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失敗例に学ぶ不動産投資、知っておくべき7つのリスクと利益を出す3つのコツ

ふやす 権藤 知弘

失敗例に学ぶ不動産投資、知っておくべき7つのリスクと利益を出す3つのコツ

【画像出典元】「iStock.com/filadendron」

投資の方法として王道ともいえる不動産投資。「会社に勤めながら物件を購入し、不動産投資で家賃収入を得ている」という方をサラリーマン大家さんと呼ぶこともあります。
毎月家賃収入があるというのはとても魅力的ですが、一方でリスクも大きいため、初心者は注意が必要。メリット・デメリットをしっかり把握することが重要です。今回は、不動産投資のリスクや失敗例にフォーカスして解説していきます。

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1. そもそも不動産投資とは

まず、投資で得られる利益は大きく分けると二つに分けることができます。

①キャピタルゲイン
 ⇒簡単にいうと安く買ったものを高く売ることで得られる価格差益(売却益)です。
②インカムゲイン
 ⇒所有していることで得られる利益です。不動産投資では家賃収入が代表といえます。

投資で得られる利益は、キャピタルゲインとインカムゲインが挙げられますが、この利益を不動産で上げていくのが不動産投資です。不動産の価格は景気や物価・貸出金利の変化や、人気があるorないなどの需要によって大きく変動することがあります。このため売却益をメインにするのは、確実性が低く売買のタイミングによっては損失を被ることがあります。

それに対してインカムゲインである家賃収入は、売買と比較すると景気の影響が小さく、安定的です。最近は立地が良く値下がりしにくい物件に投資をして、長期的に安定した家賃収入を目指す投資家の方が増えているようです。ただし、そのような物件は投資金額も多くなる傾向がありますので、収支のバランスを考えながら投資を行うことが重要です。

また不動産投資の特徴としては、権利所得となりますので不労所得になること、年齢制限がないこと、うまく使えば節税対策になること、金融機関からの借入金を使うことにより投資金額を大きくする(レバレッジを効かす)ことが可能、などが挙げられます。

2. 「リスクが高い?」不動産投資の失敗例

さて、良いことがたくさんありそうな不動産投資ですが、これから筆者が知っている不動産投資の失敗例を挙げていきたいと思います。

2-1. 利回りが低すぎて持ち出しになる
利回りとは、1年間の家賃収入を物件価格で割って何%の利益が得られるかの目安です。不動産投資は家賃収入から借入金を返済していきます。
不動産は固定資産税・修繕積立金などランニングコストが必ず発生します。毎月の家賃収入から必要経費を賄っていくのですが、コストがかかりすぎて持ち出しが発生すると投資ではなく、自分の給与収入から支払いをしていかなければなりません。

2-2.  節税になっていない
2-1 のケースで「持ち出しがあるので給与収入と赤字分を合わせて節税しよう」という誘い文句で不動産投資をすすめられるケースがあります。金額が合えばいいのですが、所得税・住民税で減税される金額よりも出費が多いことがあります。

2-3. 毎月の収支が赤字になる
ワンルームマンション等で、修繕費や管理費などを管理会社に毎月支払いをするケースだと、家賃収入で借入金+経費を支払わなければなりません。そうなると単純に毎月の給与収入+家賃収入では不足してしまい生活費もままならないというケースがあります。

不動産投資
【画像出典元】「iStock.com/marchmeena29」

3. 不動産投資で失敗しやすい原因とは?

不動産投資は投資方法としては王道ですが、失敗経験をされている方が多い=リスクが高い投資方法でもあります。

3-1. 利益は課税対象
不動産投資に限りませんが、利益が出れば課税をされます。不動産投資で得られる利益はキャピタルゲイン(売買における価格差益)とインカムゲイン(家賃収入)がありますが、キャピタルゲインには譲渡所得として課税され、インカムゲインは不動産所得として課税されます。

3-2. 人に貸すリスク
自分のものを人に貸し出して利益を稼ぐ不動産投資ですが、人に貸し出しをしますので物件の価値が下がる可能性があります。室外・室内を含め貸し出しすることによるリスクは避けられないところです。

また、法的な観点でみると「大家さんの権利<借り手の権利」となっています。これは借地借家法という法律で強力に入居者の権利が守られているため、大家さんの意志で入居者に出て行ってもらうことが非常に難しいからです。例えば、家賃の滞納を繰り返す借り手に退去してもらいたくても、なかなかスムーズにいかないことも多いようです。

