博多の街並みを活かした新しい宿屋の形。老舗企業の取り組みとは
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博多の街並みを活かした新しい宿屋の形。老舗企業の取り組みとは

LOCAL CREATION

2018年12月1日、福岡市博多区冷泉町に「宿屋(やどや)ひととき」がオープンした。ここは1日2組限定の宿泊施設で、他では味わえない“モダンステイ”を提供し、さらに1階には沖縄の名店「ポークたまごおにぎり本店」が本土初登場!

この宿泊施設とおにぎり店を仕掛けるのは、福岡県直方市に本社を構える「株式会社谷弥」だ。今回は店長を務める馬場崎優希さんに、歴史ある街並みを生かしたリブランディングの経緯や施設への想いを聞いてきた。

Q. 150年続く会社がリブランディングに踏み切った理由とは?

Q. 150年続く会社がリブランディングに踏み切った理由とは?

弊社「株式会社谷弥」の創業は1865年。当時は呉服商や両替商で財を成しました。大正時代から石油販売業に参入し、昭和終期に大型店舗のフランチャイズビジネスを展開し始め、現在はガソリンスタンドや書店を含めたフランチャイズ事業をメインに運営しています。

ただ、フランチャイズ事業だと「谷弥」 の顔が見えにくいですよね。私たちももっと表に立ちたい、「谷弥」 のフラッグシップ店がほしい、という思いが段々強くなってきました。

そこで、3年前の創業150周年を機にリブランディングに着手。会社のロゴマークを刷新し、ブランドコンセプトを「ひと息つけるひとときを」と掲げ、それを体現するものとして「宿屋 ひととき」を立ち上げることにしたのです。

Q. 宿泊施設をオープンさせるまでの苦労はどんなものでしたか?

Q. 宿泊施設をオープンさせるまでの苦労はどんなものでしたか?

リブランディングのプロジェクトを立ち上げたのは3年前。綿密にコンセプトづくりを行い、2年前に縁あってこの建物を購入しました。博多駅や天神駅に近い場所ですし、古い神社や商店が根付き、歴史と独自の文化を持つこの街は、何の商売をするにもいい環境だと感じました。

それと同時期に、弊社の社長と沖縄の「ポークたまごおにぎり本店」のオーナーが知り合いました。沖縄・牧志市場にある「ポークたまごおにぎり本店」1号店の2階は、コンドミニアム風の宿になっています。DIYで作られたその宿舎に社長が泊まり、その宿の魅力と新しい店舗スタイルに感化。そこから、宿泊施設を検討し始めたという流れです。

さらに、他と差別化できるホテルにするには? 会社の新コンセプト「ひと息つけるひとときを」に相応しいサービスとは? ここを導き出すのに苦労しましたね。ワンフロアで2〜3部屋展開する一般的な案も出ましたが、街のゆったりとしたリズムや、リブランディングでの新コンセプトの視点から、1部屋を他のホテルよりもっと広くしようという意見が浮上しました。

最近はインバウンドのグループ客も多いですし、ファミリーや女子旅など大人数で泊まれる客室を作るために大胆ですがワンフロア1部屋の規模にすることにしたのです。こうして、他にはない「谷弥」ならではのアプローチとして、1日2組限定の宿泊施設にすることを決めました。

Q. 宿泊施設「宿屋 ひととき」のこだわりを教えてください。

Q. 宿泊施設「宿屋 ひととき」のこだわりを教えてください。

博多の古い街並みにマッチするように、「和」のテイストを取り入れています。場所が「櫛田表参道」沿いにあるので、町屋っぽい佇まいにしようかというアイデアも当初あがりましたよ。

宿泊施設のオープンに伴い、築52年の建物をフルリノベーションしました。2・3階の客室は「博多のタイムレスなひととき」をコンセプトに、格子の扉や畳などの和の空間をベースにしながら、モルタルの床や北欧風の家具を採用して、「和モダン」に仕上げました。いかにも“ホテル”というよりも、センスのいい友人宅へ遊びにきたという感覚ですね。

50平米以上あるので、通常のスイートルームと同じ広さ。ふぅと腰を落ち着けて寛げますよ。

Q. ホテルではゲストがどんな体験を楽しめますか?

近くに寺社仏閣や博多駅、博多リバレイン、キャナルシティ博多などが点在し、新旧の要素が入り混じるエリアです。街では時代を超えた魅力を体感できて、宿ではホッと落ち着ける時間を堪能できます。

2階の部屋にはベッドゾーン以外に畳の小上がりやリビングスペース、ミニキッチンも完備! 革張りのソファでゆったり寛ぎながら、友人や家族と一緒にゴロゴロのんびりできますよ。1名から5名まで利用可能ですが、人数が多くなる程宿泊料がお得です。4名利用で1人あたり8910円から、5名利用で1人あたり7776円から(※日によって金額は異なります)。

3階のテーマは「女子旅」で、最大6人宿泊可能。見所はヒノキの樽を置いたお風呂! さらに美顔器やヘアアイロンを付け、洗面所も広くするなど、女性にうれしいポイントが満載ですよ。4名利用で1人あたり1万260円から、5名以上の利用で1人あたり9500円から(※日によって金額は異なります)。

オープニングのレセプションでは、地元の方々から「ここで友達とゆっくりお酒を飲んでパジャマパーティーしたい!」「仕事の合宿ができそう」などの感想をいただき、旅行者以外の新しい利用の仕方も生まれそうです。

Q. 1階の「ポークたまごおにぎり本店」も大人気ですね! おすすめの味は?

スパムと焼きたまごを挟んだおにぎりサンドは、沖縄で親しまれているソウルフードです。社長が惚れ込んだ人気店の味わいを、念願叶って博多に持ち込むことができました!

“行列を作る沖縄の人気店が本土初上陸!”ということで、早速SNSやメディアで注目していただいています。定番の「ポーたま(280円)」をはじめ、博多限定の味「博多めんたま(380円)」「アジたる(450円)」「梅しそ(350円)」など、できたての美味しさをどうぞ。食べ応えを重視するなら「ゴーヤの天ぷら(450円)」(↑写真)や「島豆腐の厚揚げと自家製油味噌(450円)」も一押しです!

ちなみに、福岡市が展開する「博多旧市街プロジェクト」の一貫で、3月には店の前の櫛田表参道が石畳になる予定。うちもゆくゆくは窓にすだれをかけるなど、さらに味わいを増していきたいです。そして時を超えて、老若男女に愛される場所になれたらと思います。

株式会社谷弥 馬場崎 優希

株式会社谷弥 馬場崎 優希

2013年株式会社谷弥に入社。「宿屋 ひととき」「ポークたまごおにぎり本店 櫛田表参道」店長を務め、爽やかなルックスと物腰の柔らかい接客で幅広い層をもてなす。最近の大きな買い物は、趣味でもある「車」だとか。

【宿屋 ひととき 】
住所:福岡市博多区冷泉町3-15
TEL:092-263-8339

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