【2025年版】住宅ローン控除、初年度の確定申告の注意点は?
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目次
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、所得税や住民税が軽減される制度です。今回は会社員で住宅ローンを利用して住宅を購入した場合の住宅ローン控除の進め方や、初めて確定申告を行う際の注意点について詳しく解説します。
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除は住宅ローンを利用して住宅を購入した人が、毎年の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税の税額控除を受けられる制度です。具体的には控除期間中の毎年12月31日時点の住宅ローンの残高に控除率を掛けて、控除額を算出します。その控除額を上限に毎月天引きされている所得税の還付=払い戻しを受ける仕組みです。2年目以降は年末調整で対応できますが、初年度だけは確定申告が必要です。
【2024年購入者】住宅ローン控除の対象になる借入上限額
住宅ローン控除の借入限度額は住宅の性能によって異なります。2024年に入居し、返済がスタートした場合の借入上限額は下記の通りです。
上記の表のように省エネルギー性能が高い住宅ほど借入上限額が高く設定されており、最大で4500万円までとなっています。
なお子育て世帯(19歳未満の子供がいる)や若者夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)が2024年(令和6年)度に入居する場合には特例が設けられており、長期優良住宅:5000万円、ZEH水準省エネ住宅:4500万円、省エネ基準適合住宅:4000万円に上限額がアップしています。
また2024年からは、新築で省エネルギー基準を満たしていない住宅は控除が受けられなくなっています。なお省エネルギー基準を満たしていなくても、2023年12月31日までに 新築確認をした場合は2000万円までが上限となります。また中古住宅であれば省エネルギー基準を満たしていなくても控除の適用対象です。
住宅ローン控除の控除率と控除期間
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住宅ローン控除は昭和47年(1972年)に前身となる住宅取得控除制度がスタートし、形を変えながらも継続されている制度ですが、控除される内容や控除率はその時々で変更されています。2024(令和6)年に入居・住宅ローン返済がスタートした人には0.7%という控除率が適応されています。
例えば子育て世帯・若者夫婦世帯が新築の長期優良住宅を購入して2024年12月末の借入残高額5000万円の場合、最大で年間35万円 が控除できます。また控除期間は新築住宅・買取再販住宅が13年(省エネ基準未達の新築住宅で2023年までに新築の建築確認ができていれば2024年以降の入居で10年 )、中古住宅は一律で10年間と定められています。
参考:国土交通省/住宅ローン減税の借入限度額及び床面積要件の維持(所得税・個人住民税)
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要!いつやるの?
住宅ローン控除を利用するには入居・返済が開始した年の翌年に確定申告が必要です。なお確定申告は例年2月16日から3月15日までの期間となっていますが、2024年に入居・返済がスタートした人はカレンダーの関係で2025年2月17日(月)から3月17日(月)の期間中に申告が必要です。
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類
住宅ローン控除の確定申告に必要な書類は多岐にわたります。準備をするのに時間を要するものがありますので、早めに準備に取りかかりましょう。ちなみに準備する書類は一般的には、以下の通りです。
準備する書類の中では、法務局で取得する建物や土地の登記事項証明書に注意が必要です。法務局に出向いて取得するかインターネットで申請し郵送してもらうなどの手続きが必要になり、申請をしてから手元に届くまで時間がかかることがあります。そのため法務局での手続きを一番初めに進めると良いでしょう。また確定申告時に家族のマイナンバーも必要になるので注意してください。
確定申告はどこで出来る?
準備が整い、いざ確定申告という場合はどのように進めれば良いでしょうか?
