【家計簿診断】学校から案内される保険は加入すべき?FPが解説

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FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を、mymoで診断する【うちの家計簿】。今回は39歳会社員女性Nさん、夫とお子さんの3人家族の家計簿です。お子さんが春から中学生になるタイミングで、学校から保険の案内が届いたものの、加入すべきか迷っているとのこと。物価の上昇で支出も増えているため、できるだけ節約したいと考えています。
39歳会社員女性Nさんのご相談内容
娘が春から中学生になります。学校から保険の案内がありました。加入は任意のようですが、加入するべきか迷っています。加入するかどうかどのようにして判断をすればよいでしょうか。このところ物価が上がって月々の支出が増えているので、できるだけ支出を抑えたいと思っています。
Nさんの家計簿は…?
ご夫婦の月々の手取り合計が47万6320円です。児童手当1万円を合わせた収入合計は48万6320円です。生命保険料のうち3万1000円が資産形成と死亡保障を目的とした保険の保険料です。
資産形成機能のある保険料3万1000円と投資信託6万円、貯金2万円の合計11万1000円で月の収入の約23%が資産形成に充てられています。資産形成を目的とした保険の現在の解約金と貯金の合計額が340万円です。
進学時に案内される保険とは?補償内容を整理しよう

幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専門学校など入学時に保険を案内されることがあります。まず案内されている保険の内容を整理してみましょう。さまざまな保険のプランがありますが主に以下のような補償があります。
【他人への賠償責任の補償】
●賠償責任補償:
日常生活で誤って他人にケガをさせてしまったり、他人のものを壊してしまったりして法律上の賠償責任を負った場合の補償
【親などの事故時の死亡補償】
●育英費用補償:
子どもを扶養している親などが事故などで亡くなった場合に保険金が支払われる補償
【子どものケガや病気の補償】
●ケガの補償:
子どもがケガで死亡、入院、手術、通院をした際の補償
●病気の補償:
子どもが病気で死亡、入院、手術をした際の補償
●熱中症の補償:
子どもが熱中症により死亡・後遺障害・入院・手術・通院をした場合の補償
●特定感染症補償:
子どもが法令で定める特定感染症を発病した際に後遺障害・入院・通院をした場合の補償
●被害事故補償:
子どもが犯罪行為やひき逃げ事故の被害者となり、死亡または所定の後遺障害が生じた場合の補償
【持ち物の補償】
●学校管理下動産補償:
学校の授業・登下校中などに、子どもが携行している身の回り品が破損した場合などの補償
【トラブル解決のための補償】
●トラブル被害対策等補償:
いじめなどの対人トラブルや、ストーカー行為、自転車事故などの被害を受けて、弁護士等への法律相談の申し込み・委任、警察への届け出、告訴状の提出、いじめに関する臨床心理士・公認心理師への相談を行った場合の費用を補償。カウンセリング費用、法律相談費用、弁護士費用、訴訟関連費用などトラブルの内容によって費用が補償される
まず、既に加入している保険を確認
他人への賠償責任は「個人賠償責任特約」へ加入していないか確認を
「他人への賠償責任の補償」は、自動車保険や火災保険、傷害保険などの「個人賠償責任特約」ですでに準備していないか確認してみましょう。
加入している場合には補償額も忘れずに確認することが大事です。3000万円や無制限に補償されているものもあります。示談交渉をしてくれるかどうかもあわせて確認することが大切です。
「親などの事故時の死亡補償」は親の生命保険の確認を
「親などの事故時の死亡補償」は子を扶養している親が被保険者となっている生命保険などで死亡時の補償が準備されているか確認しましょう。
「子どものケガや病気の補償」は医療保険や傷害保険の確認を
「子どものケガや病気の補償」は、お子さんを被保険者とした医療保険や傷害保険で後遺障害や通院、手術の補償が準備されているかどうか確認をしましょう。「熱中症」「特定感染症」の補償も傷害保険で補償されている場合があります。詳しく内容を確認することが大切です。
「持ち物の補償」は火災保険や携行品損害特約の確認を
持ち物の保険には火災保険や自動車保険に付帯される「携行品損害補償特約」などがあります。被保険者が外出中に携行している身の回り品が偶然の事故によって損害を受けた場合に補償するものです。
メガネなどは補償の対象外となる補償もありますので、補償の対象外となる身の回り品がどのようなものがあるか具体的に確認をしましょう。
学校管理下動産の補償は、授業中、登下校中にメガネなどの身の回りのものが破損した際などの補償です。お子さまがメガネを利用されていて破損時の補償を準備したい場合には有効な補償となります。
「トラブル解決のための補償」は弁護士費用特約の確認を
トラブルが発生した際の補償として、火災保険や自動車保険に付帯できる弁護士費用特約がありますが、これは日常生活で事故の被害者になった場合に弁護士費用や法律相談費用を補償するものです。自動車事故のみ対象とするものや、日常生活と自動車事故を補償するものなどがあります。
カウンセリング費用などを補償するものもあり、対象となるトラブルの範囲は具体的にどのようなものか、対象とならないトラブルはどのようなものがあるか補償の詳細を確認し、加入を検討することが大切です。
Nさんの加入中の保険を確認すると…

