Wallet+ユーザー様からいただいた「FPに聞きたいお金のこと」に、白浜がお答えします。今回は、仕事を辞めた場合にこれまで掛けた年金がどうなるのか心配という30代女性Eさんからの相談です。

体調を崩して退職した30代女性 Eさんの相談内容

転職によって貰える年金額は変わるのでしょうか？私は公務員として厚生年金に106カ月間加入していましたが、その後体調を崩して辞めることになりました。夫に貯蓄がないので老後が心配です。私が今後、夫の扶養の範囲内で働いたとして、今まで払ってきた厚生年金額は老後に貰える年金額に反映されるのでしょうか？子どもはいませんが将来的には欲しいと考えています。無駄使いは少ない家計ですが、月々貯蓄に回せる額が少ないので心配です。（Eさん30代前半・夫30代後半）

払った分は必ず老後の年金になります

体調を崩されて退職なさるのですね。健康第一ですから大事にされてください。収入が大きく変わる中で、納めた年金が今後どうなるかは、確かに心配だと思います。ただ、安心してください。これまで納めた厚生年金は生涯記録されるので消えることはありません。将来の年金にきちんと反映されます。

年金記録にきちんと反映されているかは、毎年誕生日頃に届く「ねんきん定期便」のハガキが頼りになります。
これまでの加入期間が月単位で記されているので、厚生年金期間が正しく記載されているか確認すると良いでしょう。

もしEさんが考える加入期間と合わないようなら、日本年金機構のWebサイト「ねんきんネット」に登録し詳細を確認することもできます。他には、日本年金機構に出向き確認する方法もあります。

日本年金機構HP
https://www.nenkin.go.jp/n_net/

また、ねんきん定期便は、節目とされる35歳、45歳、59歳を迎える時には、ハガキではなくA4サイズの封書で詳細が届きます。もしEさんが35歳の節目を迎えられるタイミングでしたら、そちらで加入記録を詳しく確認できますよ。

公務員の場合はその他に「年金払い退職給付」という上乗せ年金があります。給与や賞与から積み立てているものなので、こちらも将来受け取ることができます。

年金見込みを知って、不足分を積み立てましょう

貯蓄に回せる額が少なく老後が心配とのことですね。不安に思うことは良いことです。その気持ちが老後資金の準備に繫がる第一歩ですから。不安を解消するには、老後を数値化することから始めると良いでしょう。そうすれば、いくら準備したら良いのか目標を立てることができます。まだ30代ですので、今からでも十分に間に合いますよ。

まずは年金の見込み額を知ることが大切です。そこで頼りになるのが先程のねんきんネット。

将来の働き方を入力すると年金見込み額がシミュレーションできるので、それを基に95歳～100歳くらまで生きた場合の不足額を把握します。
そうすると、目標額を目指すためにいくらずつ貯蓄すべきか見通しが立てやすくなるのです。

事例でみていきましょう。

仮にEさん夫婦の、将来の年金見込み額合計が年間300万円だったとします。その場合、老後資金に使える年金は毎月25万円（300万円÷12カ月）という計算になります。

趣味や旅行など生活を充実させる資金、家電買い換え、冠婚葬祭など突発的な費用も含め月当たりあと5万円くらい欲しいと思ったとします。

65歳から95歳まで30年分を備えるのなら

5万円×12カ月×30年＝1800万円

の準備が必要ということになります。

仮にEさんがこれから30年かけて準備するのなら、

1800万円÷30年＝60万円

つまり、年間60万円の貯蓄が必要ということになります。
退職金が貰える場合は、その分を考慮して考えることもできます。

もちろん、今はiDeCo（イデコ）やNISAを活用するなど資産運用を検討する時代なので、その場合の運用益も見込めばもう少し少額の積み立てでも良いことになります。

このように、まずは老後資金の目標を立て、年間の貯蓄をイメージしていきましょう。

まずは、気にされている年金記録をねんきん定期便などで確認し、新生活が落ち着いてからでも、夫婦で老後どんな生活を送りたいか夢を膨らませ、将来の貯蓄目標を考えてみましょう。

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