれまで過去20年で最高水準でしたが、FRB(連邦準備制度理事会)が2024年9月に大幅利下げを発表しました。今後も経済や連邦準備制度の政策、各銀行の戦略によって、銀行の金利は変わっていく可能性があります。
アメリカの人々の平均貯金額は?
そんな貯金事情を踏まえ、アメリカの人々の平均貯金額はいくらなのかを調べてみました。
2024年9月付の米フォーブス誌によると、30歳以下の人々の平均貯蓄額(セービング)は2万540ドル(約314万円)、中央値(平均値より“よりリアル”な数値)は5400ドル(約82万5000円)ということです。20代となるとまだ大学に通っている人もいれば、就職したばかりの初任給で大学の学費ローンを返済している人もいるので、貯金額が低いのも頷けます。
40歳以下の人々の平均貯蓄はというと4万1540ドル(約635万円)、中央値は7500ドル(約114万円)と微増しています。30代になると収入が上がり、貯蓄に回せるお金も増えることを示しています。
貯蓄の理由は、若い頃は住宅購入のため、もしくは失業や病気、車の故障など緊急用の資金のためだったのが、40代を境に老後を見据えたものに移行するようです。
どのくらいの貯金が必要かというのは人それぞれの経済的なニーズ、住んでいる場所を含めた支出の状況によって異なってきますが、経済危機を乗り越えるための緊急用貯蓄に関する一般的なガイドラインは、何もしなくても生活を維持できるように3~6ヵ月分の生活費を用意しておくことだと言われています。
老後のための貯金額は?
では老後のために、人々はいくら貯金をしているのでしょうか?
ある資料によると、平均退職貯蓄額(老後のための年金のようなもの。401(k)やIRAなど)は35歳未満で4万9130ドル(約750万円)、35~44歳で14万1520ドル(約2160万円)、45~54歳で31万3220ドル(約4800万円)、55~64歳で53万7560ドル(約8220万円)という調査結果があります。
生活費も家賃も日本に比べて高いアメリカでは、老後に必要な資金も当然高くなるようです。
また中央値は35歳未満で1万8880ドル(約288万円)、35~44歳で4万5000ドル(約690万円)となっています。
近年、アメリカ人の貯蓄が減っている兆候があるという情報もあります。2024年のある調査によると、69%の人はインフレによる影響で貯蓄にそれほど多くを投入できておらず、42%の人がお金が足りないことから退職貯蓄額からお金を引き出したといいます。このように、折からのインフレは人々の生活、そして老後プランにも影響しているようです。人々が直面している深刻な経済的課題となっています。
1年間で1万ドルを貯める方法
最後に「1年間で1万ドル(約150万円)を貯める方法」がbankrate.comに紹介されているので、アメリカ国内での事例ということにはなりますがここでシェアします。
物価が日本以上に高騰しているアメリカで1年間で1万ドルの貯金と聞けば大変そうに聞こえるかもしれませんが、月額834ドル(約12万7000円)、日額にすると28ドル(約4200円)を貯めることができれば達成できる数字です。この達成には十分に計画を練り、目標に集中し、自制することが求められます。
例えば現在の収入と支出を見直し、綿密な貯蓄計画を立て、必要に応じて副業をしたり(アメリカでは副業は認められていることが多い)、外食を減らしたり、観ていないストリーミングサービスやサブスクを解約したりなど不必要な経費を削減すると良いでしょう。加えて高利の貯蓄口座を持ったり、高いリターンが期待できる株式や投資信託などを検討したりするのも良いでしょう。
投資に詳しくなくとも、高利回りの普通預金口座やCDなど低リスクの投資を通じて収益を増やすことも可能です。少しリサーチするだけで、高利回りを提供する最適な口座を見つけることはできそうです。