ペアローンを組んだ共働き夫婦が離婚してしまったら、返済はどうなる?
ダブルインカムの家庭が増える今、マイホームを購入し、住宅ローンでペアローンを選択する夫婦が増えています。でももし離婚したら?万が一どちらかが亡くなってしまったらどうすればいいのでしょう。ペアローンを組んで後悔しないためにもどのような仕組みであるのか、注意点は何かを知っておく必要があります。今回はおもに離婚などによるペアローンのデメリットにスポットをあてて考えてみましょう。
住宅ローンのペアローンとは
その名の通りペアで住宅ローンを借りることをいい、夫婦(親子等も可)がそれぞれローン契約をします。収入が2人分あるので審査が有利になり多く借りられるのが魅力です。また住宅ローン控除という、ローンの年末残高の1%分にあたる所得税が(ケースにより住民税も)免除される仕組みが夫婦でそれぞれ利用できます。いいことばかりのように感じますが、デメリットはないのでしょうか。
共働き夫婦がペアローンを利用するデメリットとは?
ペアローンは、2つの契約をすることになるため、契約時にそれぞれ諸費用がかかり割高になります。当然ですが、書類もその分増えるため記入や準備の手間もかかります。
また、双方がそれぞれ審査に通らなければ借りられないことも忘れてはいけません。
返済がスタートすると、住宅ローン控除が夫婦で使えますが、年収や借入額によっては単独でローンを組んでも効果が変わらないことがあります。2人ともローン控除を受けられるという仕組みだけでペアローンを選択しないようにしましょう。
また、購入後に妻が出産等でしばらく所得がない状況が続くケースもデメリットといえます。妻は、税金を納める立場でなくなるためせっかくのローン控除が使えないことになってしまいます。また、子育てや家の事情によって妻(または夫)が働かなくなるケースがあるかもしれません。その場合ペアローンを目いっぱい借りていると家計が厳しくなることが容易に想像できます。
このように家庭環境の変化によって共働きが継続できなくなることがありますので、ぎりぎりの返済計画は禁物です。
ペアローンは夫婦や親子の運命共同体
住宅ローンを借りるときに入る団体信用生命保険(団信)のことも考えなければなりません。
団信は、万一返済者が死亡した場合にローンが完済になる保険ですが、ペアローンの場合はそれぞれが自分の借入額に対して団信に加入するため、万一相手が死亡した場合は相手のローンが完済され、自分のローンの返済のみになります。
今後の収入が1人分になるのに子育てをしながらローンの返済なんて・・と考えるととても大変な気がしますね。
そんなときは、1人になったときの生活をシミュレーションして不足する分は生命保険で備えておけばいいのです。人によっては、一般的な家賃に比べると随分安い返済額なので生命保険は少しの保障でよさそうという場合があるかもしれません。
また、住宅ローンはペアローンではなく、単独のローンを組んで配偶者が連帯債務者(または連帯保証人)となり、借りる方法もありますが、例えば住宅金融支援機構のフラット35で配偶者が連帯債務者になる場合は、どちらかに万一があったら2人のローン全額が完済になるという団信(デュエット:夫婦連生団信)も選べます。
ローンの組み方は幾つかパターンがありますので、住宅関連業者や金融機関の担当者、ファイナンシャルプランナーなどに相談しながら、夫婦の生活スタイルや考えに合ったものを選びましょう。
ローン返済中に離婚したら名義や返済はどうなるの?
ペアローンを借りていて、もし離婚をすることになった場合はローンはどうなるでしょうか。
以下の3つが考えられます。
①これまで通り双方が返済する
②片方が家をもらい残りのローンも全て引き受ける
③売却してローンを完済、清算する
①②は一般に、片方が家に住み続けるケースといえます。
①「これまで通り双方で返済する」場合、相手方がずっとローンを返し続けてくれるかどうかの不安が残ります。
例えば、妻と子が家に残ることになった場合、夫は住宅ローンの返済と合わせて養育費を支払うことになるでしょう。もし夫が新たな家庭を持つことになった場合は、負担能力を超えてしまうかもしれません。夫の返済が滞ったなら妻に返済義務が生じます。2人分の返済ができず延滞が続くと最終的には差し押さえとなり家を手放すことになってしまいます。
②「片方が家をもらい残りのローンも全て引き受ける」場合は、今借りている金融機関で手続きをするか、他行での借り換えることになりますが、金融機関によっては対応してもらえないケースもありますし、ひとりでは収入基準を満たせず借りられないかもしれません。
③「売却してローンを完済、清算する」場合は、まず双方が協力的でなければなりません。お互い顔を合わせるのも嫌なときは弁護士に頼むなどしますが、その分費用が掛かります。もしローン残高より安くしか売れなかったら、差額は現金を準備し完済しなければならないリスクもあります。
離婚となったときは、ペアローンかどうかにかかわらず、誰が家に住み続けてローンはどうするかなどの問題は出てくるでしょうから何ともいえませんが、そうなった場合についても知識としておさえておきましょう。
まとめ
今回はデメリットを中心にみてきましたが、私は夫婦が共に働いて得るマイホームだから、ペアローンなどでそれぞれが家の持ち分を持つのは良いことだと思います。前述のように、出産や転職など状況が変わり夫婦がずっと安定した収入を得られない可能性もあるため、無理のない返済計画を心がけましょう。
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