新しい保険の選び方に注目「皆で割り勘」保険、日本でも本格展開
皆さんは「わりかん保険」をご存知ですか?保険の契約者同士がグループを作り、そのグループの中でがんに罹った人がいればその人に給付金を支払い、その給付金をみんなで「割り勘」するという、保険料が後払いの保険のことをいいます。
このわりかん保険はテクノロジーの力により、加入するときの保険料がゼロ円で、がんに罹った人がいたら、そのとき初めて保険料を支払う仕組みです。
今回はこの「わりかん保険」、別名「P2P(ピアツーピア)保険」について、その仕組みや保障内容、更にはメリット・デメリットなどの注意点等を解説します。
割り勘保険=P2P保険とは
給付金の支払いが確定してから保険料を割り勘するので「わりかん保険」と呼ばれていますが、正確には「P2P保険」といい、欧米や中国では既に販売が開始されています。中国ではあのアリババが販売していて、1年間でなんと1億人の契約者を集めたほど人気となりました。
従来のがん保険は年齢や性別ごとに保険料が決められていて、保険金の支払いが多くても少なくても保険料が返ってくることはありません。(一部の共済制度を除く)
でもP2P保険は、実際に支払いがあった給付金を1ヵ月単位で計算し、その給付金を契約者みんなで割り勘するので、その月に保険金の支払いがなければ保険料はゼロ円となります。逆に給付金の支払いが多かったとしても、月々の保険料には上限が決められているので安心です。
現在、日本で販売されているP2P保険はがん保険の1種類のみで、がんに罹患したときの一時金が80万円、入金給付金や手術給付金や先進医療などの保障はありません。
今後様子をみて死亡保障や医療保険なども出てくるのではないでしょうか。
P2P保険(割り勘保険)のメリットとは?
P2P保険の「P2P」とは、利用者同士を直接つなぐという意味で、従来の保険会社のように手数料はたくさん取らないので、その保険料の透明性や安さ、そして加入のしやすさが利点といえます。
その中でも最大のメリットは、なんといってもその保険料の安さです。
実際に支払いがあったときだけみんなで割り勘するので保険料がゼロ円の月ももちろんあります。また給付金の支払いが多くなった場合でも、年齢ごとに上限額が決められているので安心です。ちなみに20~39歳は500円、40~54歳は990円、55~74歳は3190円となっています。
また、インターネット経由で申し込めますので、その手続きの手軽さには驚きです。従来の保険のように署名捺印の必要がありません。
最後に保険料の透明性ですが、支払われた給付金の30%しか事務手数料を取りませんので、一般の生命保険会社と違い手数料が割安でしかも開示されているところが安心です。
P2P保険で注意する点やデメリット、起こりうるトラブルは
一方で注意する点は、保険期間が1年間しかない更新タイプとなっている点です。1年更新タイプなので、一度がんに罹って給付金が支払われると次の年から更新ができません。
一般のがん保険は1回目の給付金を受け取った後も再発すれば条件により2回目の給付金をまた受け取ることができます。このP2P保険のデメリットはそのあたりかもしれません。
また、最高でも74歳までしか更新ができません。実際75歳からのがんの罹患率が急激に伸びていきますので終身でがんの保障が欲しいという人には向いていません。
また前項で触れたように保障内容は、一時金のみで入院給付金や手術給付金、最近人気の高い先進医療の特約も付けることができません。
一般的にがんに罹ると、治療の内容によって、自由診療や保険適用外の薬やサプリメント、また放射線治療で脱毛してしまったときのウィッグなど、さまざまなものが必要となってくるので、80万円の保障では心もとないという人もいるでしょう。
新しい保険の選び方が始まる
日本では、この仕組みの保険はまだ実証実験中で、1年間様子を見て問題なければ本格的に販売がスタートします。インターネットで「P2P保険」や「わりかん保険」と検索するとホームページが出てきますので、そこからクレジットカードなどを登録して手軽に加入することができます。
最近流行りのシェアリングエコノミーという観点からも、このP2P保険は今後伸びる可能性があるでしょう。私も注目している保険のひとつです。
日本人のがんの罹患率は、男性は2人に1人、女性は3人に1人といわれています。しかし年齢別にみると、そうとも限りません。例えば30歳代の人であれば、がんに罹る確率は1000人に1人、すなわち0.1%です。
若い人には人気が出る商品かもしれませんね。
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