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灯油ストーブとエアコン、冬はどっちの暖房費が安いの?

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灯油ストーブとエアコン、冬はどっちの暖房費が安いの?

【画像出典元】「fizkes -shutterstock.com/」

冬に使う身近な暖房器具の「灯油ストーブ」と「エアコン」。この2つを比べた場合、どちらの方が冬の暖房費が安くなるのでしょう。今回は1時間あたりのコストを比較してみました。

また、灯油ストーブとエアコンには、暖房費だけでは測りきれないメリットやデメリットもあります。機器としての特性も交え比較しますので、それぞれの理解を深め、どちらの暖房器具が自分のライフスタイルに向いているか検討してみて下さい。

灯油ストーブの1時間あたりの燃料代

柱型の石油ストーブ
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灯油ストーブの1時間あたりの燃料代は、「灯油1Lあたりの価格」×「燃料消費量」で計算できます。

経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査」によると、灯油1Lあたりの価格は116円です(2023年10月30日時点)。

そしてコロナの8畳用灯油ストーブ「SX-E2923Y」を例とした場合、燃焼消費量は0.279L/hです。

これを計算すると、灯油ストーブの1時間あたりの燃料代は、116円×0.279L/h=32.364円となります。つまり1時間あたり約32円分の灯油を使っていることになります。

エアコンの1時間あたりの電気代

エアコンの吹き出し口のアップ
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エアコンの1時間あたりの電気代は、消費電力(W)÷1000 × 電気料金単価(円/kWh)で計算できます。

公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会」によると、電気料金単価の目安は31円/kWh(税込)です(2022年7月より27円から31円に改定)。

そして東芝の8畳用エアコン「RAS-K251X」を例とした場合、暖房時の消費電力は605W(最小110W~最大1200W)です。

これを計算すると、エアコンの1時間あたりの電気代は、605W÷1000×31円/kWh=18.755円となります。つまり1時間あたり約18円分の電気を使っていることになります。

エアコンは外気温により消費電力が変わりやすい

注意点として、エアコンの消費電力は外気温などによって変動しやすいです。たとえば真冬の外気温が低い環境で、フルパワーとなる1200Wで暖房を稼働し続けた場合、1時間あたりの電気代は、1200W÷1000×31円/kWh=37.2円となります。

エアコンのほうが安くなりやすい

以上を比較してみると、灯油ストーブよりエアコンの暖房費の方が安いことが分かります。灯油ストーブには、一般的にエアコンのような自動モードや省エネ機能などは備えられておらず、どうしても燃料消費が激しくなりがちです。

ただし、前述したようにエアコンは外気温などによって消費電力が変動しやすいため、使用する環境によっては灯油ストーブの暖房費のほうが安くなることもあります。加えて、10年以上前の古いエアコンは、最新のタイプに比べると消費電力が高く、灯油ストーブとの差があまり開かない場合も。

また、こうしたコストの差は「灯油価格」と「電気料金」の相場次第で変動するため、今後の相場動向によってコストが逆転する可能性も否定できません。

灯油ストーブのメリット・デメリット

灯油ストーブには、灯油ストーブならではの魅力や強みもあります。ここでは、エアコンと比較した場合の灯油ストーブのメリットやデメリットについて解説します。

メリット

・素早く暖められる
・電気がなくても使える
・本体価格が安い

灯油ストーブはエアコンよりも早く、部屋を暖められます。電気がなくても使えるタイプも多く(乾電池のみ)、コンセントのない場所でも利用できます。本体価格が1万円程度で購入できるストーブも多く、初期コストを抑えられる点も強みです。

デメリット

・エアコンより暖房費が高い
・火を使うので危険性がある
・換気が必要

前述したように、灯油ストーブはエアコンよりも暖房費が高くなりがちです。また、火を使うため、扱い方を誤ると火傷や火事の原因になりかねません。燃焼時にガスが発生するため、一酸化炭素中毒などを防止するためにも定期的な換気が必要です。