① 納税地を管轄する税務署に出向いて行う
② 地域の確定申告会場
③ 自宅からパソコンやスマートフォン、マイナンバーカードを使用して申告する
確定申告は税務署や確定申告会場に出向いて行うか、インターネットで行うかの2択となっています。
税務署や地域によって設けられている確定申告会場で行うメリットは、不明な点を相談しながら手続きを行えることです。特に会社員は年末調整しか経験がない人がほとんどで、確定申告となるとハードルが高いと感じる人も多いでしょう。そのような人にとっては相談しながら行えるということは大きなメリットになっています。ただし期間中は非常に混み合うことが多く、事前に予約が必要で待ち時間が長くなります。また必要書類などに不足があった場合、後日やり直すことが必要なこともあります。
確定申告はインターネット利用がおすすめ
税務署や確定申告会場での申告に代わり、利用者が増えているのがインターネットを通じた申告です。インターネットを利用して確定申告を行う場合は主に2つのパターンに分かれます。
① 国税庁の「確定申告書作成コーナー」というサイトで申告書を作成し郵送する
② マイナンバーカードとスマートフォンで申告を行う
どちらともインターネットを通じて申告作業を行うため、時間や場所の制限を受けません。また②のマイナンバーカードとスマートフォンを利用して行うと書類の提出も必要ありません。利便性が高く、年々利用者が増えています。
分からない部分をすぐに相談できないということがデメリットではありますが、平日のみ対応の「確定申告電話相談センター」という相談窓口が準備されています。またYouTube上に国税庁動画チャンネルという公式動画サイトがあり、この中で確定申告を特集しているプレイリストもあります。公式動画ではパソコンやスマートフォンで確定申告をする方法が詳しく説明されているので、動画を参考にすればそれほど難しくないでしょう。
なお国税庁の公式LINEを友だち登録すると、確定申告の準備や申告書の作成というメニューも準備されており、こちらから確定申告を行うこともできます。
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還付金がもらえる時期
住宅ローン控除のための確定申告を行うと、源泉徴収された所得税から還付金という形で、公金受取口座や指定した銀行口座にお金が返ってきます。口座に入金されるまでの時間ですが、パソコンやスマートフォンを利用して電子申告(e-Tax)で行った場合は3週間程度です。一方、紙の申告書を使用して申告した場合は1~2カ月と言われています。やはり電子申告の方が明らかに入金までのスピードが速いです。
住宅ローン控除のための確定申告における注意点
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住宅ローン控除を利用するためには初年度は確定申告が必要ですが、いくつか注意点があります。
① ふるさと納税のワンストップ特例が適用できない
ふるさと納税はワンストップ特例ではなく、確定申告が必要です。会社員で1年間の寄附先が5自治体以内であれば確定申告が不要になるふるさと納税ですが、住宅ローン控除を申請する最初の確定申告ではワンストップ特例が使えません。確定申告の寄附金控除に必要事項を入力しましょう。もしワンストップ特例を利用していても、確定申告の手続きをすれば問題はありません。
② 他の控除との同時申告は可能
医療費控除や生命保険料控除など、その他に申告する項目があれば一緒に申告しましょう。
③ 確定申告の期日を過ぎてしまった場合
確定申告の期間が過ぎた場合でも、還付申告は可能です。確定申告は前年の所得に対する所得税の金額を算出するために行う制度です。そのため自営業者や会社員で副業があるような人が期間中に申告を行わなかった場合はペナルティーがあります。一方で給与は一カ所のみで年末調整も終わっている人は課税関係の計算は終了しているため、3月15日(2025年は3月17日)以降に確定申告(還付申告)を行っても大丈夫です。
④ ペアローンや連帯債務の場合
共働き夫婦でペアローンや連帯債務という形式で借り入れしているケースでは、二人とも住宅ローン控除を利用できるため確定申告が必要です。
⑤ 控除額の上限
控除される所得税は源泉徴収されている金額が上限です。仮に控除額が25万円で源泉徴収されている所得税が18万円であれば、還付される金額は最大18万円です。所得税から控除しきれなかった金額がある場合、課税所得の5%を上限(上限9万7500円)として住民税から控除されます。
まとめ
住宅購入時に欠かせない制度が住宅ローン控除です。一時に比べると控除率や借入限度額が縮小されていますが、それでもなお年末時点における住宅ローン残高の0.7%の金額を上限に還付されるという有用な制度です。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で対応できます。また通常は年末調整で済む会社員にとって確定申告は面倒なイメージが先立ちますが、年末調整済みの源泉徴収票があれば、それほど難しい作業ではありません。そうは言っても初めて確定申告をする場合は、早めに取りかかることをおすすめします。
住宅ローン控除に関するQ&A
Q:ふるさと納税は住民税の前払いという認識ですが、確定申告してもそうですか?
A:ワンストップ特例を利用すると住民税のみにふるさと納税で納めた金額が適用されますが、確定申告を行う場合はまずは所得税を減らします。住民税の金額の減少額のみに注目するとワンストップ特例の方が大きくなります。
Q:おすすめの確定申告方法はありますか?
A:パソコンやスマートフォンを利用した申告がおすすめです。なおマイナンバーカードを利用してe-Taxで送信する方法は便利ですが、電子証明書のパスワードが必要になります。事前に準備が必要なことがありますので、国税庁のサイトで確認してください。