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カット野菜、中食の活用は手抜き?フードロスの観点から考えてみると

山崎俊輔のライフプラン3.0時代を生きるルール 山崎 俊輔

カット野菜、中食の活用は手抜き?フードロスの観点から考えてみると

社会問題となっているフードロス問題

公共広告の社会啓発で「おむすびころりん1億個」というCMが大きな話題となりました。日本人ひとりあたり、おむすびひとつくらいの量の食品廃棄が出ている、という事実を昔話を使って説明したものです。

私たちは年間643万トンの食料廃棄物を出している、といわれてもピンときません。しかし、ひとりあたり毎日おむすび1つという分かりやすいイメージで訴えられるとハッとさせられます。

確かに、食べ残し、賞味期限切れの食材を私たちは日常的に捨てています。冷蔵庫に傷んだ食材をいれていて、ときどきまとめてゴミ袋に捨てている人もいるはずです。

ライフプラン3.0の時代に、こうしたフードロスと向き合う新しい考え方はないものでしょうか。

時短となってロスも少ないカット野菜やお惣菜

調理済みのお惣菜をスーパーマーケットで購入し、自宅で食べることを「中食」といいます。外食と自炊の中間というわけです。

お惣菜を必要な分だけ購入して食べれば、食べ残しや食材の余りがほとんど出ません。調理時間の短縮ができ時短にもなります。味の方もベテランの調理人が作ってくれるクオリティを自宅で楽しむことができます。

スーパーマーケットや地元商店街のお惣菜屋さんでは、まとめてたくさん作るため効率的に作られています。賞味期限切れの食材はほとんど出ていないはずです。

ウィズコロナの時代においては、お店での会食を控える動きがあったことから、しっかりしたレストランもテイクアウトに力を入れるようになりました。

これは高級店のお味を自宅で楽しみつつ、お店の存続をサポートすることにもつながります。時々、自宅での贅沢ディナーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

時短とフードロスの視点でみたとき、「カット野菜」という変化もあります。スーパーマーケットに行くと、カレーや肉じゃが、サラダなどに必要な複数の野菜を人数分まとめて、カット済みの形で小分けの袋にパックしたものが並んでいます。

ひとつひとつの野菜を買って、自宅でカットすると、余る部分がどうしても出てしまいます。あとで別の用途で使おうかなと冷蔵庫に入れて保管したものの、結局は萎びて捨ててしまうことが多いでしょう。もったいないことです。

カット野菜のパッケージならにんじん、大根、ジャガイモなど、必要な野菜が必要な量だけまとまっていますので、家庭内でのムダを大きく減らすことができ、かつ調理もパパッと行えます。

実は昔からある「冷凍食品」も、ロスが出ずに料理の時短が実現すると考えてみると、フードロスを減らしてくれる発明といえます。最近の冷凍食品は味もよく、バリエーションも増えています。これも上手に活用してみるといいでしょう。

調理セットの宅配サービスも人気

もうひとつ、時短とフードロスに結びつくサービスがあります。それは調理セットを宅配するサービスです。カット野菜だけではなく、お肉等も含めて食事を作る分をセットにして宅配してくれるサービスです。

わが家も調理セットを配達してくれるサービスを活用していますが、なかなか便利なものだと感心しています。

まず、「必要な量の食材を買う手間」がかかりません。そもそも外出しなくても料理セットが自宅に届くわけですから感染リスクを減らす意味でも有効です。フードロスもほとんどありません。

「調理方法」もシンプルにメモのとおり行うだけですから、男性でも難しいことはありません。実際、私は週2日はこのセットのおかげで夕ご飯担当をしています。お互いにフルタイムの共働きですが、このサービスにより分担ができているわけです。

そして、何より便利なのは「メニューを考える手間」が省けることです。メニューをどうするか悩むのは、見えない家事といわれるくらい大変なことです。しかし、調理セットのパターンをスマホで選択するだけで、週の半分のメニューが決まるなら、負担は大きく軽減されます。

子育て世帯にとっては「新しいメニューを試してみるチャンス」としても有効です。慣れているメニューを何度も繰り返していると、子どもの味覚を広げることができません。調理セットが新しい味を家庭に届けてくれるのです。

わが家はまだ子どもが小さいですが、調理セットのおかげでいろんなメニューにチャレンジできています。そのいくつかが子どものお気に入りとなれば、少しずつ味の世界が広がっていくわけです。

調理セットの宅配サービスは、コロナ禍で売上が急増しているそうです。ライフプラン3.0の時代の新しい「家庭の味」になっていくのかもしれません。

ていねいな暮らし、きちんとした生活という縛りから抜けだそう

野菜をちゃんと買って、自分で調理をすることが大事、ということは理屈としてはそのとおりです。ていねいな暮らし、とかきちんとした生活、というキーワードはもっともだと思います。

しかし、それが強迫観念のようになっている人をしばしばみかけます。それが「正しいこと」「当たり前のこと」だと思い込むあまり、プレッシャーとなっているわけです。

実は江戸時代から外食やテイクアウトはありました。江戸時代の町人たちは立ち食いのお寿司を楽しんでいたそうです。昭和の時代にも商店街ではお惣菜が売られていました。欧米でも、普通の人は忙しいときにはレンジでチンする食材で気にせず食事をしています。

お惣菜に代表される中食やカット野菜、調理セットの宅配サービスを活用することを恥ずかしがることは何もありません。

家族が気持ちよく食事をして、楽しく時間を過ごす、むしろそのほうを大事にしてみてはどうでしょうか。

ライフプラン3.0の時代の豊かさはそうした「心のふれあいの時間」にあるはずです。