「他人への賠償責任の補償」は加入されている火災保険の個人賠償責任特約で無制限の補償が準備できており、示談交渉も含まれた内容になっています。
「親の死亡時の補償」はNさんご夫婦ともに必要と考える補償額が準備できていることが確認できました。
「子どものケガや病気の補償」は民間の保険では加入されていませんが、公的な保障として中学生の子どもの医療費は、入院は無料、通院は月500円までの医療の助成があることが確認できました。
参考:福岡市子ども医療助成
「持ち物の補償」は現在未加入です。
「トラブル解決のための補償」は自動車事故や日常生活での事故での弁護士費用や法律相談費用が補償されるものに加入していることが確認できました。
「持ち物の補償」と「トラブル解決のための補償」の補償範囲を広げるかについてご検討いただくことをおすすめします。
家計管理についてのアドバイス
複数の損害保険や生命保険に加入している方も多いと思いますが、車を新たに購入したり、お子さんの進学時に新しく保険に加入したりすることで、気がつかないうちに補償が重複していることがあります。
また、子どもの医療費を助成する「子ども医療費支給制度」も市町村によって対象者が異なりますが、子育て家庭への支援の制度が広がっています。
まずは、すでに加入している公的保険、民間の保険の内容を確認することをおすすめします。内容を確認した上で、不足しているものがあれば追加で加入し、重複して加入しているものなどがあれば見直しを検討してください。
Nさんは現在家計の中から23%が資産形成に充てられており、安定した家計内容です。運用状況等変動する内容のものもお持ちですので、定期的に積立金の状況などを確認しておくとより安心です。
アドバイスを受けたNさん談
今まで幼稚園、小学校入学時に案内された保険はよく検討することもなくとりあえず加入してきました。今回は一つひとつ補償内容を確認することで加入済みのものなどが確認でき、納得して判断することができました。案内のあった補償は、いろんな補償が組み合わされていることに驚きました。
ただ今回は娘がメガネを利用していないこともあり、加入を見送ることにしました。貯金も手元に残しておくと使ってしまうので、強制的にカード払いで投資信託や貯蓄性の保険で貯めるようにしています。貯められるうちはできるだけ継続してお金を貯めていきたいです。
家計簿診断を終えて
お子さまの進学時期になると、学校から案内があった保険の相談が増えます。加入されている保険も各家庭で異なるので、保険の内容を確認しながら検討することで、判断がしやすくなると思います。
高校、大学に進学すると、さらに教育費などお子さんにかかる費用も増えることが見込まれるので、家計の中で見直せる支出がないか進学時に見直されることをおすすめします。