3-3. 売れないリスク
不動産投資は投資用物件を買うことが難しく、売ることも難しい投資方法です。
売却して現金化しようとする際に、売却希望額と市場における相場価格が離れていることもあるでしょうし、ワンルームマンションで考えると競争相手になる同じような物件があふれていることがあります。かなり、好条件の物件・立地でなければ現金化は容易ではないと考えていた方が良さそうです。

3-4. 流動性が低いリスク
売れないリスクと同義語になりますが、容易に現金化がしにくいことはリスクといえます。資産価値が高くても「買いたい!」という声がなければ現金化ができません。買い手側にとっても「欲しい!」という条件にあった物件がタイミングよく市場に出てくるかというと、これもまた難しいところです。動く金額が大きく、投資先が不動産だけにどうしても流動性が低くなります。

3-5. ローンなど経済的なリスク
不動産投資は金融機関からの借り入れを利用して行うことがほとんどです。そのため借り入れ=ローンにまつわるリスクがあります。

一つ目は、「返せないリスク」です。
借入金を毎月返済していくわけですが、当然のことながら借り手がいなければ収入を得ることができません。そのため、空室の状態であれば返済分を持ち出ししなければなりません。短期間であればまだしも、長期間にわたればキャッシュが不足して返済できない可能性が出てきます。また変動金利で借り入れしている場合、金利が上昇する可能性があります。

ローンを組む金額が高いほど、金利が上昇したときの影響は大きくなります。ご存知のように現在の金利は過去最低水準レベルです。そのため、今の金利で利益が出ていても金利の上昇があると利益を確保できないこともあり得ます。

二つ目は「借りられないリスク」です。
不動産投資を行うにあたりアパートローン等の名称で用意されているローンを活用することが多いのですが、金融機関の貸し出しに関する条件が以前より厳しくなってきています。

投資用物件の担保評価(物件に対してどのぐらいの金額を貸し出せるか)や申込者の収入や金融資産がどれぐらいあるか、物件の今後の見込みを従来よりもシビアに評価しており、事業用のローンの申し込みがなかなか希望通りにいかないケースも多いようです。このことにより不動産投資に興味があってもスタートできなかったり、事業の拡大ができなかったりということが増えてきました。

3-6. 空室など運用に関するリスク
不動産投資を行う上で最大のリスクともいえるのが空室リスクです。空室のリスクを下げることが不動産投資を成功させるための最も重要なポイントといえるでしょう。
借り手(入居者)がいてもいなくても、毎月かかる管理費・修繕積立金は払わないといけませんし、融資を利用して投資をしていた場合は毎月の銀行への返済も自己負担になります。

極端な言い方になりますが “入居者がいれば勝ち、いなければ負け” なのが不動産投資の現実でしょう。この空室リスクを下げられれば利益も得やすくなります。そのため「一括借り上げで家賃保証、借り手はこちらで探します」という宣伝文句で地主さんやサラリーマン大家さんを集めている不動産業者もいます。サブリースといわれる手法で空室リスクを避けることができるということで人気を集めましたが、近年では物件の担保評価がそれほど高くなかったり、借り上げの家賃が減額されたりという案件も発生しています。

3-7. 物件の損壊に関するリスク
地震や火災などで物件が損壊をするリスクです。これは火災保険や地震保険で備えましょう。
火災保険は火災だけではなく、台風や大雪・水害など自然災害が発生し物件に損害が出た際に補償をしてくれる保険です。近年は毎年のように大雨による被害が発生しています。そのようなときに役立つのが火災保険ですが、契約の内容によって補償の範囲が変わります。不明な点があれば、保険会社に確認をすることをおススメします。

また、地震で発生した被害は地震保険でしか補償されません。地震によって物件が全壊してしまったとしても、地震保険に未加入であれば補償はされませんし、ローンは支払い続けなければいけません。仮に被害が少なかったとしても、建物の修繕などの費用がかかることがありますので地震保険は必須だと思います。

注意点として、地震保険は建物や部屋に設定している火災保険の保険金額の最大50%までしか保険金の設定ができません。近年では、一部の保険会社で特約を付与することにより100%までカバーできる保険も出てきています。

株式チャート
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