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初心者がはじめやすい資産運用「FX」ってどんなもの?

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

初心者がはじめやすい資産運用「FX」ってどんなもの?

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

「FX」ってどんなもの?

今回は、「FX」について学んでいこう。

小耳に挟んだのですが、「FX」は、初心者にとってもはじめやすい資産運用のひとつとか。本当ですか?

そうだね。その理由の一つに少額からでも始められることがあるよ。加えて、リスクを取ってでもスピードある資産形成を考えている人向けの商品でもあるんだ。

詳しく聞かせてください!

FXとは、「外国為替証拠金取引」のこと。まず、大前提となる「外国為替」とは、二国間の通貨を交換することをいうよ。海外旅行の時に、円をドルやユーロなど他の通貨に変えることをイメージするとわかりやすいね。「1ドル110円」といった通貨の交換比率は日々変化していて、FXではこの価格変動に着目するんだ。あとは「外国為替証拠金取引」という名前の通り、「証拠金」を預けて取引するのがFXの大きな特徴だよ。

証拠金は、以前学んだ「商品先物取引」でも登場しましたね。

その通り!証拠金は、FX取引における担保のようなものだね。FX取引業者によって異なるけれど、取引口座に証拠金を入れておけば、預けた金額の1~25倍までの取引ができるんだよ。FXが少額でも利益を上げられる理由はここにあるんだ。

25倍!!それはすごい。

そしてもう一つ、FXにある特徴が、「買い」と「売り」のどちらからでも取引が可能だということ。これも商品先物取引に似ているね。

確かに似てますね。

FXでは、FX取引業者から自分が持っていない通貨を借りてきて、売るという行為ができるんだ。そして、あとで安く買い戻し、借りていた通貨をFX取引業者に返却するという方法で、はじめの売値と買い戻しの価格差を利益にすることができるんだよ。

う~ん、わかるような、わからないような…。

たとえば、今後ドルに対して円高になると予想したとしよう。1ドル100円のときに、まずFX取引業者にドルを借りてきて、そのドルで日本円を買う。その後、円高になって1ドル80円のときに、持っている日本円でドルを買い戻し、借りていたドルを返すと、返差額として手元に20円が残りそれが利益として得られる。

はぁ~、なるほど。もし相場を予想することができれば、円安でも円高でも利益を獲得するチャンスがあるということですか!

FXのコストは?

コストについても知りたいです。

FXを行うには、大きく分けて2種類の投資コストが発生するよ。1つはFX取引業者に支払う取引手数料、もう1つは税金。FXの利益は、これらのコストを差し引いた金額になる。

なぜ取引手数料がかかるんですか?

実際の通貨の取引は外国為替市場で行われているので、一般の投資家が直接取引することはできないんだ。取引手数料は、その売買をFX取引業者に依頼する形となるため発生するもの。FXがすぐれている点は、この取引手数料が非常に安いこと。ほかの資産運用の取引手数料もそうだけど、通常の外貨預金と比べても大きく異なるんだ。近年では、FX取引業者間の競争が激化したことで、取引手数料を無料とするFX会社も増えている。だからコストとしては、ほとんど意識しなくていいと思う。手数料が安いので取引回数を多くすることもできて、そのぶん利益を出すことが可能なんだ。

ぜひ手数料無料のところで取引したいなぁ。税金はどれくらいですか?

その年の1月2日から12月31日までに発生したスワップポイント、売買差益から、取引手数料などを差し引いた金額に対して約20%課税されるよ。この場合には、確定申告による納税義務が生じるのでお忘れなく。

FXのメリット・デメリットは?

僕が思うメリットは、少ない資金でも大きな取引を行えそうだという点ですかね。

そうだね。FXで必要となるのは、総取引金額の数%程度の証拠金だけ。証拠金として預けた資金の何倍もの金額の外国為替取引が行えることを「レバレッジ効果」とも言うんだけど、これはFXの大きなメリットといえるよね。当然、総取引金額が大きくなると利益も大きくなる。一方で損失も大きくなることも忘れちゃいけないけどね。

そうか、大きく動かすと損失も…ここは気をつけないとですね。

加えて、投資資金を多く持っていない人が、為替相場が落ち着いている二国間の通貨で、スワップポイントだけを狙って高額の取引をするということも可能だよ。

スワップポイントで取引?どういうことですか?

