くらし

春の「湯布院」。温泉の賢人が教える楽しみ方とは?

1万円でかなうコト 花田 伸二

全国でも1・2を争う人気温泉地として、メディアに取り上げられる湯布院。「御三家」と呼ばれる高級旅館や美術館など、私の中では「本物を知る大人のリゾート地」というイメージです。それはそれで素敵なんだけど、もう少し気軽に楽しめたらなぁ、なんて思ったりもして・・・。そこで九州の温泉地を知り尽くした花田伸二さんに、湯布院のいろんな魅力を聞いてみました。

Q1 家族旅行や卒業旅行など、春休みの旅を計画中の人も多いこの時期。春ならではの湯布院の魅力や、おすすめの楽しみ方を教えてください。

由布岳と辻馬車

A1 春の湯布院は線路沿いに菜の花が咲き、街歩きにもってこいの季節。3月には辻馬車が走り始めるので、馬車で街をゆっくり巡ってみるのもおすすめです。ちょっと余裕があれば人力車という手も。車夫さんが説明しながら案内してくれるので、ガイドブックには載っていないような話なんかも聞けますよ。

古くから湯治場として知られ、ヨーロッパの保養地をモデルにデザインされた湯布院の温泉街は、賑やかなイメージの別府に対して「奥座敷」と呼ばれ、落ち着いた景観も魅力の一つ。バブル期の大型開発の計画にも、地元の人たちが首を縦に振ることなく、街並みを守ってきたそうです。こういった歴史や文化的な背景を知ると、散策もさらに楽しくなるでしょう。

Q2 湯布院はお高いイメージがあるのですが、リーズナブルに楽しむ方法ってあるのでしょうか?

彩岳館露天風呂

A2 福岡から湯布院まで片道2時間程度ですから、温泉と散策なら日帰りでも十分楽しめますよ。由布岳を望む絶景の露天風呂が人気の宿『彩岳館』は、立ち寄り入浴なら大人620円・小学生210円。さらに、レストランで2000円以上のメニューを注文すれば入浴料が無料になります。豊後牛やしゃもなど、湯布院らしい食事をリーズナブルに味わえるのもうれしいポイント。温泉はかけ流しで、保湿成分のメタケイ酸を豊富に含むため「美肌の湯」として人気です。

また、高級なイメージのある湯布院ですが、実は宿の80%は1泊2食付きで1万円台で泊まれるんですよ。湯平温泉の『志美津』もその一つで、魅力はなんといっても洞窟風呂! 落ち着いた和風の旅館で、料理は四季折々の食材を使った創作懐石です。

ちょっと変わったところでは、グループで一棟丸ごと貸し切りにできる『冨季の舎(ふきのや)』別棟。メゾネット形式の棟は子どもを含めて最大22名まで宿泊可能で、ふすまや扉で仕切ると5つの部屋に分かれるので、何家族か集まっての旅行やサークルなどのグループ旅行にも最適。1名1万5000円前後と料金も手ごろです。

柚富の郷 彩岳館

湯平温泉 旅館志美津

由布院温泉 旅館 冨季の舎(ふきのや)

Q3 湯布院ならではのグルメが味わえるスポットといえば?

湯の岳庵

A3 『亀の井別荘』の敷地内に立つレストラン『湯の岳庵』では、山菜や川魚、地元の朝どれ野菜、黒毛和牛や九重豚など、湯布院・九州の旬を生かした滋味あふれる料理が楽しめます。金鱗湖のほとりに立つ大屋根の古民家で風情もたっぷり。

日本料理店『山椒郎』は、湯布院の野菜を使った玉手箱のように美しい料理が評判。オーナーの新江憲一氏は、「ゆふいん料理研究会」を立ち上げ「湯布院全体の料理のレベルを上げた」といわれる名料理人です。

湯の岳庵

山椒郎

Q4 周囲の人に一目置かれるような、素敵なお土産を買いたいのですが。

ジャム工房kotokotoyaのジャム

A4 『ジャム工房ことことや』の手作りジャムが人気です。季節の果物を使った無添加のジャムは種類も豊富で、人参ジャムなど珍しいものも。試食できるように用意されているので、選ぶ楽しみも満喫できますよ。店舗もおしゃれな雰囲気で、賑やかな表通りから一本奥の通りにあるので静か。併設のカフェでは、ジャムを使ったスイーツが味わえます。

ジャム工房kotokotoya


センスのある人たちが創りあげ、街の人たちが守ってきた湯布院の街。花田さんのお話を聞いて、街づくりのストーリーにも興味が湧きました。いろいろ調べて、オリジナルの散策ルートを考えてみようと思います。