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子供の扶養、夫と妻どちらにつける方が得?/30代共働き夫婦相談

FPにききたいお金のこと 権藤 知弘

子供の扶養、夫と妻どちらにつける方が得?/30代共働き夫婦相談

30代女性会社員Wさんの相談

私たち夫婦は共働きです。現在、夫が2カ所でパート勤務をしていて国民健康保険に加入、私が会社員で社会保険に加入しています。以前は夫も社会保険だったので、子供の扶養は夫につけていましたが、夫の仕事が変わったため、子供3人の扶養をどっちにつけた方が得になるのか知りたいです。扶養控除について調べても仕組みがよくわからず困っています。

夫の収入は2カ所所得で総支給30万前後、私の収入は、歩合制の部分があり、総支給が16万~18万位です。子供は、17歳、15歳、13歳。これから高校、大学受験と6年ほどは続くので支出を抑えたいです。
子供の扶養は両方に別れても大丈夫です。どうか知恵を貸してください。

 

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国民健康保険の夫、社会保険の妻、子供の扶養はどっちに?

悩む夫婦
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扶養控除の金額で毎月の手取り金額も変わりますからWさんのお悩みごもっともです。
どちらが得かを判断するために、まずは扶養控除も含め給与からの控除の仕組みから見ていきましょう。また扶養の概念は税金だけではなく、健康保険制度にも関連しますのでそちらも確認していきましょう。

所得税・住民税など税法上の扶養に関して

給与明細には所得税や住民税の記載があると思います。

所得税
給与やそのほかの収入を全て合算し、各種の控除を行い算出された所得に対して税金が課されます。これが所得税です。

住民税
地方自治体が行政サービスを行うための原資として前年の所得に対して課される税金を住民税と呼びます。

さて微妙な言葉の違いなのですが、税金の制度の中では「収入」とは税金や社会保険料を引かれる前の金額を指し、額面収入・税込み収入などと呼ばれることもあります。その収入から会社員の人には勤務に伴う必要経費の概算控除として給与所得控除が定められています。この給与所得控除は給与の収入金額に応じて控除額が変わります。

所得控除はいくつか種類があり、主だったものを挙げてみます。

1.    基礎控除・・・誰でも対象になります
2.    医療費控除・・・主に年間10万円以上の医療費を使った場合
3.    雑損控除・・・災害や盗難で被害を受けた時など
4.    寄附金控除・・・ふるさと納税など
5.    生命保険料控除・・・生命保険に加入している場合、一定の金額を控除します
6.    地震保険料控除・・・地震保険に加入している場合、一定の金額を控除します
7.    配偶者控除・・・納税者と生計を一つにしている配偶者(所得が48万円以下)がいる場合に適用されます。いわゆる扶養の範囲でパートをしているようなケースです。
8.    配偶者特別控除・・・納税者と生計を一つにしている配偶者(所得が48万円以上)がいる場合に適用されます。例えば正社員・パート収入などの給与収入で配偶者の年収が103万円を超えている場合などが対象になります。
9.    扶養控除・・・納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。
10.    社会保険料控除・・・健康保険や年金保険料を支払った場合はその全額が控除されます
11.    小規模企業共済等掛金控除・・・iDeCoなどに支払った金額を控除します
12.    障害者控除・・・生計を一つにする親族の中に税法上の障害者に当てはまる親族が要る場合に一定の控除があります
13.    寡婦控除・・・夫と死別又は離別し再婚していなsい扶養親族がいる人などは一定の控除が受けられます。
14.    勤労学生控除・・・納税者地震が勤労学生でいくつかの要件を満たす場合、一定の控除が受けられます。

このようにいくつも控除があるので混乱しやすいのですが手順をシンプルに表現すると

①給与収入-給与所得控除額=給与所得
②給与所得-(各種の控除金額の合計)=課税所得金額
③課税所得に応じた税率を掛ける

これで納税金額が決まります。

日本の税制は超過累進課税制度をとっているので、所得が多ければ、それに応じて税率が上がり納税する金額が増えます。このことから今回のご質問のWさんのご家庭で考えると、収入は夫の方が多いようですので、所得税の面では夫が扶養する方が良いように思われます。

ただし扶養控除が利用できるのは16歳以上になりますので夫側に第一子と第三子、妻側に第二子という形で扶養に入れることでWさんの住民税を安くすることができる可能性があります。ここに関してはお住まいの自治体の住民税のルールを確認して判断してください。

健康保険上の扶養に関して

ティーンエイジの子供と両親
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もう一つの扶養は健康保険制度上の扶養です。Wさんのご家庭では夫:国民健康保険、妻:健康保険というように、加入している保険制度が異なっています。保険制度の内容の手厚さで言えば健康保険の方が有利です。

また、毎月の保険料に関しても健康保険は扶養する人数には影響を受けませんが、国民健康保険には扶養という概念がないため、世帯の人数が増えればその分の保険料が上乗せされます。そうなると、妻の健康保険に子供を加入させるというアイデアが出てきます。

しかし、健康保険に関しては「世帯で収入が多い方」「子供を別々の制度に分けることはできない」などの制限があり、Wさんが加入している健康保険組合に申請を出してみないと最終的に加入できるかどうかはわかりません。この点に関しては健保組合にご確認ください。

まとめ

扶養控除や健康保険上の扶養という考え方は、税金や社会保険料に直結するため悩むところです。ただ、どちらかというと今回のパターンでは税金よりも健康保険制度への影響が大きそうです。Wさんの加入されている健康保険組合に子供を加入させることができるか相談することをおススメします。

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