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痛い実話、一攫千金を夢見るも投資に失敗、やってはいけない投資4事例 (2ページ目)

ふやす 中村 賢司

4. 投資信託の失敗談/60代リタイア男性Dさん

Dさんは40年近く会社員として働き退職金を受け取りました。2000万円近くのお金が一気に銀行口座に振り込まれるのは人生で初めての経験です。とても気持ちが豊かになりましたが、年金だけでは老後の十分な資金にならないと考え、資産運用を考えました。退職金を資金として使えば大丈夫と考え、金融機関の窓口に出向いて相談して決めることに。

それまでDさんの投資経験といえば生命保険の養老保険のみで、投資の知識はないのと同じでした。そのような状態で、窓口では退職金用特別金利の定期預金と投資信託のセットを勧められました。「金利も高いし退職金で手持ち資金は今のところ十分なので、じゃあ、おすすめのソレを」のような流れで、勧められるままの商品でDさんの退職金運用が始まりました。

実際に始まってみると、金利の高い定期預金は短期間しか有効ではなく、購入している投資信託は毎月分配型でした。分配金の金額も高く、スタート時には定期に分配金が出て安心していていましたが、ある日、金融機関からの書類を見ると投資に回している元本が大きく減っていました。

【FPが考える、こうすればよかったかも?】
退職金はまとめて受け取ることが多いと思いますが「何か運用をしなければ」と焦る必要はありません。ゆっくりと考えても大丈夫です。退職金を運用しながら何年をかけて取り崩しをするのか?を考えることが重要です。

毎月分配型の投資信託は大部分の商品が元本を取り崩して、分配金という名前で契約者に配分されています。そのため、いわゆる元本割れ状態になっていることが多い商品です。大事な退職金は減らさない運用が重要です。

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5. 失敗から学ぶこと/投資のリスクと自分の許容度を知る

利益と損失
【画像出典元】「iStock.com/triloks」

そもそも論になりますが、投資にはリスクがあります。「絶対に資産が殖える」「必ず成功する」という投資方法はありません。この場合のリスクは値段のブレ幅のこといいます。
このリスクをどれぐらい許容できるかが投資判断では重要です。例えば、ある投資商品で資産運用し、10万円損失が出たら自分の生活にどれぐらいの影響があるかを考えてみましょう。

10万円の損失が出たら生活ができないのか、1回の損失なら大丈夫なのか、3回出たらダメなのか?個人によってリスクの許容度はさまざまですが、自分の中でどれぐらいの損失が発生すると投資の継続をストップするのかをキチンと考えてスタートしましょう。

また、個人投資家の心理としてよく見られるのが下記の例です。思い当たる方も多いのではないでしょうか?

(1)儲けが出ているものは、儲けが出ているうちに売却して利益を確保しよう
(2)値下がりして、今売るのは損だから値上がりするまで待とう

上の(1)と(2)を繰り返すと、手元には利益が出ていない金融商品しかなく、投資の意味がなくなっていることが多いのです。この場合、投資する分野や金額などを見直しすることが、それ以上の損失を避ける意味でも重要です。

一攫千金は夢がありますが、投資をゲーム感覚で行うと失敗する可能性が大きくなります。投資の目的は利益を出すことですが、そのためには損失を最小限にして、資金を必要以上に失わないように分散・長期・積立で投資をすることと、いくらまでであれば損失を受け入れることができるか決めておくことが大事ですね。

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