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「推し活」が日本を救う⁉大人気キャラクター「ちいかわ」の経済効果

経済とお金のはなし 箕輪 健伸

「推し活」が日本を救う⁉大人気キャラクター「ちいかわ」の経済効果

【画像出典元】「hmorena/Shutterstock.com」

7月28日、東京にちいかわのテーマパーク「ちいかわパーク」がオープンしました。人気アニメ・ちいかわは、子どもだけではなく大人からも大きな人気を集めています。その人気に目を付けた企業が続々とコラボ。ちいかわとコラボすることに企業としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。そして、ちいかわにはどれくらいの経済効果があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

ちいかわパークがオープン!

NEW OPEN
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東京・池袋に新たなテーマパーク「ちいかわパーク」がオープンしました。ちいかわとは、イラストレーター・ナガノ氏による大人気漫画「なんか小さくてかわいいやつ」の略称で、漫画は2020年からTwitter(現:X)で連載され、2021年に単行本化。2024年11月時点で電子書籍を含めた累計発行部数は360万部を超えています。また、2022年からフジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」内でテレビアニメが放送されています。

ちいかわパークは、そのちいかわの世界観にどっぷりと浸れる体験型施設です。巨大な三面シアターで、ちいかわの映像を楽しめる「ウェルカムシアター」、ちいかわの家を再現したフォトスポット空間、妖精のちいかわたちを捕獲するアトラクション「くものすキャッチャー」など魅力的なコンテンツが多数用意されています。

オープンを前にしたファンの期待は非常に高く、あまりの人気にちいかわパークの入場には、事前の抽選申し込み制となっています。倍率も相当高いようで、SNS上では抽選に漏れてしまった人の次のような投稿が多数見受けられました。

「全然当たらない…いつになったら行けるかな~」

「行きたいけど当たらない」

「また落選…当選する気がしない…」

ちいかわが日本経済の火付け役に⁉

子どもだけでなく大人からも大人気のちいかわ。実は、日本経済の起爆剤になるのではと期待されていることはご存じでしょうか。

このところ、一般的になってきた「推し活」。推し活とは自分が「推し」(応援したい)と決めたアイドルや俳優、スポーツ選手、キャラクターなどをさまざまな形で応援する活動のことです。好きなアイドルを見に行くために地方まで足を運ぶ。毎月数万円のキャラクターグッズを買っている。好きな俳優の魅力をSNSで発信する。これらはすべて推し活です。

そして、推し活とさまざまな業界とのコラボによって、多くの企業の売上アップに貢献しているのが、ちいかわコンテンツです。簡単に言えば、販促ツールとしてちいかわを使うと企業の売り上げアップが期待できるというわけです。

くら寿司は売上高前年比23%増、マクドナルドは同14.7%増

増加グラフ
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実績を見ていきましょう。

くら寿司は、2024年3月から期間限定でちいかわとコラボ。会計2500円ごとに、「ちいかわクリアファイル」をプレゼント、皿回収ポケットに食べ終えたお皿を5枚入れると挑戦できる「ビッくらポン!」で当たりが出ると、くら寿司でしか手に入らないちいかわオリジナルグッズが入手できるというキャンペーンを実施しました。

その結果、2024年3月の既存店売上高は前年比23%増、来店者数は9.5%増、1人あたりの平均消費額は12.3%増を記録。キャンペーン終了後も、既存店の売上は前年比5%以上増加、2019年比で8%以上増加を維持していると言います。そして、2025年も6月27日からちいかわデザインの寿司皿などのオリジナルグッズが手に入るコラボキャンペーンが実施されています。

マクドナルドは、2025年5月にちいかわとハッピーセットのコラボキャンペーンを実施。「ちいかわのドリンクカップペンたて」、「ハチワレのマクドナルドカレンダー」、「モモンガのボールサイン えんぴつキャップ」などのオリジナルグッズがハッピーセットに付属するおもちゃとして手に入るというもの。5月の既存店売上高14.7%増、全店売上高も同16.5%増と大幅な売り上げアップを記録しています。

プリントシール機やクレーンゲーム機の製造・販売を中心とした総合エンタテインメント企業「フリュー」は、2023年3月期の決算説明の際に、ちいかわの貢献度を次のように指摘しています。

『キャラクタ・マーチャンダイジング事業は、前年比で増収減益となりました。新たな人気キャラクターの版権獲得により、受注は好調です。特に「ちいかわ」の人気が非常に大きく、全体の売上を支えている状況です。』

どの企業もちいかわによって、大きく売り上げを伸ばしていることが分かります。

ちいかわとのコラボ事例はこれだけではありません。ちいかわを販促ツールに使った企業は以下の通りです。

広告・マーケティングに関するニュースメディア「Advertimes(アドタイ)」によると、推し活コラボは、79.2%のファンにブランドの好感度を向上させる効果があると言われています。実際に、ちいかわのエポスカードは、新規申込が3.2倍増加しています。

読者の方の中には、企業のマーケティング担当で、販促に頭を悩ませていたり、うまい集客が見つからなかったりといった方もいるのではないでしょうか。そんな方は、既存の手法だけではなく、推し活コラボを検討してみてはいかがでしょうか。くら寿司やマクドナルドのように、大きな結果が出るかもしれませんよ。