お金

リスク低め!初心者にも挑戦しやすい投資商品「債券」って?

お金をとことん増やしたい人のための 「資産運用」超入門 泉 正人

リスク低め!初心者にも挑戦しやすい投資商品「債券」って?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

そもそも、「債券」とは?

今日は「債券」について勉強していこう。

「債券」の「債」は、「負債」の「債」。なんだかリスク高そうだなぁ…。

笑。確かに「債」は「借金する」という意味を持つからね。そしてまさに、「債券」とは、資金調達をしようとする発行体が、投資家からお金を借り入れ、その際に発行する「借用証書」のようなもののことをいうんだ。

発行体って、例えばどんなところですか?

国や地方公共団体、会社などだよ。債券には、国や地方が発行する「国債」「公募地方債」、民間のものには会社が発行する「社債」などがあるんだ。

ちなみに先生、さっき「借用証書」の「ようなもの」って言いました?

そう。「債券」は、「借用証書」と違って自由に売買が可能だから、ここではあえて「ようなもの」と表現したんだ。

でも先生、「社債」は会社の資金調達方法の一種で、自由に売買が可能と聞くと、株式との違いがあまりないような…。

株式は、そもそも株式会社から「わが社の将来に期待して、お金を出してくれる人はいませんか」という要望に応じて投資するもの。だから会社は投資家から集めたお金を返す必要はないよね。投資家からすれば、投資したお金が返ってこない場合もあるということ。でもたとえば社債の場合は、あくまでもお金を貸しているだけなので、「償還日(しょうかんび)」や「満期」ともいう期日になれば、貸したお金は全額返却されて、満期までの期間、利子や利息を受け取ることもできるんだよ。

あれ?最初の印象とは裏腹に、債券ってちょっと安心感ありますね。

しかも発行される際には、あらかじめ一定の発行条件が設定される。投資家はこれらの条件を確認したうえで、債券を購入するかどうかを判断できるよ。

一度、買ってみたいなぁ。どこで購入できるんですか?

基本的には証券会社で売買できるし、国債などは銀行や郵便局などの金融機関でも購入できるよ。ちなみに新規に発行される債券を「新発債(しんぱつさい)」、その後資本市場で売買される債券を「既発債(きはつさい)」というのでこちらも覚えておこう。

それぞれ、どんな特徴があるんですか?

新発債の場合は、購入できる期間が決められているので、その期間しか買うことができない。債券として発行される金額も事前に決まっていて、その金額に達した場合は、購入期間中でも買うことができなくなるんだ。人気の債券は、販売開始してすぐに完売することもあるので注意が必要だよ。既発債の場合は、購入期間は決まっておらず、いつでも買うことができるけど、市場に出回る数量には限りがある。また、新発債も既発債も、証券会社によって取り扱っている銘柄や通貨が異なっているのも特徴かな。そして同じ通貨、同じ発行体の場合、債券の満期が長くなるほど、一般的に利回りは高くなる。

頭に入れておきます!

 

債券投資のコストって?

先生、債券投資のコストについても知りたいです。

債券の取引を行うには、大きく分けて2種類のコストが発生する。1つは証券会社に支払う各種手数料。これは発生しない場合もあるけどね。そしてもう1つは税金だ。それぞれ詳しく説明するね。まず「売買委託手数料」。さっき出てきた新発債は手数料なしで購入できるけど、既発債の売買取引については、取引形態によって売買手数料がかかる。

どんな取引形態があるんですか?

公社債の売買には、証券会社の店頭で投資家と証券会社とが相対で取引を行う「店頭取引」と、証券会社を通じて金融商品取引所に注文を出す「取引所内取引」があって、取引のほとんどが店頭取引によって行われている。また金融商品取引所に上場されていない債券は、すべて店頭取引により売買され、金融商品取引所に上場されている債券は、取引所内取引だけではなく店頭取引でも売買できるんだ。

店頭取引だと、確かに売買手数料は発生しますよね。

でも債券は株式と異なって、性質上、何度も売買するものではないので、売買手数料に関してはあまり気にしなくても大丈夫だよ。

そうなんですね。そして税金は?

