「自分好みのノートと絶対出会える店」誕生のきっかけとは?
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「自分好みのノートと絶対出会える店」誕生のきっかけとは?

クラウドファンディング

文房具好きをはじめ、小さな子供からシニアまで、幅広い世代に愛されている文具店「PLASE.STORE(プレイズストア)」。店中にカラフルでおしゃれな文房具がギュッと集まり、見る者すべての心をわし掴み!

そんな人気店を手がけるオーナー・髙山啓太さんは、もっと街に根ざし、愛されたいと願い、クラウドファンディングを使って、鳥飼店を文房具の専門店からノート専門店へとリニューアルさせた。もともと人気店だったのに、どうしてまたテコ入れを……? そんな素朴な疑問から、取材の話は始まった。

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8年間、こだわりの文房具を扱ってきて気づいたこと。

8年間、こだわりの文房具を扱ってきて気づいたこと。

髙山さんは、インテリアショップで働いていたこともあるほど、モノが大好き。文房具もインテリアのように、見た目のかわいさが大事だと語ります。機能性だけでなく、「手に取りたい」「持ち歩きたい」と、日々のテンションをグッと上げてくれるデザインにこだわって、商品をセレクトしているそうです。

「そんなスタンスで約8年間、店を続けてきました。文房具好きの人や、中高生の子たちは好んで来てくれますが、まだ一度も来てもらえていないご近所さんも結構います。ここ鳥飼は、生活感のある小さな街。幼い子供からおばあちゃんまで行き交う住宅街で、おそらく“文房具なんて使えればいい”という考えの方がほとんど。デザインにこだわったところで、住民の方はそこを求めていないのかなと感じる瞬間もありました。こんなネガティブなこと、言いたくないんですけどね(笑)」

そう語る髙山さん。「おしゃれな文房具を好んでくれる人に来てもらえるなら、それでいい!」と割り切ろうとする反面、やっぱりこの状況がどこか気がかりで、もっと街の人に喜ばれる店になりたいという思いがわいてきたというのです。

リニューアルのきっかけは「学習帳」の存在だった。

リニューアルのきっかけは「学習帳」の存在だった。

文房具専門店からノート専門店に切り替えようと思ったのは、「ジャポニカ学習帳」を取り扱うためでした。

周りが住宅街とあって、日頃から小学生の親御さんから「ジャポニカ学習帳はありますか?」と聞かれることが多々あったそう。以前の「プレイズストア」だと、スタイリッシュな文房具の中に学習ノートを置くと妙に浮いてしまうし、店の統一感も損なってしまう。お客さんからは求められているものの、店に置くにはちょっと悩ましい……。

あるとき、本屋さんの本棚を眺めながらハッとひらめく瞬間が訪れます。
「ノート専門店にすれば、いろんなジャンルのノートを扱えるから、学習帳があってもつじつまが合うなと。ノートに的を絞ることで、小学生のリクエストにも応えられるし、こだわり派が求めるようなデザイン性の高いノートも置けて、勉強から仕事、趣味まで、みんなの日常に寄り添える店になれると思ったんです」

決死の覚悟で挑んだクラウドファンディング。準備期間を誤算!?

決死の覚悟で挑んだクラウドファンディング。準備期間を誤算!?

急に思いついた、ノート専門店へのリニューアル計画。思い立ったら即行動したい髙山さんですが、リニューアルにかける資金はない状況。そんなときに知人にすすめられたのが、クラウドファンディングでした。「髙山さんを応援したいと言ってくれる支援者はたくさんいるはずですよ」と背中を押してもらい、失敗したら大恥をかくけれど……、覚悟を決めてチャレンジしてみることに!

