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実は貯めているアイツ、年収の何割を、そしてどうやって貯めているのか

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

実は貯めているアイツ、年収の何割を、そしてどうやって貯めているのか

今どきの20歳代、実はけっこう貯金をがんばっている

かつては、「20代は貯金なんかしないで、遊びなさい」なんて言う人がたくさんいました。稼いだお金はお酒やギャンブルに使い果たして、給料支給日前数日はカップラーメンで過ごすのも人生の経験だよとか、結婚するまで貯金ゼロでもいいんだ、というような感じです。

しかしながら、そういう発想は過去のモノです。ライフプラン1.0あるいは2.0の時代ならいざ知らず、ライフプラン3.0の時代にそんな生き方を真似する必要はありません。実際、20歳代の多くの人も感じていることのようです。

日本銀行に事務局を置く金融広報中央委員会では、毎年いろんな調査を行っていますが、単身20歳代の貯蓄額は平均106万円、中央値が5万円としています。

中央値というのは100人のデータがあったとすれば、50番目、つまり真ん中にいた人の数字のことです。平均値は超金持ちがひとりいるだけで大きく上に触れてしまうので、実態とズレることがあります。中央値も見ると本当の平均的実態がイメージできます。

しかし、「なんだ貯金は5万円か」と安心してはいけません。20歳代ではまだ貯蓄ゼロの人が45%もいるため、中央値も低くなってしまうからです。

あなたの近くにも、割とガッチリ貯金しているタイプの友人がいると思いますが、貯金額というのはなかなか教えてもらえないものです。そこで「貯めている人の平均」もチェックしてみましょう。

こちらは単身20歳代の貯蓄額が平均198万円、中央値80万円としています。ずいぶん数字は高くなりました。感覚的にいえば、しっかり貯めている人は「100万円くらい」を貯めているということです。

あなたはどうでしょうか?

貯蓄ゼロの人と、とにかく貯めている人の二極化傾向 あなたはどちらになる?

20歳代単身者のみんながきちんと貯金しているというわけではありません。「貯金ゼロの人」と「しっかり貯金をしている人」は二極化しつつある傾向が分かります。

20歳代単身世帯では金融資産ありと答えた人が54.8%、なしと答えた人が45.2%とほぼ半分に割れます。ただし、いつまでもこのままではありません。

30歳代になる頃には63.5%対36.5%と貯金しているほうが多数派になり、この傾向がそのまま40歳代以降も続きます。しかし貯金ゼロの人がゼロ%とはなりません。

これはつまり、20歳代の早い時期に「貯められる側」になっておかないと、ずるずると30歳代以降も貯金ゼロのまま年を重ねてしまう可能性がある、ということです。

そして貯金を頑張っている20代の人は、収入に占める貯蓄割合はかなり高く、なんと16%となっています。

この差は5年、10年と日々を重ねるごとにどんどん開いていきます。「貯められる人はどんどん貯め続ける」一方で、「貯められない人は貯金ゼロのまま、むしろ消費者金融などの借金が数十万円」という傾向が続いていくのです。

最初はあまり実感がないかもしれませんが、5年後、10年後には大きな差となってきます。年収400万円の15%相当が約60万円、これを22歳から30歳まで8年間貯めれば480万円です。これは大きな違いですね。

あなたが生きるライフプラン3.0の時代は、お金を借りることは簡単です。しかし、貯める側の人生にシフトしないと常に利息に追われる人生を送ることになるでしょう。

貯められないと困っている人のための2つのやり方

「貯めなきゃと思うんだけど、なかなか貯められない……」「毎月少しずつは貯めているけど16%の貯金なんか絶対無理!」と悩んでいる人には2つのヒントを紹介したいと思います。

それは「見える化」と「自動化」です。

家計を「見える化」してムダな出費をあぶり出す

まずムダを省きたいと思うのなら、何がムダな支出となっているかを見える化する必要があります。

家計の「見える化」は、なんといっても家計簿をつけることです。といっても、ライフプラン3.0の時代に紙の家計簿にレシートをセロハンテープでつけては電卓を叩くなんて時代遅れです。

