消費者のためのわかりやすいFinTech(フィンテック)~第2回「新しい金融サービス」~
前回、「フィンテックとは”ITを活用した便利な金融サービス”のことと覚えてください」とお話ししました。今回は、私たちの消費行動をますます便利なものにするフィンテックについて、より具体的にご紹介します。
情報量の差が経済力の差になる時代
新たな金融サービスの登場により、情報量の差が経済力の差になる時代が訪れています。多くのみなさんが利用しているおサイフケータイ機能を例に挙げ、ご説明しましょう。買い物もできて定期券にもなる便利なおサイフケータイ機能は、これまでガラケーやAndroidスマートフォンしか対応していなかったのですが、日本ではスマホ市場で圧倒的なシェアを占めているiPhoneでも昨年発売されたiPhone7/7PlusからApplePayが利用できるようになり、利用者が増えています。
ApplePayの決済手段として、モバイルSuicaを利用している方が多いでしょう。私もその一人です。福岡においても問題なく使えるモバイルSuicaですが、実は福岡ではSuicaを使って電車に乗ったり買い物したりしてもポイントが貯まりません。
nimocaや「はやかけん」を使えばポイントが貯まり、お得です。が、残念ながらApple Payでは交通系電子マネーはSuicaしか使えないため、福岡にいるApple PayユーザーでモバイルSuica利用者は、ポイント分、損をしていることになりますね。このように、ポイントというちょっとした差ですが、毎日積み重なれば大きな差になってしまいます。
決済の"便利さ”が"価格”のメリットを超える
とはいえ、おサイフケータイのように便利な機能は魅力的です。時には"便利さ”を求めるあまり、価格メリットを考慮せずに使ってしまうサービスもあるのです。
例えば、Amazon Dash Buttonをご存知でしょうか? お水や日用雑貨など、お気に入りの商品のAmazon Dash Buttonを購入しWi-Fi設定等をしておくと、在庫が少なくなったらボタンをポチッと押すだけでAmazonからその商品が届く仕組みです。商品単価は近所のスーパーやドラックストアなどの方が安い商品が多いのですが、ボタン一つで家に届くという"便利さ”から、都心部を中心に広がりを見せています。
時間を問わず利用できるネットバンキングの"便利さ”
ネットバンキング、あるいはオンラインバンキングは、従来、銀行窓口やATMで行っていた手続きがインターネット上でできるようになり、銀行の営業時間にかかわらず、残高照会や振込み手続きなどをいつでもどこでも自分の都合でできるところが特徴です。つまり、フィンテックにより「時間の節約」という効果が生み出されたものです。また、ネットバンキングによる決済や送金は窓口よりも手数料が安かったり、預金金利が高かったりする銀行がほとんどです。
みなさんの中には、こういった新しい金融サービスを不安に思う人も多いと思います。フィッシングサイトによる被害も決して少なくはありません。そんな方へのアドバイスは、新しい金融サービスを利用する際には、むやみに敬遠するのではなく、まずはいろいろな人から話を聞いみて、分からないこと、不安に感じることが何なのかを知り、正しく怖がるということです。
決済の多様化に慣れておくことが大切なワケは?
現金が一番安心だからと考え、新しい金融サービス、特に決済サービスに不安を抱き、必要以上に慎重になっている方もいるでしょう。しかし、時代の流れはキャッシュレス決済に大きく舵を切っています。
危険性を伴う一方で、それ以上の"便利さ”を享受できることを認識し、今のうちから慣れておくことがこれからの高齢化社会に向けて必要なことですよ。
新しいサービスの中身を知っているのと知らないのとでは、経済的な差につながることをご理解いただけましたでしょうか? 新しいサービスを利用しないことによるデメリットは明らかです。次回も、引き続き新しい金融サービスについてお話したいと思います。