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今の年収で子育てできる?20代男性の収入と支出、育児費用を確認

ためる 紗冬えいみ

今の年収で子育てできる?20代男性の収入と支出、育児費用を確認

【画像出典元】「Geber86/shutterstock.com」

結婚や子育てに関して、「今の年収で子どもを育てていけるのか」「支出はどのくらい増えるのか」など金銭的な不安を抱える20代男性は少なくありません。
そこで本記事では20代男性(未婚・既婚)の収入実態や結婚による支出の変化、子育てにかかる費用を紹介します。育児休業中の収入やキャリアへの影響、公的な子育て支援制度についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

20代男性の平均年収はいくら?独身・既婚でどれだけ違う?

内閣府の「令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」によれば、20代独身男性で最も多い年収は「300万~500万円未満」で、全体の約3割を占めます。また年収500万円以上は7%程度です。

一方、20代既婚男性では年収300万~500万円未満が約半数、そして500万円以上は約2割にのぼります。

背景として、そもそも収入の多い男性が結婚相手として選ばれやすい点が考えられます。ただ、結婚や子どもの誕生を機に責任感から収入アップに励む人が増えるとも言えるでしょう。

実際に、同調査によると20代男性の正規雇用率は独身では46.0%ですが、既婚者は79.8%と大きな差があります。

結婚後の生活費はどれくらい増える? 

赤ちゃんと株価グラフ
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次に、結婚前後での支出の変化を整理しておきましょう。
総務省による2024年の家計調査(単身世帯二人以上の世帯)によると、34歳以下の独身男性の1カ月の生活費は約17万6000円(年間約211万円)、住居費や自動車関連費を除くと約13万3000円(年間約160万円)です。

既婚者に関しては、世帯主が34歳以下かつ2人以上の勤労世帯の支出を見てみます。1世帯の平均人数は3.28人なので、子どもが1~2人いる家庭と想定できます。この場合、1カ月あたりの生活費は約27万1000円(年間約325万円)、住居費等を除いた消費支出は約22万4000円(年間約269万円)です。

支出額は大きい順に食料費(約72000円)、交通・通信費(約44000円)、教育娯楽費(約27000円)、理美容サービスなど諸雑費(約27000円)、水道光熱費(約18000円)となっています。

ただし、これらはあくまで平均の数字です。都市部になるほど住宅費はかさみやすく、反対に地方では住居費は抑えられる一方、生活に車が必須で維持費や自動車ローンの返済が発生するかもしれません。

結婚後の生活費は約22万4000円の平均値を目安とした上で、生活拠点となる地域の物件・家賃の相場、車の必要性などを考慮してご自身で一度シミュレーションすると良いでしょう。

一般的に子育てにかかる費用

子育てにかかる費用の中でも大きな金額となるのが教育費です。住宅費・老後の生活費と並ぶ、人生の3大費用のひとつ。子どもが生まれてから大学を卒業するまでに、すべて公立でも1人あたり1000万円は必要だと言われています。

とはいえ、一度に1000万円を支払うわけではありません。特に支出が膨らむのは大学で、受験料や在学費を合計すると500万円弱と、教育費全体の4~5割を占めます。つまり、実際には18年ほどかけて500万円ほど貯めれば良いと言えます。

特に親が20代のうちは、子どももまだ幼稚園・保育園に通うくらいの年齢でしょう。文部科学省による「令和5年度子供の学習費調査」の結果を見ると、学習費の平均は公立幼稚園で年間約18万5000円、私立の幼稚園で年間約34万7000円です。
子どもが幼いうちはそこまで大きな出費にはならず、むしろお金の「貯め時」になります。早い段階で将来のマネープランを立て、家計を見直しておくと安心です。

男性の育休中の収入は?2025年最新の制度 

赤ちゃんにミルクを上げる男性
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子育てのために育休を取得する男性は年々増加しています。しかし休業中の収入・生活費に不安を感じるかもしれません。

男性が育休を取得する場合でも、条件を満たせば「育児休業給付金」や「出生時育児休業給付金」を受給できます。ひと言で表すと、育児休業中も賃金の67%(休業181日目以降は50%)を受け取れる制度です。この給付金は非課税かつ社会保険料も免除されるため、手取りで休業前の約8割(休業181日目以降は約6割)の収入を確保できます。
さらに、2025年4月には「出生後休業支援給付」が新設され、一定条件を満たせば28日を上限に、手取り収入の実質10割を受け取れる制度が始まりました。

出典:こども家庭庁「共働き・共育てを応援」より一部抜粋

それでも不安な場合には、ポイントが2つあります。まずは結婚後あるいは妊娠発覚後、早い段階で家計を見直しておくことです。FP(ファイナンシャルプランナー)など専門家に頼るのも有効です。

次に、長期的な視点を持ちましょう。女性の中には、結婚・出産後も働き続けたいと思っていても、家事や育児の負担から退職を選ぶ人もいます。もしパートナーである男性が育休を取得して家事や育児にもしっかり参加する意思を示せば、女性が働き続けられる環境づくりに繋がります。育休中に一時的に収入が減っても、その後共働きを続けられれば後々の家計はぐっと楽になるでしょう。

男性が育休取得で得られるメリット

実際に育休を取得してみると、事前の不安以上にポジティブな効果を感じられるかもしれません。
内閣府経済社会総合研究所の「男性の育児休業取得が働き方、 家事・育児参画、夫婦関係等に与える影響」によると、育休を取得した多くの男性が「子育ての大変さが分かった」「子どもと過ごす時間を持てた」と実感しています。幼い子どもの成長はとても早いものです。かけがえのない時間を子どもとともに過ごせることは、育休取得の何よりも大きなメリットでしょう。

また、仕事においても限られた時間で効率よく働く意識や、助け合いの意識が強まったなど、考え方が変わったとの声があります。もちろん、会社によっては育休取得がキャリアに影響しないとは言い切れません。

しかし20代であれば、キャリアアップや転職のチャンスはこの先まだまだあるでしょう。価値観は人それぞれですが、長い現役生活の中で育休をとれる期間はごくわずかです。今しかできない経験として、一考に値するでしょう。

もらえるお金は?子育て世帯向けの給付金・支援制度まとめ

先ほど紹介した育児休業給付金のほかにも、子育てに関しては公的な支援が多くあります。ここでは代表的なものを3つ紹介します。

児童手当

0歳~高校生までの子どもを養育している人に支給される手当です。支給額は、3歳未満の第1子・第2子の場合は1人あたり1万5000円、3歳以上の第1子・第2子の場合は1人あたり1万円です。

出典:こども家庭庁「子育て世帯の家計を応援」より一部抜粋

●子どもの医療費助成制度

公的医療保険による子どもの医療費の自己負担割合は小学校入学前が2割、小学生以上は3割ですが、多くの自治体で医療費を無料または一部負担に軽減しています。ただし対象となる子の年齢や所得制限など、条件は自治体によって異なります。

●その他、自治体独自の支援策

国が実施する支援とは別に、自治体独自で実施する支援策です。出産祝い金の支給や、男性の育児休業取得促進奨励金など、支援内容はさまざまです。

妊娠が分かったら住まいの自治体がどのような支援をしているのか調べ、制度を上手に活用して負担を軽減しましょう。

まとめ

最後に、本記事の要点は下記のとおりです。

独身生活に比べて結婚後・子どもが生まれた後の生活は確かにお金がかかりますが、子どもが幼いうちはそれほど出費も多くありません。パートナーとよく話し合い、国や自治体の制度を活用して、長期目線で家計を安定させていきましょう。