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福岡の知られざる歴史やトリビアが載った本はありますか?

2000円でかなうコト 大井 実

福岡の知られざる歴史やトリビアが載った本はありますか?

福岡に住んでもう長いけれど、まだまだ知らないことだらけ。福岡で馴染みのある建物や文化、有名人などの歴史をもっと紐解いてみたい! 歴女気取りの私に、オススメの郷土本はありますか?

Q1 コレ1冊読んでおけば、福岡のだいたいがわかるおすすめの本はありますか?

A1 「博多学」という本です。これはもうすごく古い本で、2002年に新潮社から出た本で、文庫本になって10年以上。うちの店でもず~っと売れているロングセラーの本。

歴史的なことではなく、ご当地の文化や街の動きなど、現在の博多の基礎知識が記されていて、博多に初めて来た人や単身赴任や出張で訪れたサラリーマンにもオススメしています。一冊サラ~ッと読了できる軽妙なコラムテイストも良いんです。

Q2 「これは福岡っぽいな~」と、地元らしさが紹介された郷土本は?

A2 福岡のディープな部分に迫った音楽本「博多ROCK外伝」。これは、博多のめんたいロックの歴史が詳細にドキュメントされた歴史書です。著者は西日本新聞の記者・田代俊一郎さんで、同新聞での連載時から評判だった誌面が書籍化されたもの。

70年代から80年代を中心に活躍したサンハウス、モッズ、シーナ&ザ・ロケッツ、ルースターズ、ロッカーズなどの貴重な写真をはじめ、時代の生き証人、「ジュークレコード」の松本さんをはじめとする関係者のインタビュー等も綴られています。今はなき博多ロックの聖地「ぱわぁはうす」でのライブシーンも満載。非常にマニアックな本で、福岡の書店での取り扱いはうちだけです。

Q3 福岡の歴史上の人物や有名な逸話について書かれた、オススメの本は?

A3 みなさん「西鉄ライオンズ」はご存知ですか? 歴史上の人物、というには少しニュアンスが違うかもしれませんが、かつて福岡には偉大な野球チームがあったんです。それは平和台に野球場があった昭和30年代に、連続で日本一になり、地元を盛り上げたチーム「西鉄ライオンズ」。

野武士軍団と呼ばれていて、中西や大下、稲尾など豪快な選手が多く在籍していました。桁外れの伝説がたくさんあって、例えば、中洲でガンガン飲んでも次の日の試合で勝っちゃう、なんてことも。古き良き大らかな時代、そして勢いのある気概を象徴する地方の野球チームの物語「伝説の西鉄ライオンズ」。今思い返しても良いなぁと感じる一冊です。

Q4 地元の歴史が紐解けるディープな本は?

A4 通称“Y氏”と呼ばれている山田孝之さんによる単行本「福岡路上遺産」でしょう! これは現代の路上に残る歴史的なものや珍しいものを特集した本。著者のY氏はもともと古地図集めが趣味で、古地図や古写真を見ながら今の場所と照らし合わせたときに、はるか昔の痕跡が現代にたくさん残っていることを確認したそうです。

彼は本業がウェブデザイナーなので、「Y氏は暇人」というウェブサイトを自分で作り、そこで歴史ルポなどを発表しています。「福岡路上遺産」はそのサイトを改めて一冊にまとめたもの。見せ方が上手で、地図写真に丸をつけて今と昔を見比べやすくし、クスッとわらえるポップさをにおわせながら、わかりやすくビジュアル展開しているのが良いんです。

現代と繋がる痕跡を見つける「路上観察学」的な視点が面白い。ブラタモリ福岡版、みたいな感じでしょうかね。僕も歴史が好きなので、個人的に“待ってました”と思った本です。


わぁ~、歴女の心を刺激する本ばかり…!! 「いわゆる」な歴史書とはひと味違ったテーマの本もあり、福岡で起きた身近な話や活躍した人々が描かれているのも、興味をそそられます! 特に「福岡路上遺産」は、街を歩きながら体感できる歴史ハンドブックのようですね。早速読んでみたいと思います。