やっぱりお金に好かれたい!「お金を貯める」なら押さえるべきこと
監修・ライター
「貯金ができない!」「お金に弱い!」という人、大歓迎の、泉先生のお金アカデミー。
ここでは毎回、お金のプロ・泉正人先生が、社会に出て約5年になる20代のAくん、Bさんに、お金のことをもっと身近に、楽しく考えてもらえるようなレクチャーを行っています。お金について知ることができた人には、今よりももっと自由な日々が待っている!
みんなで一緒に「人生の貯金額」、どんどん増やしちゃいましょう!
預金通帳は「お金の管理」の通信簿
ふたりはどうすれば、今よりも貯蓄ができるようになると思う?
転職…いや、基本給アップを会社の上司に直談判します!
今トレンドの副業にチャレンジするのもいいかも。
なかなか前向きだね!けれど、以前、話したこともあるように、「収入が多ければ貯蓄ができる」というのは、質問に対する典型的な間違った答えなんだ。
えーっ。でも収入が増えないと、貯金の増えようがありませんよ。
確かにそうかもしれないね。でもこういうのはどうだろう。ふたりは預金通帳を持っているよね。
持っています!
今よりも貯蓄ができるようになるためには、「まずは預金通帳を見る」。これが答えだよ。
えーっ!どうして預金通帳なんですか?
預金通帳の中には、僕たちが「貯蓄ができる生活」を送っているかどうかを簡単に見極める方法があるからだよ。たとえば、毎月預金残高が減っているのであれば、収入よりも支出が多いことが一目瞭然。改善しなければ、貯蓄はおろか、生活が破綻する可能性もあるということがわかる。つまり、預金通帳は、「お金の管理」の通信簿的存在なんだ。ここでまず「優良」を取る。貯蓄生活はそこから始まるといっても過言ではないんだよ。
どうすれば通信簿で「優良」がもらえるんですか?
まずは、毎月支払うお金に注目してみよう。たとえば家賃。その支払日が月によって給料日だったり月末だったりとバラバラならば危険信号、支払いが遅れて翌月になってしまっている人は言語道断。「ただ忘れていただけ」だとしても、それは言い訳にはならないよね。毎月の支払いが発生するものは、いつも同じ日に振り込む。通信簿で言えば、これが「可」。
「良」にしたい場合はどうすればいいんですか?
支払日をなるべく月初めや給料日に設定して、その月の生活費を使う前に振り込むようにする。これが「良」。
では「優良」は?
毎月発生する支払いを、月初めや給料日に振り込むと同時に、自分が設定した金額を、貯蓄口座に振り込めたら「優良」だね。
なるほど~。
ただし、「優良」に見せかけて、結局給料日の数日前に財布から現金がなくなってしまい、「クレジットカードでしのいだ」というようでは本末転倒。「優良」を取るためには、自分の生活費をコントロールできていないとダメなんだ。
コントロールって、大事なんだなぁ。
そうだね。そして「貯金の管理」に預金通帳を活用することは、「仕事の管理」に営業日報や進捗管理表などを活用することにもつながるんじゃないかな。
わ、まさか仕事にも応用できるとは。
お金のこと、仕事のこと、それぞれに目標や夢があっても、思いついたときしか行動しないようでは、何事も達成できない。まずは目標に近づくための「仕組み」を作るのがおすすめだよ。
面倒くさがりでも「仕組み」をつくればお金は貯まる
今年こそ、5キロ痩せます!
そんな風に高らかに宣言しても、うまくいかないのが人生というものだよ。
ひどーい!でも確かに、毎日30分間ウォーキングすると決めても、本当に続かない。どうすればいいの?
そんなとき、僕だったら“仕組み”をつくるかな。
仕組み、ですか?
そう。たとえば、「通勤で使用していた自転車を誰かに譲る」「電車の通勤定期券を最寄駅から1つ遠いところ(徒歩30分)にする」といったことを敢行する。そうすると、必然的に30分歩かなければならなくなる。1年間ずっと30分のウォーキングを行えば、きっと5キロくらいなら痩せられるんじゃないかな。
イメージしやすいですね。痩せられそう!
実は、「お金を貯めたい」という人もまったく同じ。お金が貯まる「仕組み」とはどのようなもので、どうすればつくることができると思う?
ダイエットと同じということは…目標を決める、ですか?
そう!「3年後の12月にもらうボーナスの日までに200万円を貯める」というように、貯蓄したい目標金額を決めよう。より具体的にすることで単純に貯蓄するだけよりも、ヤル気を上げることができるよ。
でもたとえヤル気を高めて月初に予算を組んでも、そんなときに限って誘惑があるんですよね。飲み会に誘われたり…。なにかと出費がある。
そうそう!バーゲンの案内が届いたりすると、ついつい財布のヒモがゆるんで、貯蓄が先延ばしになっちゃう。
確実に貯蓄をしたいのなら、「意思の強さ」に頼るのはやめた方がいいね。お金が思うように貯められない代わりに、ストレスばかりが溜まってしまうよ。おすすめなのは、食費、光熱費、医療費、衣類費、美容費、交通費(定期代)、交際費などの生活費を使う前に決まった金額を貯蓄へまわす仕組みを作ること。収入が入ったら先に貯蓄をし、残ったお金で生活する。つまり、「収入−貯蓄=支出」という考え方にシフトすることだよ。
確かに、そうなったらもう、その中でやりくりしようとか考えますもんね。
そうだね。貯蓄ができるかできないかに、「収入の多い・少ない」は関係なく、貯蓄の習慣化、仕組み化ができているかどうかによってくる。まずは今の自分の立ち位置を知って、目標に近づくプランをつくることが大切だよ。
「習慣・仕組みをつくる」のが成功への道、ですね!
