【支出増額一覧付】消費税15%になったら支出は毎月いくら増える?
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2025年7月に行われた参院選では「消費税の減税」や給付金が焦点となりました。一部では、「長期的には消費税増税やむなし」という見方もあり、消費税は高齢化が進む日本の社会保障費を担う重要な財源と位置付けられているため、今よりもう一歩、高い税率へと上がることも十分に考えられます。
本記事では、単身世帯や二人以上の世帯の家計消費支出をもとに、もし消費税が15%に引き上げられた場合に「月いくら負担が増えるのか」を試算。さらに、住宅や車など大きな買い物への影響や、家計を守るための防衛策について解説していきます。
消費税15%は現実味ある?日本財政の現状
日本が国債を多く発行していることは多くの人が知っていると思います。つまり国の運営を行うのに借金に頼っているのです。
みなさんは「プライマリーバランス」という言葉を聞いたことがありますか?これは借金を除いて、税収のみで社会保障費をはじめ国の支出を賄えているかどうかというバランスです。
このようにバランスが取れているのが理想で、2025年度は黒字化が見込まれていましたが、実際は税収よりも政策的経費と呼ばれる国の経費が上回ったため、均衡がとれていない状況です。
日本は長年、このようにプライマリーバランスは「赤字」の状況が続いていました。そのため、それを補うために国債が発行されているのです。
そして長年国債を発行していれば償還も到来します。借りたお金は返済しなければなりません。加えて、借りているお金には利息の支払いもつきものです。よって日本の財政は以下のようになっているのが現状です。
こういった財政問題の改善のためには「消費税を15%程度にすべき」という見方もあり、引き続き消費税の引き上げが議論される可能性はあります。
消費税15%で家計シミュレーション、最大で月1.6万円も支出増?
総務省の2024年の家計調査によると単身世帯の消費支出は18万円程度、2人以上の世帯の支出は30万円程度が平均値となっています。
単純に現状より5%増税となった場合、単身世帯は1万円弱、2人以上の世帯は1万円以上も負担が増えることが見込まれます。2人以上の世帯で支出の多い40代や50代においては1万5千円近い負担増となりそうです。
住宅・車など大きな買い物への影響は?「駆け込み需要」も注意
過去の消費増税前には、住宅や車といった高額商品の駆け込み購入の動きがありました。今回はまだ増税が決まったわけではありませんし、むしろ減税も検討されています。そういう点では消費税を基準に大きな買い物をするのではなく、あくまで各人が今後の生活設計や計画にそって購入するタイミングを判断することが賢明です。
ただし、住宅や車は消費税率によって購入総額が大きく変わるため、今のうちに正しい知識を身に付けておきたいところです。例えば住宅の場合、建物は課税対象ですが、土地は非課税となります。よって利便性の高い地域でのマンションは購入額のうち敷地分、つまり土地の占める割合が高いため、それほど増税や減税の影響を受けない可能性があります。
過去においては、消費増税前の駆け込み需要の反動から、増税後に高価な商品やサービスが売れなくなり、それに伴い値下げが行われ、増税前よりも安く購入できるというケースもありました。
また、税金は消費税だけではありません。住宅については固定資産税、車も自動車税など他の税金も制度が変わる可能性があります。消費税のみならずこのような税金についても「制度改正は予定されていないか?」など動向をチェックするのも上手な買い物の仕方に繋がります。
FPが提案する家計防衛策とは?
今回は消費税が15%となった場合を視野に入れましたが、消費税増税に限らず私たちの支出負担は今後も増していく可能性があります。例えば社会保険料もその1つです。健康保険料や介護保険料などの負担が以前よりも随分と大きくなったと感じている人も多いと思いますが、今後もその流れは続きそうです。
さらには物価上昇も私たちの支出負担の大きな影響となります。物価上昇の要因の1つが「円安」です。日本は資源や食料など海外からの輸入に大きく依存しています。円安が進めば、その分が価格に転嫁され、どんどん身の回りの品の値段が上昇します。
外国為替の影響をほとんど受けない商売もあります。ただし、身の回りの商品の値上げにより、その商売に従事するスタッフそれぞれの生活が厳しくなります。そのため、そのスタッフの賃金を上げなければならないとなると、結果的にその商売が提供する商品やサービスの値段も上げなければなりません。このように様々な分野で現在値上げが行われています。
物やサービスの値段が上がるということは「お金の価値が低下している」ことを意味します。1万円の額面はそのままでも、来年、再来年と物やサービスの値段がどんどん上がればその分だけ1万円というお金の価値は低下していっているのです。将来、「1万円が今の8000円程度の価値しかない」という状況も想定されます。よって、増税なども考慮し、お金の価値を維持するためには資産運用が重要ということになります。
物価が1年間で2%上昇しても、その分、株式や投資信託、外貨などの資産運用でリターンを得ることができれば、資産の価値を維持することができます。もちろんすべてのお金を運用に回す必要はありません。預金など安全資産も重要です。
よって安全な資産と積極的に運用する資産に分けて、例えば安全資産50 %(年平均利回り0%想定)、積極資産50%(年平均利回り4%想定)を持っていれば年間2%の利回りとなり、物価上昇に負けなかったことになります。
「株はこわい、リスクを取りたくない」という人もいますが、「何もしないこともまたリスク」という時代に突入しています。もちろん資産運用にはリスクはつきものですが、防衛策という見方をして、基本的なところから学び実践してみるのはいかがでしょうか。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします