お金

20代男性の約半数が恋愛離れ。お金の使い方や将来設計どう考える?

そなえる 内山 貴博

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恋人がいない20代男性が増えているようです。以前は「早く結婚して孫の顔が見たい」という親の声や「恋人がいて、将来結婚することが理想的な生き方」という社会的な風潮にプレッシャーを感じていた人もいたのではないでしょうか。

しかし、今は恋愛やジェンダー問題を取り巻く環境は大きく変わり、「恋愛しない」ことも1つの生き方として受け止められるようになりました。恋愛以外を優先したり、自分らしい価値観を追求したりするという人も多いでしょう。今回は、そんな「恋愛しない」という選択とマネープランについて考えてみましょう。        

20代男性の恋愛・結婚観とお金のリアル

リクルートの「恋愛・結婚調査2023」によると、「恋人がおらず交際経験もない」と回答した20代男性の割合は46%に上ります。20代男性の半数近くが恋愛と距離を置いているようです。

もちろん、「恋愛をしたい」と思っている人も一定数はいると思われますが、同調査で20代男性の23.7%が「恋愛は時間とお金の無駄である」と回答していることから、恋愛自体に興味がない、恋愛以外に優先すべきことがあるという20代男性も多いようです。

20代女性も同様に恋愛や結婚に積極的になれない人もいますが、興味深いのはその理由です。以下は結婚をしたくない理由の男女別トップ5です。

男女別結婚したくない理由

出典:株式会社リクルート「リクルートブライダル総研による恋愛・結婚調査2023

このアンケート結果は20代に限定したものではありませんが、明らかに男性は女性と比べて金銭面が理由になっていることが分かります。男性にとって恋愛や結婚と向き合う上でお金は切っても切れない大きな問題のようです。

恋愛・結婚に使わないお金、何に一番使っている?

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総務省の家計調査(2024年)はお金の使い方を単身世帯と二人以上の世帯に分けて発表しています。年齢別の調査からは、若い人たちのお金の実態が見えてきます。

一人暮らしと二人以上で生活している場合、消費支出額は大きく異なりますので、消費支出額に占める割合で大きく異なる項目を以下に取り上げました。

消費支出に対する割合

総務省の家計調査(2024年)より一部抜粋・筆者編集

一番際立った違いは「住居費」です。当然家族の人数が増えても家賃が2倍、3倍となるわけではありませんので、単身世帯が相対的に高い比率になりやすいです。また、そういった要因を考慮しても単身世帯の消費支出に対する住居費の割合は高くなっています。

単身者は家族の意見や子供の教育環境などを考慮する必要はなく、自分の住みたい場所を選ぶことができるため、通勤時間をはじめ、より便利で快適な場所での住環境を優先している可能性が高いでしょう。

食費の割合は単身世帯の方が低いですが、食費項目の細かい内訳を見ると「外食」の支出割合が単身世帯の方が高くなっています。素敵なお店や行きつけのお店を頻繁に利用するといったライフスタイルも単身世帯ならではなのかもしれません。

そして「教養娯楽」への支出も単身世帯の方が高くなっています。やはり単身世帯の方が自分の趣味や資格取得といった自己投資などにお金を使う傾向にあるようです。

FP相談に多く携わってきた筆者の肌感覚ですが、単身の方は海外に興味があり、頻繁に海外旅行をしたり、趣味やスポーツなど仕事以上にやりがいのあるものがあったり、自分の好きなことに時間を使いたいという人が多い印象です。

もちろん恋愛や結婚をすることでこれらが叶わなくなるわけではありません。しかし結婚・子育てとなるとどうしても他に優先すべきことがあり、そういった自分のやりたいことを追求する時間や金銭的な余裕は単身に比べると少なくなりそうです。

生涯独身を前提としたら?必要なお金と備え  

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結婚をせず生涯独身という道を選ぶ場合、配偶者や家族がいるケースと比べるとお金との向き合い方も大きく変わります。

その代表例が生命保険です。「一家の主として万が一に備えて」「子供の教育費のために」といった保障は必要ないため、もしもの時のお葬式代程度、親族に負担をかけないように最低限の死亡保障に加入しておけば十分だと思います。

または、お葬式代程度の貯蓄があるということであれば死亡保障自体なくても良さそうです。その分、老後に向けた医療費や介護費などへの備えに注力しましょう。

そして、20代男性にとって老後を迎えるまでには40年、50年とたっぷり時間がありますので、NISAなどを活用し、ある程度リスクを取って長期的な資産増大を狙うという考え方も大切です。

また、単身で自由がゆえについお金を使い過ぎてしまうという人もいます。今、やりたいことや、どうしても欲しいものにお金を使うこと自体は悪いことではありませんが、ある程度貯蓄への意識も持っておくべきです。いわゆる手取りにあたる「可処分所得の2~3割程度」は将来への備えに回すという意識を持ち、積み立てなどを行ってください。

FP視点でのアドバイス「お金以外の財産にも目を向けて」

今回は「恋愛」がテーマでした。恋人の存在、そしてその恋人が配偶者やパートナーとなり生涯を共にする。こういう生き方も素敵です。一方、仕事や趣味、自分の時間を大切にするシングルライフも魅力的です。

どういう生き方をするのかによってお金との付き合い方も変わってきますが、私たちが生きていく上で財産となるのはお金だけではありません。若い頃に他の人があまり経験したことのないようなことに挑戦することも大きな財産になり得ますし、努力して試験に合格した資格も財産になります。そして何より皆さんの周りにいる人もかけがえのない財産です。

長年、単身で生活している人、特にシニア層の人が良く言うのが「保証人がいなくて困った」ということです。例えば、手術を受ける際も身内の同意が必要となることもあります。このようなケースをはじめ、いざという時に助けてくれる人がいる、自分が弱っている時に支えてくれる人がいるのは非常に心強いです。

そしてこれは「恋愛・結婚」というカタチにこだわらなくてもよいものです。兄弟姉妹などの身内、そして幼馴染みや親友など、自分にとって大切な人との関係をしっかり築いていくことが何より大切だと思います。

FPとしてお金の相談に応じていますが、お金以外の財産の大切さに気付かされることが少なくありません。お金ももちろん大切ですが、最終的にはお金以外のこのような財産をどれだけ持っているかが豊かな人生を歩めるかどうかの分岐点になりそうです。

恋愛や結婚もそういった大事な人と出会う1つの選択肢です。もし、経済的な理由で自ら恋愛にストップをかけているのであれば、ぜひ勇気をもって一歩踏み出してほしいと思います。恋愛をすることでお金をたくさん使うかもしれませんが、それ以上に大切なものを手に入れることができるかもしれません。