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出産と育児休暇中にもらえるお金と節約できるお金はいくら?

FPに聞きたいお金のこと 白浜 仁子

出産と育児休暇中にもらえるお金と節約できるお金はいくら?

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今回は30代会社員女性から、産前産後や育児休暇中にもらえるお金についてのご質問です。出産時に受け取ることができるのは「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」の3つがありますので、ひとつずつ紹介していきます。

《山辺 江理さん(仮名)30代女性からの相談》
「育児休暇中にもらえるお金ってどんなものがありますか?また、いくらくらいもらえるのでしょうか?」

育児
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働く女性が増える中、育児休暇を取るのが当たり前の時代になりました。
仕事をしながら出産・育児をする選択は、未来を楽しみにしつつも大きな不安に包まれるものです。ただ、すべてが同時にスタートするわけではありません。日本の社会保障は、時間と資金面を手厚くサポートしてくれるので、少しずつ快適な環境作りや心の準備をしていく時間がもてます。

それでは早速、正社員で働く女性がもらえる出産前後の社会保障をみていきましょう。
※この後、理解を助けるために示す具体的な計算は、月の給与が25万円のケースを例にしながら考え方を紹介していきます。正確に知りたい場合は、人事や各種関係機関にお尋ねください。

出産育児一時金

出産育児一時金とは、出産すると一児につき42万円が健康保険から給付されるお金です。双子の場合は、42万円×2の84万円。(産科医療保障制度の加入機関以外で出産した場合は40.4万円)
妻が夫の健康保険の被扶養者になっている場合は、家族出産育児一時金として、夫が受け取ります。出産費用の大半が賄われるとてもありがたい給付です。

出産手当金

出産手当金は、健康保険の制度で、出産のために会社を休み、その間に給与を受けることができなかった場合に給付されます。出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日より56日目までが対象期間です。
知っておきたいことは、出産予定日が遅れた場合は前半42日分が遅れた分だけ長くなり、予定日より早く生まれた場合はその分短くなること。
もし給与が少しだけ支給されるときは、給与と本来の出産手当金との差額が給付額になります。

出産手当金は以下のように計算します。

(直近12ヵ月の標準報酬月額の平均)÷30日×2/3

仮に直近12ヵ月の標準報酬月額(簡単にいうと月の給与の平均)が25万円の人が予定日に出産したとするなら、合計約54万円受け取れます。

育児休業給付金

抱き合う母子
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育児休業給付金とは、雇用保険からの給付で、赤ちゃんが1歳になるまで(保育園が見つからないなどの特定の事情がある場合は2歳まで)受けられます。

産後56日(約2ヵ月)は先に挙げた「出産手当金」が支給され、その後は子が1歳(保育園が見つからないなどの特定の事情がある場合は2歳)まで、雇用保険から育児休業給付金が受けられます。雇用保険というと失業給付のイメージが強いですが、育児で仕事ができない人もサポートしているのです。

計算式は次のようになります。
休業開始時の賃金日額×支給日数(通常30日)×67%(6ヵ月経過後は50%)

たとえば、給与が25万円の人が、子が1歳になるまで休業したとすると、最初の約6ヵ月分が約100万円(月額16.6万円)、その後、1歳までの約4ヵ月分が約53万円(月額13.2万円)の合計153万円が受け取れる計算です。

健康保険料・厚生年金保険料

産休や育休中は全て免除に。しかも、これまで同様に払ったものとしてくれるので、出産することにより将来の年金が減ることはありません。
社会保険料を14%として試算するなら、約47万円が節約できる計算です。

まとめ

こうして具体的な金額で試算してみると、とても手厚いことが分かります。このケースでは、合計で約295万円もの恩恵が受けられますね。
他にも、企業によっては上乗せ給付があったり、自治体ごとに妊婦へのタクシー利用券や出産時の祝い金、紙おむつが支給されるなどのサポートがあったりするので、お勤め先やお住まいの自治体に問い合わせるなどして、調べてみるといいでしょう。