かならずお金が貯まる「2:6:2のルール」
でも目標貯蓄額って、いくらくらいに設定したらいいんだろう…?
それはもう、高ければ高いほどいいんじゃない?
でもあまりに高く設定しすぎると、現実味がないというか…。
ふたりとも早速真剣に考えてくれてるね。じゃあちょっとだけアドバイスを。貯蓄の目安を考えるうえで、僕がかねてから使ってきたのが「2:6:2のルール」なんだ。
2:6:2のルール?
そう。収入の2割を貯蓄に、6割を生活費に、残りの2割を自己投資にあてるというルールだよ。
先生、「2:6:2」より、「6:2:2」の方が分かりやすくないですか?
いいところに気がついたね!実は「6:2:2」にしていないのには、明確な意図があるんだ。それは、「生活費を使うよりも先に貯蓄を行うべきだ」、という考えがあるからなんだよ。
なるほど、それで「貯蓄」の「2」が先なんですね。
そう。そしてこれを、手取り額が20万円という人であてはめてみると、貯蓄額が4万円、生活費が12万円、自己投資が4万円となる。
もしも年間のボーナスが手取りで60万円、とう人はどう考えたらいいんですか?
3年間昇給も減給もなかったとして、ボーナスを丸々貯蓄するならば、4万円×12ヵ月+ボーナス(年間)60万円で1年間に貯められる金額は108万円。3年間だと324万円にもなる。
3年後には324万円!大きいなぁ。
年収分、まるまる貯蓄できるということですもんね。夢みたい!
目標額を決めて、このルールさえ守っていけば達成可能だということだよ。ボーナスがないという人、あるいはボーナスは貯蓄以外のために使いたいという場合だと、毎年2割ずつお金が貯まっていく計算になるから、単純計算すると、5年で年収分を貯蓄できることになるね。
なんだかすぐにチャレンジしたくなってきたなぁ。
あと、この「2:6:2のルール」を運用するうえで大切なのは、金額のこともだけど、貯蓄を生活の中に組み入れること(=習慣化すること)なんだ。「これまで一度も計画的に貯蓄をしたことがなかった」のであれば、ぜひこのルールを使って目標の貯蓄額を決めるようにしてみよう。イメージで言うと、貯蓄というクスリでお金の生活習慣病を完治する、という感じかな。
生活習慣病を完治。本当に、ダイエットを成功させることに似ていますね!
これができれば自分に自信が持てそうです!
そうだね。「こうすればうまくいく」というルールを持つことは、仕事の成果にも直結していくと思うよ。自分流でかまわないので、ルールをつくって、ものごとを効率よくこなしていこう!
貯蓄を習慣づけるための2つの方法
「2:6:2のルール」のほかにも、貯蓄を習慣づける方法はいくつかあるんだ。
ぜひ教えてください!
まず、具体的な目標額を「公言すること」。友人でも、恋人でも、家族でもいいので、信用できる人に対して宣言することで、貯蓄への意思を固くすることができるよ。
確かに、宣言するともう後には引けませんね。
さらに宣言するだけでなく、その後は月に1回でも3ヵ月に1回でもいいので、通帳を見せながら報告するとより効果的だよ。僕自身もそうだけど、意思が強くない人間にとっては、自分ひとりの戦いには限界がある。だからまわりの力も借りつつ、貯蓄を行っていくといいよ。
でも人に通帳見せるって、かなり勇気がいるなぁ~。
なので、見せるのは信頼のできる人にだけ。間違っても不特定多数の人が閲覧できるSNSなどに公表するのは、セキュリティの意味でも避けようね。
はい!
もう1つの方法は、「小さな成功体験をすること」。はじめから年単位、数百万単位で目標を立ててしまうと、そこにたどり着くまでに挫折しがち。短期間で達成可能となる目標を立てて成功体験を積み重ねることで、モチベーション維持につながるんだ。
無理のない目標、って、どんなイメージですか?
たとえば、5ヵ月間、毎月2万円ずつ貯めて10万円貯蓄する、くらいから始めるのはどうかな?
それならできそうです!
それでもモチベーションが保てないというのならば、最初だけ自分へのご褒美をつけるのものひとつの手だよ。
ご褒美!欲しい!
それはどんな感じで設定するのがおすすめですか?
たとえば、「10万円貯まったら欲しいものを2万円まで使っていい」、とかね。ただし、ご褒美が常態化されてしまうのは好ましくないので、貯蓄が自分の中で習慣化されるまでの対症療法だということを忘れないようにしよう。
まずは、信頼できる人と2人で一緒に貯蓄を始めてみる…か。
Aくん、私と一緒に始めてみる?
えっ、Bさん厳しいから、本当にサボれなくなりそう!
ははは。貯蓄が成功したら、次はぜひ、それを仕事にも活かしてみよう。同僚に今年の目標を公言して、「有言実行」を目指す!
はいっ!
まとめ
目標や夢を描くばかりでは、それらに近づくことはできません。まずは自分の立ち位置を知って、目標に近づくための“仕組み”を作ること。さらに、自分流のルールを持つことも強みにつながります。
次回は、「お金を稼ぎたいならやるべきこと」について勉強します。お楽しみに!