間借りだからこそできる自由で斬新なカフェスタイル~花待ち雨珈琲
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間借りだからこそできる自由で斬新なカフェスタイル~花待ち雨珈琲

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今、独立を目指す人々の間で話題の「間借り」という営業スタイル。その名のとおり、営業時間外に場所を借りてカフェをやったり、曜日限定でタイ料理屋が和食屋をやっていたりといった、スペースや時間をシェアするスタイルの運営をするお店のことです。

賃料や物価の高い都心部ではメジャーになってきた「間借り」スタイルを福岡でも取り入れている若きバリスタがいると聞き、さっそく訪ねてきました!

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開業を決めてから3ヵ月後に焙煎所をオープン!

開業を決めてから3ヵ月後に焙煎所をオープン!

お話を伺ったのは、福岡市中央区六本松で「花(ほ)待ち雨珈琲」という焙煎所を営みながら、週2日だけ警固町の「COFFEE&SAKE NINETEEN」で【間借りカフェ】をしている、焙煎士・バリスタの安川佳織さん。

もともとは、「いつか自分のカフェをしたい」という思いから、自家焙煎の珈琲店で経験を積んでいました。

「私が勤めていたお店は、浅煎り・中煎り・深煎りと、焙煎具合に合わせてそれぞれ時間や温度などがしっかりマニュアルで決められていました。毎日焙煎をするうちに、自分の味が出してみたいと思い始めて、お店の焙煎機を借りて初めてマニュアルどおりではない焙煎をやってみたんです。そしたらとにかくまずくて(笑)、まるで炭みたいな珈琲になってしまいました。焙煎でこんなに変わるんだ、と逆にすごく興味を持ちました」

もっと焙煎について学びたいという思いが強くなり、新たな修業先を探していたときに現在も一緒に働いているスタッフの坂梨さんと出会います。坂梨さんのサポートもあり、「修業先を探すより、自分のお店でいろいろと焙煎してみた方が早い」と開業を一大決心。3ヵ月後には開業届を出し、2017年9月に焙煎のみの「花待ち雨珈琲」をスタートさせました。

カフェではなく焙煎所をオープンした理由

なぜカフェではなく焙煎所として開業を?との問いに、「焙煎をしないという選択肢はなかったから」と安川さん。同じ豆でも焙煎によって全く味が変わるため、自分たちが納得のいく珈琲をお客さまに提供するには焙煎所は絶対に外せなかったのだそう。

よいカフェにはよい焙煎ありき。そのきっぱりした口調から、2人が珈琲にかける思いが伝わってきました。

安川さんは、当時住んでいた六本松のアパートの一室を焙煎所として登録。一度に200gの焙煎ができる小さな焙煎機を約60万円で購入して開業し、焙煎した豆を持って各地のイベントに積極的に参加することにしました。

ちなみに開業費はほぼ焙煎機購入だけで済み、すべて自身の貯金でまかなったそうです。

【写真:注文が入ってから、1杯分ずつ豆を挽き丁寧にドリップ】

「間借りカフェ」というスタイルだからできること

2人は自分たちの珈琲の味をより多くの方に知ってもらおうと対面販売ができるイベントへの出店を積極的に行っていました。でも、イベントの出店料が1日約1000~5000円かかる上に、月に数回のイベントだけでは売上としても厳しいものがありました。

もっと販売の幅を広げるために、固定の場所が欲しい…と思い模索しているときに、技術を磨くために参加した福岡コーヒーフェスティバルのハンドドリップ大会で「NINETEEN」のオーナー・野中一九さんと出会い、それがきっかけとなり「間借りカフェ」を始めることになったのです。

「花待ち雨珈琲」が間借りカフェをしているのは、毎週月・火曜の8時〜18時。間借り料は、水道・光熱費込みで1日3000円ととってもリーズナブル!

間借りカフェには常時3~6種類の豆を持参し、お客さまの好みを伺いながらおすすめしています。

【写真:マスコットキャラクターのほまちちゃんや店内のかわいいメニュー表も安川さんの手作り】

「実際にカフェ営業をさせていただいて、メニューの検討や集客方法、注文からの流れ、接客などを実体験で学ぶことができています」と安川さん。

内装や使用する食器などについても明確なビジョンを持つこともでき、安川さんたちの珈琲の味のファンも増えるなどいいことずくめ。「今後にすごく役に立つ貴重な体験ができています」と、2人を積極的に受け入れてくれた野中オーナーには深く感謝しています。

間借りカフェの他にも、「山頂で珈琲を飲んだら楽しそう」という何気ない会話から始まった「山頂珈琲」や焙煎教室、カレー屋さんとのコラボ、フルーツシロップと珈琲のマリアージュなど、自分たちがわくわくする企画を実行し続けている2人。

それも現在の間借りカフェというスタイルだからこそできたのかも、と安川さんは言います。「いきなりカフェ運営をしても分からなかったこともあるし、最初からお店を頻繁に空けるわけにもいきません。今のスタイルだからこそフットワークも軽く、いろんなことにチャレンジできたんだと思います」

今後も新しい企画やイベントを続々計画中!

今後も新しい企画やイベントを続々計画中!

そうやって日々学んだことを活かし、できれば今後1年以内には自分のお店を持ちたいという安川さん。

現在は具体的な事業計画書を作成して専門機関に相談中とのことで、開業資金は貯金と専門機関からの借り入れを考えています。

こうした出店に向けての準備を進めつつ、自由がきく今のうちに、新しいイベントやコラボ企画などを続々と計画中なのだとか。これからどんな新しい珈琲の楽しみ方を提案してくれるのか、ますます楽しみですね!

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小さな焙煎所 花待ち雨珈琲  焙煎士・バリスタ 安川 佳織

小さな焙煎所 花待ち雨珈琲 焙煎士・バリスタ 安川 佳織

1989年生まれ、福岡県出身。自家焙煎の珈琲店に勤務後、独立。2017年9月、スタッフの坂梨隆寛さんと「花待ち雨珈琲」をスタート。一人ひとりのライフスタイルに合った珈琲の楽しみ方を知ってもらおうと「山頂珈琲」やイベント出店を継続中。2018年福岡コーヒーフェスティバルハンドドリップ大会優勝。
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