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働き方で変わる国民年金と厚生年金、どちらがいくらもらえてお得?

そなえる 中村 賢司

働き方で変わる国民年金と厚生年金、どちらがいくらもらえてお得?

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自分の働き方を考える時には、将来もらえる厚生年金、国民年金のことも一緒に考えておきましょう。例えば、ユーチューバーがもらえる年金は国民年金か厚生年金、どちらでしょうか?

働き方によって、国から受けられる支援の金額も内容も変わってくることを理解しておけば、どちらを選んでも後悔しない選択ができるのではないでしょうか。

今回は、国民年金と厚生年金について、どちらの年金がいくらもらえるのか計算してシミュレーションしたり、保険料は年収で変わったりするのか、など公的年金について一緒に考えていきましょう。

公的年金とは

公的年金には、国民年金厚生年金があり、日本国内に住所がある全ての人が加入を義務付けられています。また、その人の働き方によって加入する年金制度が決まります。

この公的年金制度は、今現役で働いている世代が支払った保険料を、高齢者等の年金給付に充てるという仕送りのような制度で、世代と世代の支え合いという考え方に基づき運営されています。

日本の公的年金制度は、「国民皆年金」という特徴を持っており、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金のいわゆる2階建ての構造になっています。

国民年金がもらえる人・職業は

年金手帳
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国民年金は日本国民の20歳以上60歳未満の人すべてが加入する義務があり、加入期間に応じて、加入した人すべてが原則65歳以降にもらえる年金です。自営業フリーランス専業主婦(主夫)の人たちは、この国民年金のみを将来もらうことになります。

職業がユーチューバーの場合、この国民年金が対象となります。また、弁護士や会計士、税理士、社会保険労務士、行政書士、司法書士などの「士業」の人たちも個人で事務所を営んでいる人たちは国民年金が対象です。

プロ野球選手やサッカー選手のような、プロアスリートたちも、フリーランスのようなものなので、国民年金に加入している人がほとんどです。

厚生年金がもらえる人・職業は

厚生年金がもらえる人は、会社に勤務している会社員国家公務員地方公務員などの人たちです。以前は公務員の人たちが入る年金制度として共済年金という制度がありましたが今は厚生年金に一本化されています。

先に紹介した士業の人も、勤務先が会社形態であればこの厚生年金が対象となります。外資系企業で出来高制のような年俸制の給料でも、個人事業主ではない限り厚生年金に加入しています。

生命保険会社に勤務している営業職員などは、個人事業主という位置づけですが、加入している公的年金制度はこの厚生年金となります。

厚生年金の対象者は、先に説明した国民年金にプラスして、将来厚生年金をもらえるということになります。

国民年金の保険料、将来もらえる額の計算方法

国民年金の保険料は、月額1万6540円(令和2年度)です。この保険料は年度が替わるごとに若干増減があります。また、6カ月分や1年分、2年分という単位で前納することができ、まとめて納付すると保険料の割引を受けることができます。

将来もらえる年金の額は、20歳~60歳まで40年間保険料を納めた場合、65歳から満額の78万1700円(令和2年度)を受け取ることができます。

「満額」としたのは、未納や免除の期間がなく40年間納めた場合の金額で、仮に国民年金の保険料を1年納めていなかった場合は、78万1700円×39年/40年というように按分計算されて76万2100円となります。

言い換えると40年は480カ月あるので1カ月単位で保険料を納付した月数分もらえることになります。

65歳からもらえる国民年金額=78万1700円×納付した月数/480カ月(月額約6万5000円)

厚生年金の保険料、将来もらえる額の計算方法

厚生年金の保険料は、毎月もらっている給料(標準報酬月額)に保険料率「18.3%」をかけた額となります。しかしこの全額を納めるのではなく、労使折半といって半分を会社が負担してくれるので、自己負担は以下のような計算式となります。