当初のクラウドファンディングはこちら

クラウドファンディングの準備は想像以上に大変だったとか。お店立ち上げの経緯やその想いを詳しくまとめながら、過去写真をかき集め、新たに撮影したり、支援者へのリターンを考えたり、実際にリターンを準備したり…。しかも一旦公開すると修正に手間がかかるので、最初からしっかり作り込んでおかなければなりません。

ちょうどその頃、一人で店を回していた環境もあり、クラウドファンディングのサイト制作に約2ヵ月かかったそう。「もう少しスムーズに立ち上げられるかと思っていたので、ちょっと想定外でした。本当は昨年8月にリニューアルオープンしたかったのですが、結果10月にズレたのは、この準備期間のせいです(笑)」

オリジナリティあふれるリターンとお客さま目線のサービスを提案!

オリジナリティあふれるリターンとお客さま目線のサービスを提案!

クラウドファンディングの目標金額は150万円。「実際のところ、店の内装を変えて、ノートをたくさん仕入れるためには300万円くらい必要でしたが、300万円も集められる自信がなくて。ここは僕の臆病さが出ちゃいましたね〜」と苦笑い。

ちなみに、通常のクラウドファンディングだと、資金援助のリターンに商品(モノ)を送るケースが多いのですが、髙山さんは「あなたのオススメのノートをお店で販売します!」「一日お店番ができる権利」など、体験型をメインに提案。中でも「店主があなたのためにセレクトしたノートをお届けします」というプランが一番人気だったとか。
こうした面白いアイデアを盛り込みながら、約1ヵ月間で220万円ほどの支援金が集まり、無事に目標達成!

さらに、「200万円達成したら、全ノートを試し書きできるようにします!」と宣言し、リニューアル後の店舗で実施しています。このサービス、店側としては経費がかさんでなかなか実現が難しいことなのですが、お客さんからはとても喜ばれているそう!

支援者の「存在」に感動! 素晴らしい出会いもクラウドファンディングのおかげ。

何気ない日常だと、周りからの応援や自分の信頼性を実感する機会はそんなに多くないもの。けれどクラウドファンディングをやったことで、それが目に見えてわかったことがすごくうれしくて、励みになったと髙山さんは語ります。

「支援金の額よりも、支援してくださった方が227人いたという事実が、自分にとって大きかったです。そしてリニューアルを果たし、いいスタッフにも出会えました。この巡り合わせもクラウドファンディングがもたらした結果。やってよかったな〜と思えています」

あとは宣伝効果も。どの文房具店も単価が低いノートの取り扱いを縮小するこのご時世、「ノート専門店を開く、型破りやヤツがいる!」と東京でも話題に! クラウドファンディングで髙山さんの存在を知った文房具メーカーから、うちのノートを置いてもらえませんか? と依頼があるなど、仕入れ先との出会いも生まれました。

まもなく8周年を迎える「プレイズストア」 。ノート専門店へと生まれ変わって、さらに“街に欠かせない、みんなの馴染みの店”になっていくに違いありません。髙山さんの言葉が、そう確信させてくれました。

「店を運営する上で、単価が高い商品を売る方が効率的だとわかっています。けれど、僕は一冊の学習帳を必要な人に届けられる環境づくりも大切にしたいなと思うんです。地域の人に喜ばれてこそ、はじめて地域に根ざしていると言えるはずです。僕も街のみなさんに喜ばれるように、地に足をつけて、地域に寄り添いながらお店を続けていきたいと思っています」

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PLASE.STORE NOTE BOOKS 髙山 啓太

PLASE.STORE NOTE BOOKS 髙山 啓太

1983年生まれ、福岡県飯塚市出身。インテリアショップ勤務後、2011年に福岡市城南区鳥飼に「PLASE.STORE」をオープン。2014年に南区大楠に2号店を開き、愛犬・つくし(店長)と両店を行き来する。2018年10月に鳥飼店をノート専門店へとリニューアルし、「良いノートと出会える場所」を作り出している。

PLASE.STORE NOTE BOOKS(プレイズストア ノートブックス)
福岡県福岡市城南区鳥飼5-3-1
TEL:092-407-8087
営業時間:13:00〜19:00
定休日:日曜