ファイナンシャルプランナー(FP)とはどんな資格?なにができる?
今回はファイナンシャルプランナー(以下、FP)の仕事について書かせていただきます。というのも先日知人からこんな質問がありました。
「中村さんに相談したいことがあるんだけど、どれくらいの費用がかかるの?」
「FPの相談料って、誰が決めているの?」
「FPの人にはどこまで相談できるの?」
今までにも「FPの仕事って何をしてくれるのかよく分からない」と言われたことがあります。きっといろいろな業界や立場で仕事をしているFPが多いからでしょう。そこで今回はFPはどんな専門家なのか、資格は必要なのかなど、FPの仕事について細かく解説していきます。
1.FPは資産設計を行いアドバイスを提供する国家資格
FPは、個人や中小企業経営者の資産設計を行い、総合的なアドバイスを提供する専門家です。もっと簡潔に言うと、その方に合ったファイナンシャルゴール(人生の夢や目標を全て達成できるための経済的なゴール)を見つけてあげる仕事です。
具体的には、顧客の資産状況や収支状況などの情報をヒアリングし、現状に問題がないか分析します。その上で、顧客一人ひとりのライフプランに沿った、貯蓄、投資、保険、ローン、不動産、税務、社会保障、相続、事業承継などのプランを立案しアドバイスを行います。
FPの資格は、日本FP協会と金融財政事情研究会が、それぞれ資格の認定を行っていました。2002年度には、この資格が技能検定の職種に追加され、「ファイナンシャル・プランニング技能士」として国家資格となりました。それ以降注目が高まり、銀行や保険会社、証券会社や不動産会社などに勤務されている方が多く取得するようになり、最近では昇給や昇格の条件に資格取得が義務付けられている会社も多いと聞きます。
2.実は人気の高い資格…どんな働き方がある?
ファイナンシャル・プランニング技能士には、1級、2級、3級の3つの等級があり、昨年までの取得者数は延べ50万人以上(※)にも上ります。また、20代から40代のビジネスパーソンに聞いた「武器になる資格」という意識調査では、「ファイナンシャルプランナー」が4年連続1位(※)に選ばれるほど人気の高い資格となっています。
※日本FP協会調べ(2016年時点)
※株式会社ユーキャン「2017年のトレンド予測と資格取得に関する意識調査」
仕事として資格を活用しているFPは、企業系FPと独立系FPの2種類に分かれています。まず企業系FPとは、銀行、保険会社、証券会社といった金融機関、あるいは不動産会社やリース会社などに勤務するFPのことをいいます。FPの資格取得者の多くがこの企業系FPです。
逆にどこの金融機関にも属さず中立公正な立場で仕事をしているのが、独立系FPです。独立系FPと企業系FPの大きな違いは、相談料が無料か有料かの違いです。銀行などに行って相談料を取られることはありませんが、独立系FPは顧客から相談料をいただきアドバイスをしている事務所がほとんどです。
また相談業務以外にも、資格取得講座やセミナーの講師を務めていたり、マネーコラムなどの執筆を行っているFPもいます。中には税理士や社会保険労務士、行政書士などの士業と兼業で行っている人もいます。
最近ではこうした独立系FP事務所も増えてきました。しかし、FP資格認定者の内訳をみると、約80%が企業系FPを占め、独立系FPは僅か7%程度にとどまります。(※)
※日本FP協会調べ(2016年7月現在)
関東や関西の方では、独立系FP事務所の数が大分増えてきましたが、ここ福岡ではまだまだ少なく、相談業務をメインの事業としている事務所は、私の知る限り10社程度です。
3.FPに相談できる内容
FPの仕事をしていると、「保険屋さんですね」と保険代理店と間違われることが度々あります(笑)。最近、来店型保険ショップの「FP無料相談」という宣伝をよく目にしますので、仕方ないのかもしれませんが、「FP=保険」ではありません。
FPの資格取得のためには、次の6分野の勉強が必要です。
〇ライフプランニングと資金計画
〇リスク管理と保険
〇金融資産運用設計
〇不動産運用設計
〇タックスプランニング
〇相続・事業承継
この6つの分野でアドバイスすることが、いわばFPの商品で、これらの問題解決に保険やローン、投資商品などを使うことは多々あります。言い換えると保険や金融商品は、これらの問題を解決するためのツールにすぎません。
皆さんは、人間ドックを受診したことがありますか? もし健康面で不安があれば、まず検査を受けるでしょう。検査もせず自覚症状も聞かずに薬を出すお医者さんはいませんね。それと同じで、FPは、まず・・・
(1)顧客の情報を収集し、生涯にわたる資金計画を作ります。
(これが人間ドックのような検査にあたります)
↓
(2)次にその資金計画に問題がないかを分析します。
(診断します)
↓
(3)続いて、問題があれば改善策を提示します。
(どういう薬が効くか処方するわけです)
↓
(4)そして最後に立案したプラン(資金計画の改善策)をもとに
保険、住宅ローン、資産運用の見直しや提案を行います。
(具体的な治療のスタートです)
これがFPの仕事の手順です。すべてのスタートは、「顧客の利益を最優先させる」ことを前提に作られたプランの立案であり、この順序を省いて、いきなり保険や金融商品を提案してくる人はFPとはいえないでしょう。
また、FPは6つの分野に精通をしているわけですが、人には得手不得手というものがあるように、FPにも得意分野があります。相談しようとしているFPの得意分野は、ホームページなどでその人のプロフィール(職歴や活動実績など)を調べれば大体分かるかもしれません。
FPが、どのような仕事をしているのか、少しでもお分かりいただけましたでしょうか。最後に、冒頭で述べた私たち独立系FPに相談するとどれぐらい費用がかかるのかについてもふれておきます。相談料には全国共通価格というものはなく、事務所やFPによってまちまちです。
1時間あたりの相談料は、5千円から1万円が相場です(もう少し高い所もあるでしょう)。時間あたりで料金がかかる事務所もあれば、プラン作成1回あたりいくらという料金体系の事務所もあります。相場は大体3万円から5万円、高い所では10万円という事務所も。また、毎月数千円の安価な会費で会員契約を結び(士業でいう顧問契約)、生涯にわたりフォローしている事務所もあります。
とはいっても、まだまだ「FPがどういうことをしてくれるのか」「どんな人なのか」「何か商品を勧められるのではないか」と不安な部分も多いでしょう。そんな場合は、多くの事務所が行っている「無料相談会」を利用されてはいかがでしょうか。どこの事務所も初回相談30分~60分程度は無料としているところが多いようです。
独立系FPは、どこの事務所も大体ホームページを公開していますので、料金体系やその人の得意分野などは事前に調べることができます。まずは自分に合ったFPを検索してみてください。FPに相談することで、生涯にわたる資産設計を作成することができるばかりではなく、毎日を安心して暮らすことができるようになるでしょう。