お金

転売ヤーはもうかるの?ユニクロ「+J」に行列ができたワケ

経済とお金のはなし 伊藤 寛

転売ヤーはもうかるの?ユニクロ「+J」に行列ができたワケ

【画像出典元】「shutterstock.com/Dean Drobots」

ユニクロの勢いが止まらない。ここ数年、売上高は右肩上がり。今年、コロナ禍でいったんは売り上げが落ち込んだが、今年6月以降は再び上昇気流に乗っている。一方で「転売ヤー」によるフリマサイトへの高額出品も相次いでいる。先日、有名デザイナーとのコラボ商品発売日に大型店には長蛇の列ができ、店内は人でごった返した。

もちろんユニクロも油断していたわけではないだろう。対策を施したにもかかわらず収拾がつかなかったのだ。原因の一つに、転売ヤーの存在は少なからずあった。転売ヤーによる買い占めの問題で、一般の購入者には大きな影響が出ている。なぜ極端な行列が生まれたのか。そしてわれわれ20、30代はもうかるからといって「転売」に安易に手を出していいのだろうか。近年のユニクロ人気を支える仕掛けに関しても、改めて整理しながら述べていく。

商品以外にも魅力創出の取り組み満載

ユニクロの商品開発の革新性はもちろんだが、人気の秘訣は単にコストパフォーマンスの良さ、革新的な技術に裏打ちされた機能性の高さだけではない。

商品が出来上がるまでの過程を紹介し、人々の生活に合わせた服の合わせ方を紹介するメディア「LifeWearMagazine」もヒット。坂本龍一氏や吉本ばなな氏らが自身の生活とユニクロの魅力を語り、服の機能性の高さを際立たせている。安いながらも「LifeWearMagazine」でユニクロの世界観を創出する取り組みを怠らない。同時に着こなし発見アプリ「StyleHint」で具体的な着こなしもアドバイスする。

加えて店内では電子タグ「RFID」を付け販売効率も向上。物流面では倉庫の自動化に取り組むなど、われわれ購入者にとって見えにくい部分の工夫も多くある。

フリマ市場で最も取引されているのがユニクロ

服を撮影する
【画像出典元】「stock.adobe.com/Maridav」

 「店内は、頭の上にかごを掲げないといられないほど『密』な状態に」ー。11月13日、有名デザイナー、ジル・サンダーと組んだコレクション「+J」の発売日、名古屋店では人がごった返しマネキンの服までもが剥がされる事態となった。

もともと料金の割に質が良いとされるユニクロ。通常の商品ラインと比べてやや割高なものの、「UNIQLO U」などファッション性をさらに高めたコラボ商品が発売されるたびに話題を呼んでいた。「+J」の発売は9年ぶり 。2000年代後半~2010年代前半にかけ成長スピードを上げたユニクロの「象徴的存在」だった+Jの復活とあって、ファッション感度の高い若者を中心に注目されていたのは確かではあった。

もちろんユニクロも対策を施していた。検温や消毒、マスクの着用推奨はもちろんのこと、店舗での購入は1商品1点まで、ログインが必要なオンライン購入では「+J」商品を5点までしか購入できない仕組みにしていた。

だが一瞬で売り切れた。一般的に商品を売り始め、完売するまでのサイクルが極端に早いのがユニクロの特徴だ。筆者も商品を狙って11月の発売日に合わせてPCで買おうとしたものの、午前中はアクセス集中で表示されない状態が続き、半日経ったころには特定サイズが売り切れていてゲンナリしてしまった。

これらを総合して考えると、極度な混雑を招いた原因は転売ヤーの存在も一因なのだろう。ひとたび販売された新商品は数日、サイズ、色によっては数時間で売り切れてしまう。それをいち早く購入しようと店に飛び込んだ結果が今回の大混雑を招いたとも考えられる。

実は最もメルカリで売れているブランドはユニクロだ。いわゆる「古着」と「転売」の区別はされていないが、2018年まで3年連続1位で、20年に「殿堂入り」を果たすほど取引件数は大きい。試着ができなくてもサイズ感が分かり、手に触れなくても購入しやすいのがその理由だ。これはGUやZARAが同様にランクインしていることからも分かる。

転売ビジネスに将来的な「得」があるのかが問題

二股の道
【画像出典元】「stock.adobe.com/fotogestoeber」

NintendoSwitch、PS5など、転売ヤーの買い占めで一般消費者の購入が困難になるケースは後を絶たない。世に「せどり」の本は大量に流通しているし、ノウハウを説くWebサイトも多い。仮に明日、あさってのお金に困窮しているならば、合法な限りは転売に手を出すのも致し方ないだろう。

ただ、これからのビジネスのカギを握るのは「個人としての圧倒的な信用」だ。YouTuberが分かりやすい例だが、これからの仕事で伸びていく「個人」が兼ね備えているのは「応援したいと思わせるかどうか」だ。各種配信サイトで活動するいわゆるライバーに人が「投げ銭」をするのは、人がライバーを応援しているから。また、有名人が運営する会員制オンラインサロンには、スキル習得はもちろん「応援」を目的に多くの人がお金を払って集まる。いずれも、圧倒的な信頼、信用をもとにお金を集めている好例だろう。

これらと比べ、転売ヤーが世に応援される存在になり得るとして受け入れられるとは思えない。

持っておくべきは在庫なのか、それとも人気・信用なのかー。不確定な世を生きる私たち20~30代が仕事で稼ぐ上で重視するべきなのは間違いなく後者だろう。日本の雇用はこれからますます流動的になっていく。そのときに私たちに求められるのは「個」としての信用や評価の高さだ。短期的な利益に迷わされず、長期的な視野で人生の「基盤」を築いていきたいものだ。

事故を起こしても2割は補償外、ウーバーイーツ配達者を取り巻く状況は

果たして携帯料金はどこまで下がる?菅政権誕生の若者への影響は