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株式手数料無料化で最も恩恵受ける若年層、株取引はどうなる

経済とお金のはなし 山下 耕太郎

株式手数料無料化で最も恩恵受ける若年層、株取引はどうなる

【画像出典元】「Chayantorn Tongmorn/Shutterstock.com」

株取引の無料化が進んでいます。もっとも恩恵を受けるのは、これから株取引を始めようとしている若年層の初心者です。この記事では、株式手数料無料化によってどのようなメリットがあるのか、そしてどのように株取引を始めればいいのかについて解説します。

SBI証券が25歳以下の株式売買手数料を無料に

ネット証券最大手の SBI 証券は、2021年4月から25歳以下の顧客に対し、株式売買手数料を無料にすることを決めました。1日の取引金額にかかわらず、株式手数料を無料にするのは国内で初めてです。

SBI証券は25歳以下の顧客を対象に、現物株手数料をすべてキャッシュバックすることで、株式手数料を事実上ゼロにします。最初は25歳以下だけですが、対象となる顧客を段階的に広げ、2022年をめどに株式の売買手数料を完全無料にする予定です。

これまでは、現物株と信用取引において、1日の合計売買代金が100万円までは手数料が無料でした。ただ、信用取引の場合は手数料を無料にしても金利収入がありますが、現物取引は売買手数料以外の収益はありません。ですから、現物株式の売買手数料無料化によって、証券会社の収益減は避けられなくなるのです。

ただ、ネット証券の顧客は、売買手数料が少しでも安い事業者で取引をする傾向があります。SBI 証券の発表によって、岡三オンライン証券と松井証券も追随、5月から同様に株式取引手数料の実質無料化を決めました。

欧米では新興のネット証券が勢力を拡大

欧米では、新興のネット証券が売買手数料の無料化や格安化によって勢力を広げています。米国では、手数料無料化で個人の株式投資ブームを盛り上げた「ロビンフッド・マーケッツ」が、米国のナスダック市場に上場しました。

そして、イギリスで手数料無料化のサービスを手がける「フリートレード」が、2022年にも日本に進出する予定です。東京証券取引所に上場する国内株に加え、欧州の主要株式も取引できるようにするとしています。フリートレードは2015年の創業で、約80万人の利用者がいます。英国と米国の株式と上場投資信託(ETF)を取り扱い、ポンド建ての銘柄は手数料ゼロで取引できます。日本の株式市場にも手数料ゼロで、より優れたサービスを提供していく予定です。

海外勢の参入が進めば、証券会社間の競争は激しさを増すことが予想されます。これにより各証券会社のサービス改善が見込まれるので、これから株取引を始めようとする初心者にとっては、取引しやすくなるというメリットになるのです。

株取引を始めるならスマホ証券がおすすめ

スマホ証券
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これから株取引を始める初心者の人には、スマホ証券がおすすめです。代表的なスマホ証券として、「LINE証券」や「PayPay証券」があります。SBI証券や楽天証券などのネット証券もスマホでの取引ができますが、それらはパソコンでの取引をスマホでもできるようにしたものです。

一方のスマホ証券は、スマホでの取引のしやすさを一番に考えてアプリの開発をしています。つまり、スマホを使いこなす「スマホネイティブ」のための証券サービスといえるのです。スマホ証券のアプリは、「初心者でもどうすればスマホで株取引をしやすくなるのか」を考えて開発されています。

たとえば、アプリの機能やデザインがシンプルで初心者でも簡単に操作できたり、1株から株を買うことができる「単元未満株」に力を入れているスマホ証券が多いのです。とくに初心者におすすめなのが、単元未満株での取引です。

通常、株取引は100株単位で行います。しかし単元未満株での取引は、銘柄ごとに決められている一単元(100株)の株数に満たない取引ができるのです。たとえば、3000円の株式を100株購入すると、30万円の資金が必要になります(手数料や税金は考慮せず)。しかし、単元未満株を利用すれば1株単位で購入できるので、3000円の資金で株式を購入できるのです。

また、スマホ証券は単にスマホで株取引ができるというだけでなく、初心者でもスマホで簡単にアプリを操作できるハードルの低さが大きなメリットです。これまで株取引に興味があっても、操作が難しそうだから自分には無理と考えていた人でも、スマホ証券は簡単に株取引を始めることができるのです。

まとめ

株取引の初心者
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手数料無料化によって、株取引のハードルが下がります。ただ、手数料無料化になったからといって、頻繁に株式を取引することはお勧めしません。短期で利益を出し続けていくのは、プロの投資家でも困難だからです。株式取引の基本は、企業の業績を調べ、長期で保有できる銘柄を選ぶことです。

今後は、株式売買手数料を無料にする証券会社がさらに増えてくることでしょう。まずはLINE証券などのスマホ証券で1株単位の取引をして、株取引に慣れることから始めてみてください。