過去にも紹介しましたが、家計簿はスマホアプリを活用することで、多くが自動記帳できます。銀行口座、クレカのアカウント、電子マネーなどを登録すれば、ほとんどのお金の流れが自動的に見える化できます。

1カ月もすると「何に、いくらお金が消えているか」が分かるようになります。

まず、「自動引き落としされている固定費」について「いらないサービスは解約」し「割安サービスがあるものは乗り換え」をしましょう。ここで月1万円浮けば、生活スタイルを変える事なく1万円貯められることになります。

次に、毎日の生活でも「より安い買い物をする」「いらない買い物は控える」を意識してみましょう。こちらは1日あたり170円くらいの節約をイメージすると、月5000円弱の貯金になる、といった感じです。

「見える化」してみると、なんでこんなに使っていたのだろう、という項目がきっと見つかります。ぜひ、1カ月単位でムダな支出を切り詰め、貯蓄原資を見つけ出してください。

貯蓄を「自動化」して銀行口座からお金を見えなくする

家計の「見える化」を通じて貯められる自信がついてきたら、次に貯蓄の「自動化」をしてみましょう。

なんとなく毎月預金残高が1万円ずつ増えていくなら誰も苦労はしません。世の中そうはうまくいかないものです。なぜならそこにお金があることが見えてしまうからです。

給与振込口座に残高があると、「お、まだ余裕があるから買い物してもいいかな」とついつい思ってしまいます。そんな自分を責める必要はありません。気が緩むのは当たり前です。

かといって自分でATMに行って、1万円をおろして、定期預金にしたり他の銀行に入金をするのは「手間がかかる」という時点で継続が難しくなります。面倒なことは誰だってサボりたいですし、おろしたお金をそのまま使えないところに預けるなんて誰だって悔しくてやりたくありません。

こういうとき、「貯めるお金は見えないところに隠す」ということと「貯める作業は自動化する」ということを一気にやってしまうことをおすすめします。

何も難しいことはありません。「積立定期預金」を設定するだけです。「指定日」「指定金額」を決めれば、普通預金のページからお金が消えて、定期預金のページに移ります。自動的に貯金に化けるわけです。

給与振り込み日の翌日などに設定しておけば、残高がまだたくさんあるタイミングに貯金をしておくので、あまり違和感なく貯金も実行できます(給料振り込み日前日に設定すると、貯蓄額を残して1カ月暮らすというストレスが溜まるので避けた方がいいでしょう)。

投資に興味がある人は「積立投資信託」の仕組みを使うと、指定した金融機関に引き落としされて投資に回すこともできます。基本的に手数料は無料です。

とにかく、給与振込口座(普通預金)のページからお金を自動的に隠すことがカギになります。

貯蓄目標、最初は10%から、できれば20%を目指せ

さて先ほどの「年収の16%」の貯金を実行したい場合、「毎月の給与から10%」「ボーナスから35~40%」を貯金するよう仕掛けを作ってみるといいでしょう。

仮に2.5カ月分のボーナスを年2回もらっている人であれば、年間17カ月分相当の給料をもらっていることになります。年収450万円の人の場合、このうち毎月の給与の10%相当がざっくり年間32万円程度、ボーナスから35%を貯めておくと年間46万円程度の貯金になり、年収ベースではざっくり17%くらいを貯めることになります。

毎月の給与から貯めるのが辛いという人は、ボーナスからできるだけ多く貯めておくのもいい方法です。

毎月の給与から15%以上を、ボーナスからは50%以上を貯められる人は、かなりのハイペースで貯金ができることになります。

2021年はまだまだ大変な年になりそうです。できれば日々の生活を改善して貯蓄癖をつけ、お金が増えていくようにしてほしいところです。