エアコンのメリット・デメリット

リビングのエアコンを操作する女性
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続いて、エアコンにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。ここでは灯油ストーブと比べた場合のエアコンの特性を解説します。

メリット

・灯油ストーブより暖房費が安い
・安全に使える
・1年中使える

エアコンには自動モードや節電機能が付いているため、灯油ストーブよりも暖房費を抑えやすいです。灯油ストーブのように火を使わないため、安全に使える点も強みです。また、夏は冷房として使える利便性も魅力と言えます。

デメリット

・本体価格が高め
・乾燥しやすい
・低い位置が暖まりにくい

エアコンの本体価格は、6畳向けの小型タイプでも最低5万円以上かかります。設置作業を業者に依頼する必要もあり、導入までのハードルが高めであることが難点です。またエアコンを使うと部屋が乾燥しやすくなることも欠点といえます。加えて、冷たい空気は下のほうに溜まりやすいため、足元など部屋の低い位置を暖めにくいこともデメリットです。

状況に応じて使い分けがおすすめ

灯油ストーブとエアコンにはそれぞれ長所短所がありますので、状況によって使い分けたり、もしくは併用することがおすすめです。

直ぐに暖めたい場合は灯油ストーブ

灯油ストーブであれば、つけた直後に周囲が暖まります。たとえば「帰宅した直後の部屋を暖めたい」「朝の着替え中だけ暖めたい」「キッチンのような温度の低い場所を暖めたい」など、短時間で暖めたい場面では、灯油ストーブを使うのがおすすめです。

長時間使うのであればエアコン

灯油ストーブは長時間使用すると暖房費もかかり、換気も必要になります。そのため、何時間も継続的に暖房を使う場面では、基本的にはエアコンのほうが有利です。

また、寝る時や外出時などは、安全面から灯油ストーブではなくエアコンを使いましょう。「一般社団法人 日本ガス石油機器工業会」が呼びかけているように、灯油ストーブを使う場合には以下の点に注意することが大切です。

・寝る時・外出時は消火する
・灯油ストーブに長時間当たらない
・1時間に1~2回程度換気をする

エアコンと加湿器やサーキュレーターを併用

エアコンを長時間使うと部屋が乾燥しますので、肌の乾燥を防ぐためにも、加湿器を併用するのがおすすめです。また、エアコンでは部屋の低い位置を暖めにくいため、サーキュレーターなどを活用し、上部に溜まった暖かい空気を足元へ循環させてあげると効率的です。

暖房代をさらに節約する方法

冬の窓の結露
【画像出典元】「Paul Maguire- stock.adobe.com」

部屋の防寒対策や、暮らし方の見直しによって、暖房器具の稼働率を減らし、電気代を節約できます。

具体的には、以下のようなアクションを行うことで更なる節約につなげられます。

・窓に断熱シート、隙間ガードシール、厚手のカーテンなどを設置する
・厚着をする、防寒対策の施された衣服を着る
・身体の温まる食品や飲み物を摂取する
・家族と同じ部屋で暖房器具を使うなどして「ウォームシェア」を心がける
・部屋を加湿する(湿度が高いと体感気温が上がるため)
など

まずは目を向けたいのは「窓」です。「一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会」によれば、冬の暖房時における窓からの熱の流出は58%というデータが出されています。熱が逃げやすい窓に防寒対策を施すことで、部屋の暖かさを持続しやすくなるため、暖房器具の稼働を抑えられ、結果的に節電につながります。

以上、灯油ストーブとエアコンの暖房費について比較しました。

単純にランニングコストだけをみれば、エアコンの方が灯油ストーブよりも安上がりになる場合が多いです。ただしエアコンは万能というわけではなく、使う場面や使う場所によっては、灯油ストーブの方が重宝されることもあります。それぞれに向き不向きがありますので、状況によって使い分けたり、併用する意識を持って、冬の暖房費節約に繋げていきましょう。