スワップポイントとは、二国間の金利差のこと。たとえば、低金利の日本円を売って、日本円より高金利のドルを買うことで、そのスワップポイントを受け取れるんだ。スワップポイントは日々計算されていて、1日単位で受け取ることができる。仮に、自分の投資資金(証拠金)の10倍の取引を行なった場合、スワップポイントで2%分の利益が発生するということは、投資資金に対しては20%の利益が発生したということになる。ただし、為替相場が不安定な時にはおすすめできない。高金利通貨を売って、低金利通貨を買った場合は、逆にスワップポイントを支払うことになるからね。

あとメリットでいえば、取引できる通貨ペアが豊富だということ。FXでは、アメリカドル、ユーロだけではなくて、オーストラリアドル、イギリスポンド、スイスフランなど多様な通貨を取引できるんだ。総じて、日本円より金利が高いことが魅力だよ。さらに対円だけでなく、ドルを売ってユーロを買うといった外貨同士のペアで取引することも可能なんだ。

そんなFXのデメリットはどんな感じですか?

やっぱり、為替変動リスクがあること。為替差益を狙って外貨を買ったものの、その後円高になれば為替差損が発生してしまうよね。でもここではあえて、逆のリスクについても触れておきたい。この為替変動リスクを恐れて外貨投資をしないのも、実は大きなリスクだということ。

それは、いわゆる資産を日本円でしか所有していないリスク、日本円でしか投資しないことによるリスクですか?

そう。日本は原油や食料品など、資源の多くを海外から輸入しているよね。当然、輸入する原油や食料品の価格は、為替の影響を受ける。つまり、円安になったときには、輸入品の価格が高くなってしまうんだ。円安で国内のものが高くなったときに、資産を日本円でしか持っていなかったら、相対的に資産の価値が目減りしてしまう。そのような事態に備えて外貨投資をしていれば、資産価値の目減りを避けられた、ということもあるんだよ。

基本的な資産運用法と目指せる成果は?

FXが、初心者でもはじめやすい資産運用の代表例だということが分かったかな?

①取引の仕組みがシンプル、②投資対象の銘柄種類が多すぎない、③手数料が安い、④スワップポイントがある、と考えるとそう言えそうですね。

そうだね。これが、以前紹介した「商品先物取引」を行う前に、まずはFXを推奨した理由でもあるんだ。もちろん、自分の資金以上に多くの金額を取引することができるので、リスクはあるけれど、リスクを取ってでもスピードある積極的な資産形成を考えている人には効率的な方法ともいえるよ。為替相場には、通貨どうしの相関関係、逆相関関係も存在するので、リスクをコントロールしながら利益を積み重ねることも可能なんだ。

これは早速挑戦してみたいです。まずはどの通貨から始めようかな…。

通貨として比較的安全なドル、ユーロ、円を中心にレバレッジをかけながら運用してみては? 20%の利回りを目指すこともできると思うよ。

アドバイス、ありがとうございます!

まとめ

相場を予想しながら通貨の「買い」「売り」を行い、円安でも円高でも利益を獲得するチャンスが得られるFX。少ない資金で大きな取引が行え、取引手数料も非常に安いため、多くの人がチャレンジしやすい資産運用法といえます。

為替相場の変動により保有する資産の価値が変動するリスクもありますが、資源の多くを海外から輸入している日本にいる私たちにとっては、資産を日本円でしか持ってない方がリスク。外貨投資をしていれば、資産価値の目減りを避けられる可能性も大いにあります。

まずは比較的安全な通貨のドル、ユーロ、円を中心にレバレッジをかけながら運用し、20%の利回りを目指しましょう!

次回は、「その他の資産(未公開株、美術品、太陽光発電システム投資)」について学んでいきます。お楽しみに!