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「お金」について、毎回決まった質問に有名店のオーナーやデザイナーなどさまざまに活躍する方々に答えていただくmymo人気企画「お金にまつわる10の質問」。
第7回にご登場いただくのは、ご自宅で自家製酵母パンの教室「チコパン」を開く、諸岡稚子さん。月6回開催されるパン教室は常に満員、イベント出店すれば即完売、と根強いファンを持つ諸岡さんのパン。教室の運営やイベント準備、家事や育児とお忙しい中、お時間をいただきました。
それでは「10の質問」、スタートです!
① いま一番欲しいものと、その価格、理由を教えてください
自分の工房です。まだ子どもが小さいので、実際に動き始めるのはあと数年先だとは思います。金額もどれくらいかかるのか分かっていません。
今は自宅でパン教室を、販売用のものは知人の工房をお友達価格で貸してもらって製造しています。とても助かっていますが、使用時間の調整なども必要なので、いつかは自分の工房を持ちたいです。
【パン写真:右からカカオのハード、蓮根フォカッチャ、苺酵母白パン、ラウゲンベーグル、無花果と胡桃のメランジェ】
② いまどんなお財布を使っていますか?
10年くらい前に福岡・天神のVIOROで、2万円弱で買った<木の庄帆布>の赤いレザーの折り財布です。私が左利きで、なかなかしっくりくる財布に巡り合えずにいるのですが、これはこれで使い勝手が良く気がつけば10年経っていました…。
③ いま1万円渡されたら、何に使いますか?
家族旅行の費用の足しにします。2泊3日でもいいから飛行機に乗って、「旅行した!」と実感できるようなところに行きたいです。
パン教室のときは夫が子どもたちの面倒を見てくれていて、とても助かっているので、その感謝の気持ちもこめて。
【写真左:自家製酵母(左からイチゴ、酒粕、レーズン)、写真右:パン教室スペース】
④ これまでに一番有意義だったと思うお金の使い方はなんですか?
東京の「ロティ・オラン」というパン教室に通ったこと。主宰の堀田誠さんは、パン好きの中では有名な志賀勝栄氏のお弟子さん。ちょうど「高加水パン」について本を出されたばかりで、それを読んで興味を持ちました。
高加水パンは生地の水分量が多いので、しっとりもっちりした食感になりますが、その分扱い方も難しいんです。その頃はまだそれを教えてくれる教室が福岡にはなくて、もう東京まで習いに行くしかないと。
出産などで途中お休みしながら、3年くらい通いました。1回6500円ほどですが、宿泊費や交通費で毎回3~4万円はかかるので、季節ごとに年4回参加していました。
お金はかかりましたけど、そこで得た知識で、自分のやるパン教室で教えることにも幅が出たと思います。レシピだけでなく、手ごねをしないグルテンの組立など、理屈から細かく丁寧に教えてくださるところはなかなかないですし。
【写真:一年で一番カラフルな夏の酵母。ブルーベリー、梅、すもも、あんず、ニューサマーオレンジなど】
九州でもやってほしいと思って、堀田さんを自宅にお招きして、2度ほどパン教室もやったんですよ。
※志賀勝栄氏…東京のカフェ・ベーカリー「シニフィアン シニフィエ」のオーナーシェフ。高加水・低温長時間発酵のパンづくりのパイオニアとして多大な影響力を持ち、全国に多数のお弟子さんを持つカリスマシェフ。
※堀田誠氏…東京にあるパン教室「ロティ・オラン」主宰者。志賀勝栄氏に師事し、「シニフィアン シニフィエ」勤務などを経て2010年に開校。パンの作り方だけでなく、グルテンの組立など理論的に仕組みを説明してくれる講義内容にファンも多い。
⑤ 反対に、一番失敗したと思うお金の使い方はなんですか?
まだ20代の頃、街で知らないおじさんから、財布をなくしたからお金を貸してほしいと言われて1万円貸したこと(笑)。
絶対に返すから、ありがとうね!と言われたんですが、当然返ってこない(笑)。聞いた電話番号は北九州のスナックの番号でした…。
⑥ これまでにした一番高い買い物を教えてください(家・車以外で)
一番お金を使ったのは、大学時代のバンド活動です。パートはキーボード。子どもの頃からずっとピアノを習っていて、ピアノをメインで楽しむためにオリジナル曲も作りました。
CDの自主製作もして、レコーディングは1回15万円くらい。ライヴハウスの出演料や練習用のスタジオ代、移動費など細かい金額は覚えていませんが、トータルにするとけっこうな金額だと思います。
お金はかかりましたが、自分で考えて何かを作ることが好きなんだ、と実感できた時間でした。今、パン教室で教えたり、作ったりすることも自己表現のひとつです。自分の作るもので、気持ちを表している気がします。
⑦ これにはお金を惜しまないというのは何?
子育てに関することです。自分もピアノを習っていてすごくよかったと思うので、子どもが興味を持ったことはやらせてあげたいと思います。
上の子は、以前地区の行事でカメラマンさんを見てから、カメラに夢中。お誕生日にカメラが欲しいというので、HOLGAの1万円のカメラをプレゼントしました。4歳児にしては高いものですが、ちゃんとファインダーを覗いて撮れるのがよくて。見た目は完全に親の趣味です(笑)。
⑧ 自分なりの独自のお金ルールはありますか?
買い物をするときは、売り場でしっかり考え抜いてから買うようにすること。お皿を買うときも手持ちの食器との組み合わせや、教室での使い方などを売り場で妄想します(笑)。昔は衝動買いも多かったんですが、主人がどんなに欲しいものでも、その場では絶対に買わずに、すごく考えて冷静に判断して買う人なので、私もそういう買い物をしないと、と思うようになりました。
パン教室レッスン料:1回5000~5500円
(レシピ代、焼成生地、持ち帰り生地、試食・ランチ代込み)
⑨ お金は貯める派?使う派?それはなぜ?
ずいぶん改善しましたけど、どっちもありますね…。これから教育費もかかりますし、工房を借りるときの頭金程度は備えたいので、貯める派になりたいです(笑)。
⑩ お金はあなたにとってどんな存在ですか?
気持ちを伝えるためのひとつのツールでしょうか。お金ってただの「お金」ですけど、例えばご祝儀をあげるときには、そこにお祝いの気持ちが入っていますよね。
私は個人で活動している作り手さんと知り合う機会も多いんですが、そこで何かを購入するときは、ものを買うというだけでなく、「あなたのその仕事に感動した」という気持ちを伝えるためにお金を払っているという思いがあります。
私の作るパンも、販売価格にすると決して安くはありません。でも、他にも安いパンはたくさんあるのに、わざわざ私のパンを買ってくださる方は、「その価格を払ってでも食べる価値がある」という気持ちを持っていらっしゃるんだと思うんです。
その気持ちが、「お金」というツールで伝わる。だから、いただいたお金やその気持ちに見合うものを作りたいですし、私もそういう気持ちでものを買ったり、お代をお支払いしたいと思っています。