男性が取れる新・育休制度を確認、会社側も準備しないとアウト!?
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産休・育休について国、企業が主体となり年々取得しやすい状況になっています。ただし、男性についてはまだ積極的かつ長期的な育休を取得しにくいという状況にあるのが現状のようです。
職場の人に迷惑をかけてしまうのではないか?出世に影響するのでは?こういった考えが背景にあるようです。このような状況も踏まえ、より男性の育休取得を後押しするように2021年6月に法律が改正されました。そこで今回は男性側に目を向けながら育休制度全般、確認していきたいと思います。
男性の育休制度の現状は
男性の育児休業取得率は?
厚生労働省の資料(令和元年)によると2000年から2010年にかけて男性の育児休業取得率は1%前後で推移していましたが、近年では5%を突破、そして2020年度は12.65%に達するなど上昇傾向にあります。ただ、8割以上の女性が育児休業を取得していることと比較すると、まだまだ男性の取得率は低いといえます。また、取得した男性の約3割が取得期間が5日未満となっており、職場復帰を急ぐ傾向にあります。
男性は育児休暇取得したい?
「2017年度新入社員秋の意識調査」(公益財団法人 日本生産性本部)によると79.5%の男性が、子供が生まれた際に育休を取得したいと回答しています。このように、潜在的に育休を取得したいけれど取得できない。という人達が一定割合いると思われます。各種制度の理解、会社の配慮など今後も改善が必要のようです。
男性が取れる育児休業(育休)制度は?
では、そもそも子供が生まれる際に男性にはどのような制度が整備されているのでしょうか?男性も女性と同じく、原則子供が1歳(保育園に入れない等の事情がある場合、最長2歳)になるまで育休を取得することができます。夫婦どちらも育休を取得するためには、2つの制度が用意されています。1つが「パパ休暇」と呼ばれるもので、もう1つが「パパママ育休プラス」です。
・パパ休暇とは?
本来、育休は1回しか取得できませんが、男性(パパ)が女性(ママ)の産休中に一度育休を取得した際、もう一度別の機会に育休が取得できるという制度です。
厚生労働省HPより
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf
出産後すぐの大変な時期に1回、そしてママが職場復帰の準備をしたり、別のことに集中したりとパパの手助けを必要としている育児休業時に1回。こういった2回に分けて取得する方法が可能となります。「職場に迷惑をかけたくない」、「長く休むと出世に影響がでるかも」といった男性の考え方を踏まえた制度ですね。2回に分けることで長期間休むことなく、ママが大変な時にしっかり休みを取ることができます。
・パパ・ママ育休プラスとは?
両親どちらも育休を取得する場合、休業可能期間が「子が1歳になるまで」ではなく、「1歳2カ月に達するまで」に延長される制度です。
厚生労働省HPより
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169713.pdf
育休中に支払われる給付金(育児休業手当金)は180日間は1カ月分の給与支給額の67%となりますが、181日目以降は50%となります。そもそも産後8週間の出産手当金も給与支給額の約67%となっているため、例えば以下のような休み方をすると給付金の率が低下する影響を回避でき、世帯収入がそれほど下がりません。
・出産直後2カ月:ママが産休 ・産休後6カ月:ママが育休 ・2カ月+6カ月経過後、ママは職場復帰、代わりにパパが6カ月育休 |
上の場合、2カ月+6カ月+6カ月で14カ月となります。育休取得可能期間が「子が1歳2カ月に達するまで」に延長されることで夫婦それぞれが効率的に休むことができるのです。
男性の育休、今回どのように改正された?
2021年6月3日、改正育児・介護休業法が成立しました。これにより一段と男性の育休取得率の向上が期待されていますが、具体的にどのように改正されたのでしょうか?改正点のうち大きなポイントは「男性版産休」制度の創設です。
出生時育児休業(男性版産休)制度とは?
先ほどご紹介したように、男性は「パパ休暇」制度で出産後8週間以内に一度育休を取得することで計2回育休を取得することができます。この制度をさらに柔軟に利用できるようにと、原則分割不可であった出産後8週間以内の育休を2回に分けて取得できるようになります。これが出生時育児休業(男性版産休制度)です。
また、この休業中に事前に調整した上で就業も可能となります。よって、「周りに迷惑をかけるのでは」といったことを気にせず、柔軟に男性が“産休”を取ることが可能となります。また、もう一度取得することのできる育休も2回に分けて取得することができるようになります。
その他手続きや要件の緩和も行われることになっています。また、従業員数1000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。企業側も積極的に育休が取りやすい環境整備を行っていくことが期待されています。
でもやっぱり収入減が心配?給付金や社会保険料について
育休を取ることで長い時間妻子の傍にいることができますが、やっぱりその期間の収入について心配という人も多いのではないでしょうか?
これまでに紹介してきましたように男性が育休を取得した場合も以下のように育児休業給付金が支給されます。なお、今回は休業中に賃金が支払われないことを前提とします。
休業開始時賃金月額(賃金日額×30)×0.67(181日以降は50%) |
※休業開始時賃金月額の上限額は45万600円です。(令和3年8月1日。毎年8月に見直しがあります)
また、育休期間中の健康保険料と厚生年金保険料の支払いは免除されるため負担する必要はありません。しかも、厚生年金は「保険料を払っていた期間」とみなしてくれるため、その分、将来の年金額が減額されることもありません。こういった制度をきちんと理解していると、それほど収入減については心配しなくて良さそうです。