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【保存版】ねんきん定期便、届いたらココを確認!保管は必要?

そなえる 白浜 仁子

【保存版】ねんきん定期便、届いたらココを確認!保管は必要?

【画像出典元】「stock.adobe.com/ktktmik」

時々自宅に届く「ねんきん定期便」。見方がよく分からないけど、このまま放置していて良いの?と気になっている人も少なくないと思います。ここでは、ねんきん定期便の見方や利用方法を知り、大事な自分の年金をチェックできるよう解説していきます。

ねんきん定期便とは

「ねんきん定期便」とは、自身の公的年金の加入状況が分かるお知らせ便です。加入記録のほか、これまで支払った保険料、将来受け取れる見込額などが記され、誕生月に青文字の圧着ハガキで届きます。定期的に届くことで、自身が支払っている公的年金の加入状況や将来受け取れる年金をイメージでき、公的保障への安心感や老後のマネープランの検討に役立ちます。

また、ねんきん定期便は、A4サイズの封書で届くこともあります。「大きな封書で届いたけど、何かしなきゃいけない?」と戸惑う人もいるでしょう。実は、ねんきん定期便には節目の歳が設けられ、35歳、45歳、59歳の人にはA4サイズの封書が届くようになっています。ハガキタイプと封書タイプの違いは何でしょうか、次の項目でチェックポイントを確認していきましょう。

ねんきん定期便が来たらチェックしたいポイント(50歳未満)

最初に、ハガキタイプのねんきん定期便からです。50歳未満と50歳以上で少し違う内容になっています。

以下は50歳未満のねんきん定期便です。表面のA~Cは次のようなことが記載されています。

出所)日本年金機構HP

A欄「照会番号、公務員共済・私学共済の加入番号」

「照会番号」は、日本年金機構にねんきん定期便の問い合わせをするときに必要な番号です。年金には全員に基礎年金番号が割り振られていますが、大事な個人情報となるため、問い合わせ用として別に番号が与えられています。

「公務員共済、私学共済の加入番号」というのは、共済の加入記録がある場合に記載があります。ただし、共済記録について問い合わせたいときは、日本年金機構ではなく各共済組合に連絡をしましょう。

B欄「昨年・今年の加入実績に応じた年金額」

これまでの加入実績に応じた今年の年金額が記されています。合わせて、昨年のねんきん定期便で示された年金額の記載もあるため、1年間加入したことでいくら年金が増えたか分かり、年金納付のモチベーションにも繋がります。

C欄「最近の月別状況」

この1年間の月別状況が分かります。国民年金の欄に記載されるのは、自営業やフリーター、専業主婦の期間がある人です。厚生年金保険の欄は、会社員や公務員などの場合に記載され、加入区分である厚生年金・共済年金の種別、標準報酬月額や標準賞与額、そして支払った保険料が記載されます。

出所)日本年金機構HP

続いて、裏面のD~Gは次のようなことが記載されています。

D欄「これまでの保険料納付額(累計額)」

国民年金や厚生年金の加入者として支払ってきた保険料の累計が記されます。

E欄「これまでの年金加入期間」

国民年金や厚生年金の加入月数が記載されています。国民年金は学生時代など免除を受けたという場合もあるでしょう。ここにある加入期間は、免除期間も含めた合計が記されます。年金は加入期間が10年以上なければ、将来1円も受け取ることができません。「受給資格期間」の項目が120月以上となっていれば要件を満たすということになります。

F欄「これまでの加入実績に応じた年金額」

これまでの加入実績を基に試算された将来の年金見込額が記されます。
「老齢基礎年金」というのは国民年金のことです。会社勤めの経験がある人は「老齢厚生年金」部分にも年金額が表示され、厚生年金加入期間中は、国民年金と厚生年金の両方が少しずつ増えているはずです。なお、年金加入記録に不備がある場合は、F欄に年金額が表示されません。その場合は、最寄りの年金事務所に問い合わせをしましょう。

G欄「ねんきんネットのお客様アクセスキー」

ウェブサイト「ねんきんネット」では、最新の年金情報を確認できます。その際にユーザーIDの取得が必要ですが、アクセスキーである17桁の番号があればすぐIDを取得できます。ねんきんネットでは、郵送より1~2カ月早く内容が確認でき様々なシミュレーションもできます。ただ、ねんきん定期便の到着後3カ月間がアクセスキーの有効期限なので注意が必要です。

ねんきん定期便が来たらチェックしたいポイント(50歳以上)

次に50歳以上に送られてくるハガキタイプのねんきん定期便を見ていきましょう。
基本的には、これまで見てきた50歳未満と同じですが、B欄とF欄は少々異なります。

出所)日本年金機構HPより
出所)日本年金機構HPより

B欄「見込額と繰り下げた場合の年金額」

50歳未満の場合は、昨年と今年の年金額が記載されますが、50歳以上では、将来の年金見込額に加えて、65歳から年金を受け取らず70歳や75歳まで繰り下げたときの年金額が記されます。70歳まで遅らせると42%、75歳まで遅らせると84%も増えるのですから、元気なうちは働いて、年金は遅らせてもらおう!と考える人もいるでしょう。
なお、年金は1カ月遅らせる度に0.7%増額されるため、66歳5カ月、78歳2カ月などのタイミングから請求することもできます。

