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他人事じゃない親の介護。お金のリスクと事前にできる対策とは?

経済とお金のはなし 織瀬ゆり

他人事じゃない親の介護。お金のリスクと事前にできる対策とは?

【画像出典元】「takkun/Shutterstock.com」

ここ数年、コロナ禍で引きこもりがちになった高齢者が、周囲と関わる機会も減る中で体力も衰えてしまい、要介護度が上がるケースが増えています。実際、遠方に住む私の祖父母も外出の機会が減ってしまい、以前よりも歩く力が衰えたと母から聞いたばかりです。

避けては通れない介護とお金の問題。今回の記事では、介護に関して知っておきたい知識とお金のリスクを減らすためのコツをまとめてみました。

介護保険の仕組み

介護保険制度は、高齢者を社会全体でサポートすることを目的として2000年に創設された仕組みです。介護保険は主に私たちが支払う保険料と公費によって成り立っています。

具体的には、私たちが40歳になると介護保険への加入が義務づけられ、保険料を支払うことになります。64歳になるまで介護保険料を納めることで、「65歳以上で介護が必要になった」「特定疾病に該当した」といった場合に1~3割の自己負担のみで介護サービスを受けられます。

つまり、働き盛りのうちに保険料を納めておくことで将来の介護費用負担を減らしていると言えるでしょう。

また、介護サービスと聞くと高齢者を想像するかもしれませんが、40~64歳の間であっても特定疾病(末期がんや脳血管疾患など)だと認められた場合には介護サービスを受けられます。

介護費用はどのぐらいかかる?

気になる介護費用ですが、公益財団法人生命保険文化センターが2021年に実施した「生命保険に関する全国実態調査」によると、過去3年間に介護を経験した人が過ごした介護期間の割合は以下の通りです。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

これらを平均すると約5年1カ月(61.1カ月)を要したことになり、それ相応の期間がかかることが分かります。また、介護の期間が長くなれば、それだけ費用もかさみます。

同調査によると、介護に要した費用(公的介護サービスの自己費用負担を含む)のうち、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)の合計額の割合は以下の通りです。平均74万円でした。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

つづいて、月額の介護費用はどのくらいかかるのでしょう?金額別の割合は以下の通りです。1カ月あたりの平均は8.3万円です。また介護を行った場所別でみると、在宅での介護が平均4.8万円、施設での介護が平均12.2万円となっています。

生命保険に関する全国実態調査を参考に筆者作成

これらの調査結果を踏まえて試算すると、介護を始めてから終了するまでの費用の目安は以下のようになります。

1人当たり約367万円、両親2人分だと734万円もの費用が生じることになります。想像していたより高額だったと感じる方も多いかもしれません。

介護費用には親の貯蓄を充てよう

介護費用は親の年金や貯金から出すのが大原則です。中には「どうせ相続するから子が出しても最終的には同じじゃないの?」と思う方もいるかも知れませんが、特別養護老人ホーム(特養)などの費用負担は親の預貯金によって減免される可能性があります。

全員が住民税非課税の世帯で下記条件を満たすと減免となる

筆者作成

子が介護費用を負担して親の預貯金を温存してしまうと、特養に入ったときの費用負担が大きくなる可能性があります。

よって、親の介護費は極力親の資産内でまかなえるように事前にきちんとプランニングをしておくことが欠かせません。その際、できれば以下の項目について早めに把握しておくと良いでしょう。

お金の話は聞きづらいかもしれませんが、いざというときにお互いが不幸にならないためにも必要なことです。

はじめの一歩は地域包括支援センターに相談することから

HELP
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ここまで、介護保険の概要や目安費用についてお伝えしました。

介護を考え始めたとき、まず相談して欲しいのが「地域包括支援センター」です。

地域包括支援センターとは、高齢者をサポートするよろず相談所のようなものをイメージすると分かりやすいかもしれません。親が要介護でなくとも、専門知識を持つ職員が相談に応じてくれます。

具体的に相談できる内容は以下の通りです。

  • 介護サービスや介護予防サービス
  • 保健福祉サービス
  • 日常生活支援

各市町村が設置主体となり、全国に5000以上の施設があることから、まずは一度近くの地域包括支援センターを探してみましょう。支援対象者となる親が離れて暮らしている場合、親が住んでいるエリアにある地域包括支援センターへの問い合わせとなります。地域包括支援センターを上手に活用することで、早い段階から介護予防に着手できるほか、介護の負担を軽減することにも繋がります。

まとめ

車椅子や介護の様子
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親の介護問題といつから向き合うべきかは個々の状況によっても異なるため、明確な答えを出せるわけではありません。

しかし、突然親の介護が始まって混乱してしまうことのないよう、親が元気なうちに必要な情報を得ておくことが大切です。その際、相談先や介護サービス、会社の介護休業制度についても調べておくとよいでしょう。

特に働きながら介護をする場合、最も避けたいのが「介護離職」です。親の介護のために離職してしまうと、子の生涯収入が激減するだけでなく、自分の老後にも影を落としかねません。

いまできることがあるかを考え、周囲との良い関係を築くように心がけましょう。