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病気で収入減り、年金保険料払えないかも…対策ある?/29歳独身女性相談

FPに聞きたいお金のこと 世継 祐子

病気で収入減り、年金保険料払えないかも…対策ある?/29歳独身女性相談

FPオフィス「フォルテシモ」へ依頼されたお客さまの家計簿を診断する【うちの家計簿】。今回のお客さまは、病気のため収入が減り、老後に備えるための年金保険料が払えないことを心配する29歳女性、会社員のSさんです。

(29歳女性Sさんの相談)

体調を崩して仕事を休みがちになり、月の収入が3万円以上減ってしまいました。老後のことが心配で年金保険に加入しているのですが、体調によっては仕事をやめることも考えており、保険料を支払えなくなることが心配です。保険の見直しをどうしたらいいのか悩んでいます。

29歳女性Sさんの家計簿診断

手取り17万2800円のうち保険料の支払いに手取りの20.4%の3万5333円が充てられています。現在の貯蓄額は110万円です。

加入している保険

Sさんが加入している保険の内訳は、5333円が入院と手術、がんを保障する保険です。
その他3万円は老後資金のための年金保険に月2万円(60歳まで支払い)と60歳で満期を迎える養老保険に1万円加入されています。

ライフプランの変化があれば保障を見直そう

医療保険
【画像出典元】「iStock.com/marchmeena29」

Sさんは、(1)入院したときの医療費と(2)老後資金を貯めることを目的に保険に加入されました。しかし、体調を崩したことで収入の減少というライフプランの変化が生じました。保険はライフプランの変化に応じて見直す必要がありますので、現状にマッチした保障かどうかを検討しましょう。

(1)入院など医療費への備え

Sさんは収入が減ったことで健康保険の「高額療養費」の自己負担限度額が下がりました。
「高額療養費」とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費が高額になったときに一定の限度額を超えた分があとで払い戻される制度です。医療費が高額になることが事前にわかっているときには「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。

自己負担限度額は、年齢および所得状況等により設定されていますが、Sさんはこの限度額が下がったため、医療費の負担が軽減されたことになります。
健康保険の保障に加入していることを意識し、入院の保障額を減額するなど保障を小さくすることを検討しましょう。

(2)老後資金への備え

Sさんの加入中の年金保険は60歳までのこれから31年間支払いが続きますが、31年間の総支払保険料を年金の受取額が超えるのは68歳です。あまり貯蓄性の高い商品ではないことがわかります。

今後収入減が続くと考えられるとのことですので、年金保険、養老保険の「払済」(保険料の払い込みを中止し、保険期間をそのままに保障額の少ない保険に加入する方法)、や「解約」も検討しましょう。

保険の支払いのため貯蓄を切り崩してしまうと、生活費の予備資金がなくなってしまい生活が立ち行かなくなってしまうことも考えられます。保険料の削減を検討してみましょう。
体調が戻り、安定した収入が得られるようになれば、そこからまた老後資金を貯めることは可能です。

リスクへの備えのために、公的な社会保障の内容を確認しよう

人生には、さまざまなリスクがあります。入院する、手術する、病気やけがで働けなくなるリスクは、社会保障である健康保険、年金保険でカバーできる部分があるので、再度内容を確認することをおすすめします。
Sさんは公的な保障の内容を今まで確認していなかったとのことですので、これを機会にしっかり理解し、公的な保障をもれなく請求できるようにしておきましょう。

今優先すべきことは体調を回復させること

診察を受ける女性
【画像出典元】「iStock.com/Wavebreakmedia」

Sさんが老後に備えて年金保険や養老保険に加入していたのは間違いではありません。
ただ、体調を崩している今は体調の回復を一番に考え、収入が安定してから資産形成に取り組むようにしましょう。

ライフプランの変化に応じて保障を見直すことは大切です。ライフプランの変化には、転職、退職、結婚、出産、離婚などさまざまなことがありますが、働き方や家族構成によっても社会保障が変わることがありますので、その都度社会保障の内容を確認するようにしましょう。

アドバイスを受けたSさんの感想

収入が減ったことで、医療費負担の上限が下がっていたなんて驚きました。健康保険に保障があったなんて知らなかったです。相談前は収入が減ったことでとても気が滅入っていたのですが、ずっと働けないわけではないし…。まず体調を整えることを考えます。年金保険、養老保険も払済ができるのか、解約したらいくらもらえるか確認してみます。

29歳女性Sさんの家計簿診断を終えて

働き始めてすぐ保険に加入し、リスクに備えようと取り組んでこられたSさん。お金のことも本当に真面目に考えてこられたことがお話ししていく中で伝わってきました。
人生山あり谷ありです。「元気があればなんでもできる!」ではないですが、人生100年時代といいますから、ちょっと一休みして充電してもいいかもしれません。
資産形成の方法は保険以外にもあります。それぞれの金融商品の特徴を理解してバランスを考えながら自分にあったものを選びましょう。