毎月の厚生年金保険料自己負担額=標準報酬月額× 18.3% (2020年現在の保険料率) × 50%

例えば給料が30万円のケースを上の計算式に当てはめると、毎月支払う厚生年金の保険料は、
30万円×18.3%×50%=2万7450円
となります。

また、ボーナスにもこの計算式は適用されるので、同じ割合で計算した保険料をボーナスからも支払うこととなります。

しかし毎月の給料は残業代や歩合給、諸々の手当てなどで増減することがあります。よって厚生年金の制度としては、毎年4月~6月の平均の給料(平均標準報酬月額)を計算して、その年の9月から翌年8月までの厚生年金の保険料を決めることとなっています。

次に厚生年金の将来もらえる額ですが、これはとても複雑な計算式となります。原則的な計算式は以下の通りです。

A=平均標準報酬月額× 7.125/1000 ×平成15年3月までの加入月数
B=平均標準報酬額× 5.481/1000 ×平成15年4月以降の加入月数
A+B=老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額

これをざっくりした計算式に直すと、
毎月の平均給料× 0.54% ×加入月数 となります。

例えば毎月の給料が30万円で、大学卒業後22歳から60歳まで38年間厚生年金を払い続けた場合、将来もらえる厚生年金の額は約74万円となります。

30万円×0.54%×38年×12カ月=73万8720円(月額約6万1500円)

厚生年金の対象の人は、厚生年金に加えて国民年金も受給できますので、国民年金が満額もらえたとすると、以下の金額を受給できることになります。

78万1700円(国民年金)+ 73万8720円(厚生年金)=152万420円(月額約12万6700円)

2020年の年金改正で変わったこと、メリットが増える人とは?

笑顔の老夫婦
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2020年3月に年金改革法案が閣議決定され、2022年の4月から年金制度が以下のように変わります。

1.年金受給開始年齢の選択肢が70歳から75歳に延長

今まで年金の繰り下げ受給は70歳までが最長でしたが、これを75歳まで延長できるようになります。受給開始年齢を遅らせた分、年金受給額は1カ月延長するごとに0.7%増額されます。75歳まで年金を受け取らなければ、76歳からはおよそ1.8倍の年金をもらえるようになります。

2.在職老齢年金の見直し

60歳から65歳未満で仕事をしながら年金を受け取っている人の年金は、給料と年金の額が28万円を超えた場合、一部または全額支給停止となっていましたが、この金額が47万円まで大幅に引き上げられました。これにより、働きながら年金をもらう人の働き方が大きく変わると思われます。

3.厚生年金加入者の適用拡大

パートタイムなどで働く短時間労働者に対しては従業員数501名以上の事業所で働いている人が厚生年金の対象となっていましたが、2022年10月からは101名以上、2024年10月からは51名以上と、段階的に引き下げられます。これにより適用事業所が増えるので厚生年金加入者の範囲が拡大されることとなります。

この年金改正により、パートで働く人や65歳未満で年金を満額もらうために働く時間を短くしていた人たちにとっては、受け取る年金額が増えるのでメリットが多いですね。

女性は厚生年金に入った方がいい?その理由は

公的年金制度は国民年金と厚生年金の2階建てになっています。夫の扶養に入っていて将来自分がもらえる年金が国民年金のみの人は、この年金改正を利用し、パートタイマーでも厚生年金に加入できる事業所で働くことにより、将来の年金は確実に増えます。

日本人の平均寿命は年々長くなり、特に女性の平均寿命は90歳くらいまで伸びています。実質終身年金としてもらえる厚生年金や国民年金は、長生きの女性にとっては男性より多くもらえる可能性があります。よって女性は厚生年金に入っていた方が良いといえるでしょう。

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働き方を考えるとき、年金のことも考えよう

今まで見てきたように、公的年金に加入している期間により、将来受け取る年金額は大きく変わります。またその働き方により対象となる年金が、国民年金か厚生年金かに決まります。

2020年の年金制度改正で、厚生年金の適用範囲が拡大されましたので、年金のことまで考えた働き方が得策ともいえるでしょう。

将来的に日本人の寿命がさらに長くなることも考えると、国民年金や厚生年金の公的年金制度からどれぐらいの年金をもらえるか、概算でもいいので計算しておくとよいと思いますよ。

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