F欄「老齢年金の種類と見込額(年額)」

50歳未満は、加入実績に応じた年金額の表示でしたが、50歳以上は、どんな種類の年金を何歳からいくらもらえるのか、見込額が記されるようになります。ここでの年金見込額は、今と同じ状況が60歳まで継続した場合ですので、今後状況が変わらないようならこれを基に老後の資金計画を立てると良いでしょう。

職業や収入が変わる場合は、年金額も変わる可能性があります。その場合、★欄の「年金見込額試算用二次元コード」や「ねんきんネット」でシミュレーションすると安心です。なお、大半の方がF欄一番右の列に65歳以降の年金額が記されるようになります。左3列は特別支給の老齢厚生年金が記載されます。男性なら昭和36年4月1日以前、女性なら昭和41年4月1日以前に生まれた一定の人のみ対象です。

ねんきん定期便が来たらチェックしたいポイント(35歳、45歳、59歳)

次に、35歳、45歳の節目で届く封書のねんきん定期便を見ていきましょう。
①    ②はハガキタイプと同じ見方ですので省略します。大きな違いは、加入履歴が詳細に示されている③以降の部分ですので入念に確認しましょう。

 

出所)日本年金機構HPより
出所)日本年金機構HPより
出所)日本年金機構HPより
出所)日本年金機構HPより
出所)日本年金機構HPより

③「これまでの『年金加入履歴』」

国民年金制度に加入していた期間は「国年」、厚生年金制度に加入していた期間は「厚年」と記されます。勤め先名や加入資格を取得・喪失した年月日、加入月数と細かく記載されています。記載内容が間違っていないかはもちろんですが、空いている期間はないか確認することは重要です。もし、加入していたはずなのに空きがあるという場合は、転職などで正しく手続きがされていない可能性があります。将来の年金に影響するため調べてもらわなければなりません。

④「これまでの厚生年金保険における標準報酬月額などの月別状況」

ここには、厚生年金に加入していた期間の給与相当にあたる標準報酬月額やボーナス相当にあたる標準賞与額、そして納めた保険料が記されています。もらっていた給与や賞与と大きく違っていないか確認しておきましょう。

⑤「これまでの国民年金保険料の納付状況」

国民年金に加入していた時期の納付状況です。納付や免除、学生納付特例等など年度ごとに月数が表示されます。未納期間がある場合は2年、免除や学生納付特例の場合は10年遡って納めることが可能です。こちらも間違いがないか確認します。

59歳時に届く封書のねんきん定期便も同じ要領で確認できますのでここでは割愛します。35歳、45歳時との違いは、具体的な年金見込み額が確認できるという部分です。

2022年度からねんきん定期便に記載されている「年金見込額試算用二次元コード」

2022年4月以降のねんきん定期便から新しく出来たサービスがあります。それは、二次元コードを読み取り、生年月日を入力するとできる年金見込額のシミュレーションです。将来の年収見込みや、就労期間、受け取り開始時期など細かく設定できます。これまでもねんきんネットで見込額は試算できたのですが、より細かな設定でのシミュレーションができるようになりました。今後のワークプランを検討するのに助かるアイテムです。ねんきん定期便の表面右下にコードが記されています(★欄)。

ねんきん定期便はいつまで保管すべき?

疑問
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毎年届くねんきん定期便、いつまで保管しておくべきか迷う人もいるでしょう。これらは国が管理している情報ですし、定期便はあくまでお知らせですので紛失しても問題ありません。しかし、次のねんきん定期便が届くまでは保管しておくと良さそうです。私はFP相談で必ずねんきん定期便を持ってきていただくようにしています。やはり将来のこと、お金のことを考えるときにはねんきん定期便が役立つのです。

余談ですが、定期便の見方が分かるようになれば、あえて毎年集めていくのも面白いと思います。年金の成長記録というところでしょうか。

また、ねんきんネットに登録すると、いつでも内容を確認できます。その場合、郵送で送られてくるねんきん定期便の送付を停止することもできます。電子化が進み、紙の使用や送料などエコの観点からも協力が求められています。

年金受給額を知ったら次に考えること

若い世代はまだ、年金といってもピンとこないのが実際だと思います。筆者も若い頃は「老後なんて気が遠くなるくらい先」としか思っていませんでした。

ただ、少なくともねんきん定期便が届いたときには、年金受取額が現時点でいくらになっているのか、昨年と比べていくら増えたのかくらいは関心を持ってチェックしておくと良いでしょう。定期的に確認することによって、将来の年金について少しずつイメージできてくると思います。

また、これからは転職をする人がもっと増えるでしょうから、転職した年のねんきん定期便で、働き方や収入が変わると年金額にどんな影響があるかも合わせてみておくと安心です。結婚して主婦(夫)になるか、時短勤務にするかなど迷ったときも同様です。先ほどお伝えした「年金見込額試算用二次元コード」でシミュレーションし、将来の年金を予想できれば、働き方の選択や貯蓄計画も変わってくるのではないでしょうか。

まとめ

年金手帳とねんきん定期便
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今回は、ねんきん定期便の見方を紹介しました。まとめると次のようになります。

ねんきん定期便の見方が分かると、漠然とした将来のことが少し明確になります。大切な自分の老後のこと。この記事を役立てていただけたら嬉しいです。

ねんきん定期便についてのQ&A

Q:基礎年金とは何ですか。

A:国民年金のことをいいます。20歳以上60歳未満は国民年金の加入義務があり公的年金の土台となります。会社勤めの人はこれに厚生年金が上乗せされます。

Q:厚生年金保険料はいくらですか?

A:厚生年金は、標準報酬月額の18.3%を労使で半分ずつ負担します。