債券投資の場合は、大きく分けて「利子」「譲渡益」「満期時の償還差益」に対して課税される。その年の1月1日から12月31日までに発生した利益に対して約20%の税金がかかってくるよ。

債券投資のメリット・デメリットは?

そして債券投資にもやっぱりメリット・デメリットがあるんですよね?

そうだね。まず債券のメリットは、購入後、一定の利子、クーポンとも言うんだけど、それを受け取れること。預貯金と比べて高利率なことが多いよ。そして満期日に額面金額が返ってくる。つまり元本が保証されているということ。

貸したお金がきちんと戻って、途中で利子ももらえるなんて、嬉しい商品ですね。

そうだね。安全性が比較的高いので、不況で株価が低迷しているときなどに買われる傾向があるかな。元本割れは絶対に避けたいと言う人に向いているといえる。

そんな債券投資のデメリットは?

債券は確かに安定した運用商品だけど、4つのリスクが考えられるよ。まず「価格変動リスク」。

わ~、やっぱり債券にも「価格変動リスク」は存在するんですね。

債券の価格は、金利動向や発行体の経営・財務状況の変化などによって上下する。償還日前に途中売却する場合、取引価格が元本を下回ってしまう場合もあるんだ。

これは、償還日まで持っておくことで回避できそうですね。

そして2つ目は「信用リスク」。債券の発行体が約束どおり利子を支払えなくなったり、債券の償還、つまり返済をできなくなったりする「デフォルト」が生じるリスクがある。デフォルトとは、債務不履行とも言われるよ。

それを回避するためにはどうしたらいいですか?

債券には、発行体の信用度を判断するための目安として「格付け」というものがあって、格付けの高い、つまり信用リスクの低い発行体の債券のほうが利回りも低い傾向にある。ただし利回りが高い債券ほど、元利金の支払が遅延したり減額されたりするデフォルトリスクも高まるので注意が必要なんだ。

格付け、しっかりチェックします。

3つ目は「為替変動リスク」。外国通貨など円以外の通貨で元本を払い込んで、外貨で利子や償還金を払うことを約束している「外貨建て債券」では、利子や償還金の受け取り時点における為替水準によって、円での受け取り金額が変わる。たとえば円安になった場合は為替差益を受け取ることができるけれど、円高になった場合は為替差損が発生してしまうんだ。

外貨建て債券なんていうのもあるんですね。覚えておきます。 

そして最後に「金利変動リスク」。一般的に、金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券の価格は上がる。また、満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を大きく受けるんだよ。

頭に入れつつ、購入を考えます!

債券は性質上、定期預金に近い特性を持っているので、投資初心者がはじめやすい金融商品だといえる。発行元が安全性の高い日本国債などでは、年間利回りが1%前後しか期待できないこともあるけどね。でも債券の種類と特性をしっかりと学び、利回りの違いと信用リスクをしっかりと分析することができれば、比較的安定した運用利回りが得られるようになるよ。一方、債券投資で10%などの利回りを狙うということは、デフォルトリスクが高くなるのでおすすめしない。

わかりました。欲を出さず、着実な投資を心がけます!

まとめ

「債券」とは、資金調達をしようとする国や地方自治体、会社などが、投資家からお金を借り入れる際に発行する「借用証書」のようなもので、それらを売買することを「債券投資」といいます。

「債券投資」では、期日を迎えれば貸したお金は全額返却され、満期までの期間、利子を受け取ることもできるため、リスクが低く、投資初心者がはじめやすい金融商品だといえます。

ただし、「債券投資」にもコストがかかり、メリット・デメリットも存在するので、購入前にはきちんと把握しておくことが大切。その上で、安定した利回りを目標に運用しましょう。

次回は、「不動産」について学んでいきます。お楽しみに!