1円入金で110円!?手数料改悪のゆうちょ銀行で損しない方法
監修・ライター
全国津々浦々に支店があり、郵便局ATMであれば休日・平日を問わず全時間帯、無料で利用できるゆうちょ銀行。駅やショッピングセンター、ファミリーマートの提携ATMでも、無料で利用できます。この点に大きな魅力を覚えて、ゆうちょ銀行をメインバンクとして利用している方も多いのではないでしょうか。
しかし、ゆうちょ銀行は2022年1月17日より、一部規定の改定を発表。大きなメリットであったATM手数料を含むいくつかの内容が改定、利用者側からすれば「改悪」されることになりました。
ゆうちょ銀行のATM手数料はいくらになるのでしょうか。今からできる対応策とともに紹介します。
提携ATMでの手数料が有料に
ゆうちょ銀行の代表的なメリットに、駅やショッピングセンターなどに併設されているATMやファミリーマートのATMが、休日・平日、時間を問わず無料で利用できる点があります。これは他行にはない、ゆうちょ銀行ならではのメリットです。
今回、この部分が改定されます。無料で利用できるのは以下の時間帯だけで、それ以外は引き出しにも、預け入れにも110円の手数料がかかってしまいます。
【手数料無料時間帯】
・平日8時45分~18時
・土曜日9時~14時
なお、郵便局やゆうちょ銀行のATMはこれまで同様、24時間365日無料で利用できます。
最大の改悪!硬貨の預け入れが有料になる
今回行われる、ゆうちょ銀行の規定改定の中で、最もインパクトのあるものが、これまで無料だった硬貨での預け入れが有料になる点です。手数料の料金は、ATMか窓口か、さらに硬貨の枚数によって以下のように変動します。
●ATMの場合
25枚まで=110円
50枚まで=220円
100枚まで=330円
●窓口の場合
50枚まで=無料
100枚まで=550円
500枚まで=825円
501枚~1000枚まで=1100円
以降500枚ごとに550円加算
現実的ではありませんが、計算上はATMで1円の硬貨を入金するのに110円の手数料がかかってしまう計算になります。日々、硬貨が商売に必要な小売業や飲食店の方、小銭貯金をしている人は特に注意が必要です。
さらに、電気料金などの公共料金の支払いを郵便局で行っている方は、この機会に払込み方法を見直すことも考えてみてはいかがでしょうか。現金での払込みや「ペイジー」での支払いの場合にも、新たに手数料が設けられたのです。通帳やキャッシュカードでの支払いの場合はこれまで通り無料ですが、現金での払込みは110円の手数料が必要になります。
ゆうちょ銀行が手数料を値上げした理由
利用者にとって、デメリットしかない今回のゆうちょ銀行の規約改定。なぜ、このタイミングで、ゆうちょ銀行は評判の悪くなることが容易に予想される改定に踏み切ったのでしょうか。
利用のメリットが失われて顧客流出の可能性もありますが、それでも踏み切らざるを得ないゆうちょ銀行側の理由があります。それは、年々厳しくなるゆうちょ銀行の経営環境です。
ゆうちょ銀行の預金・貸出金・有価証券利息などの収支「資金利益」は、2020年度が9618億円。2017年度の資金利益は1兆1756億円でした。たった3年で銀行の大きな収益の一つが2000億円以上失われてしまったわけです。しかもこの傾向は、今後ますます顕著になっていくと考えられています。
さらに、1台のATMを維持するには、月額約30万円の維持費がかかります。今後、資金利益の増大が見込めない中、経費を賄うためにゆうちょ銀行は顧客流出のリスクを冒してまで、今回、手数料の値上げに踏み切ったわけです。
手数料値上げの対策はある?
今回のゆうちょ銀行による手数料値上げには、利用者側が利用方法を工夫するしかありません。たとえば、これまで買い物に行くたびに、スーパーのATMでちょこちょこ現金を引き出していたという方の場合、郵便局かゆうちょ銀行のATMで月ごとにまとまった金額を引き出すという方法が有効でしょう。
また、現在、小銭貯金をしている方は、2022年の1月16日までに全額を口座に入金することをおすすめします。1月16日までであれば、硬貨の預け入れは無料ですが、翌日以降、枚数に応じた手数料がかかってしまいます。枚数によっては、ただ入金するだけに1000円以上の手数料がかかってしまうこともあるでしょう。
また、これまで手続きの面倒くささから、各種公共料金の引き落とし手続きを行っていない方は、この機会に引き落とし手続きを行ってみてはいかがでしょうか。
いずれの方法にしても、利用者側からすれば不便になりますが、これまで通りに利用していると、大きく損をしてしまいます。1回の手数料は110円と少額ですが、100回引き出しや預け入れをした場合、手数料だけで1万円そして、「今回の改定でゆうちょ銀行のメリットがなくなってしまった」という方は、月ごとに数回であれば手数料無料で利用できるネット銀行などに乗り換えるのも手でしょう。以上になってしまいます。こうした損をしてしまわないために、できる対策から取っていきましょう。