【年末調整とは?確定申告って?】会社員なら知っておきたい納税のしくみ
会社員ならおなじみの年末調整。給与計算担当者から用紙を渡されると、記入するのが面倒だと後回しにしていませんか? 年末調整は、勤務先を通して税金を正しく納めるための大切な手続きです。もしも記入もれや間違いがあると、損をするのはあなた自身。納税のしくみについて知っておきましょう。
「年末調整」って何のために必要なの?
公務員、会社員の方は毎月の給料から税金が引かれているのはご存知ですよね?会社が給与や報酬を支払うとき、事前にお給料から税金を差し引くことを「源泉徴収」といいます。
しかし、毎月の納税金額は正確であるとは言えないため、給与総額が確定する年末に、納税額の調整を行います。それが、「年末調整」です。
年間の納税額は、1月1日から12月末日までの収入から控除額を差し引いた金額に、所得水準ごとの税率を掛けたものです。
会社が年末調整で、税金を払いすぎている場合は還付し、不足している場合は追加で納税するという手続きを踏んで納税が完了します。
一般的に、会社員は1つの勤務先からの給与以外に収入がないか、もし収入があったとしても少ない金額という人がほとんど。納税のための手続きが年末調整だけですべて済むという人が大半です。税務署に出向くこともなく納税が済んでしまうので、サラリーマンとっても便利な仕組みといえます。
「年末調整」ではどんな控除が受けられるの?
経理担当者から渡される「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」は、収入から控除される項目と控除額を税務署に申告し、所得税や住民税を計算するために必要な書類です。
以下13種類の控除に対応するように作られています。
・基礎控除(38万円):一律に受けられます。
・給与所得控除(最低でも65万円):収入によって控除額が変わります。
・配偶者控除(38万円または48万円):配偶者の収入に応じて受けられます。
・配偶者特別控除(3万~38万円):配偶者の収入に応じて受けられます。※上記の配偶者控除と同時に受けることはできません。
・扶養控除(38万~63万円):所得税法上の扶養者がいる場合に受けられます。
・障害者控除(27万~75万円):納税者または配偶者、扶養者が障害者の場合に受けられます。
・寡婦控除(27万円):納税者が寡婦(寡夫)の場合に受けられます。※特別の寡婦の場合は35万円
・勤労学生控除(27万円):納税者が学生の場合に受けられます。
・社会保険料控除:支払った金額によって控除額が変わります。
・生命保険料控除:生命保険、介護保険、個人年金を合わせて12万円まで認められます。
・地震保険料控除:最高5万円まで認められます。
・小規模企業共済等掛金控除:個人型確定拠出年金の掛金が全額控除になります。
・住宅借入金等特別控除:住宅ローン残高1%分の控除をしてもらえます。(ただし初年度のみ確定申告が必要。つぎの年からは年末調整で申告できます。)
「確定申告」が必要な人とは?
このように、会社の源泉徴収と年末調整で、ほとんどのサラリーマンが所得税の納税手続きを済ませることができます。
ただし、年収や副業の収入によっては、個人で確定申告をする必要があります。
以下の人がその対象者です。
・会社員でも、1年の給与所得額が2000万円を超えている人
・副業の所得合計が20万円を超えている人
・災害減免法で、所得税の徴収について猶予等を受けた人
「確定申告」で税金が戻ってくる場合も!
条件によっては、確定申告により税金が戻る場合があります。以下の人がその対象者です。
・住宅ローン減税1年目の人:住宅ローンを利用して自宅の新築、購入、増改築などを行った場合、住宅ローン減税が受けられます。
・自分または同一生計の配偶者や親族の年間医療費が10万円を超えた人:医療費の控除が受けられます。
・災害、盗難にあった人:雑損控除が受けられる場合があります(条件あり)。
・寄付をした人:特定の団体に寄附をした時に、寄附金控除が受けられる場合があります(条件あり)。
・退職所得の支払いを受けるときに、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人
「年末調整」や「確定申告」の要点を知り、納税額を意識することは大切なことですね。これまで控除もれなどがある場合、5年間までは修正申告もできますよ。払い過ぎた場合はしっかり取り戻してくださいね。