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「お金の地図」があれば、資産運用の達成率はグッと高まる!

お金をとことん増やしたい人のための「資産運用」超入門 泉 正人

「お金の地図」があれば、資産運用の達成率はグッと高まる!

そろそろ資産運用を始めてみたいと思っているみなさん。ようこそ、泉先生の「資産運用 超入門」講座へ。

この講座は、「お金をとことん増やしたい!」と考えてはいるものの、「まだ何もはじめていない」、「何からはじめていいかわからない……」という人に、自分に合った資産運用法を見つけ、実際に行動に移せる力を身につけてもらう講座です。

資産運用の方法をマスターできれば、夢や目標をかなえたり、老後にゆとりを持って暮らしたりするための資産を自分でつくることができるように。さぁ、心もお金も豊かに、自分らしいライフスタイルを楽しめる人生をここから手に入れましょう!

旅と同じように、お金にも地図を!

「PECDメソッド」の「P」は、「計画」の「P」でしたよね。

そう。最初に大切なのは「計画」すること。資産運用が必要だと思って、いきなり株を買ってもうまくいかないのは、そこに計画がないからなんだ。たとえば旅行で考えてみると、初めての土地を訪れるとき、ほとんどの人は地図やガイドブックを持っていくよね。初めての土地で地図がなければ、目的地にたどり着くことが困難なばかりか、道に迷ってしまうこともある。

「人生」という道にも地図があればいいなぁ。初めて歩む道なのに。

だよね。人生においても、道に迷わずに目的地に着くためには、地図があれば良さそう、ということになる。さらにお金についても同じことが言えて、ここで地図のような役目を果たすのが「計画(P)」なんだ。いまどこにいて、どこに向かっていて、どの方向に、どんな速さで進めばいいのかを知るためのものだよ。「なんとなく将来のお金が不安……」という状態で、毎月コツコツ貯金をしている人はたくさんいるけど、貯金をしても、不安は消えないという人が多いでしょ。

そうですね。

そういう人たちも、このお金の地図があれば、やみくもに不安になることがなくなると思う。その目的地に到着するために、地図を見ながら計画を立て、着実に進んでいけばいいのだから。

つまり、お金の地図を見ながら計画を立てると、将来の不安が取り除かれて、いま何をするべきかが明確になる、ということなんですね。

そう。お金の地図は、僕たちが生きていくうえでの重要な要素の1つである「お金」について、明確な答えを出してくれる道標となるもの。その地図を見て、進む道を決めること、それを「計画」というんだよ。

その「計画」を立てるのに、何かコツがあったりするんですか?

もちろん。まずは、この「P」、つまりPLAN(計画期)に行うべき要素を、次の3つに分けて見ていこう。

お金の地図上で自分の現在地を知ろう

まずは「現状を把握する」ですね。

そうだね。現状把握は、「地図上の現在地を把握する」こと。まず自分がどこにいるのかを把握することが大切で、その位置を2つの側面から見てみるんだ。実際の地図の上では、緯度と経度で現在地を把握するけど、お金の地図上では、「年間貯金額」と「純資産額」で現状を把握する。

「年間貯金額」と「純資産額」ですか。

まず「年間貯金額」は、収入額ではないことを覚えておこう。収入額というのは、仕事などからの年間収入を指すもので、ほとんどの人はおおよその金額を把握しているよね。

はい。

でもこの地図で必要なのは、収入から生活費などを引いたあとの「年間貯金額」なんだ。面白いのは、収入が高いほど有利というものではないということ。収入が多い人ほど、家や車や生活コストがかさんで、ほとんど貯金ができないという状況に陥りがちだからね。逆に、収入はそれほど多くなくても、管理がしっかりしている人は、年間貯金額が高くなる。

「年間貯金額」、きっちり出すのにはちょっと時間がかかりそうだなぁ。

おおよその金額を把握していれば大丈夫。世界地図のなかで自分の位置を把握するようなものだから、1円の単位まで把握する必要はなくて、万単位での把握で十分だよ。

よかった。それなら大体、把握できます。

少し難しいのが「純資産額」かな。純資産額というのは、自分の持っている資産額から、借金を引いた差額を指すんだ。たとえば、資産の代表的な「貯金」が100万円、借金がゼロなら、純資産は100万円。貯金が300万円あっても、返済が必要な奨学金、つまり借金が100万円あれば、純資産額は200万円となる。

マイホームを持っている人は、ちょっとわかりづらそうですね。

いやいや、算出の方法はとてもシンプルだよ。「そのマイホームを今日売却するとしたら、いくらで売れるか」を資産額として、現在の借金の残額を引くと、純資産額が出てくる。

なるほど。

そしてこの純資産額は、資産運用のうえでは「元手」として、運用資産のベースとなるのですごく重要。もちろん、多ければ多いほどよいけれど、まだ少ないという人でも、この「PECDメソッド」のとおりに実行していくだけで資産は増えていくので、安心してね。

ほっ(笑)。

現在地を把握したら、次に定めるのは目的地

現在地がわかったところで、PLAN(計画期)で行うべき要素その2は「目標を設定する」ですね。

そう。「どこに行きたいか」という目的地を、数字で表すこと。この目的地は、「将来の純資産額」「いつ到着するか」の2つで把握していくよ。まず「将来の純資産額」は、P1での純資産額が理解できていたら、比較的簡単にイメージできると思う。

たとえば、「老後は2,000万円必要だ」とか、「1億円の財産を築きたい」というようなものですか?

そうだね。この目標である「将来の純資産額」は、人によってさまざまだし、将来、生活する場所によっても変わってくる。都心であれば、コストがかかるので多少多くのお金が必要だけど、田舎暮らしであれば生活コストが低いから、少額でも大丈夫かもしれない。

将来の生活イメージまで考えたうえで、いくら必要になるかという目標設定を行うということですね。

もし、うまくイメージができないという人は、一般的にいわれている「最低限の生活であれば、老後資金は2,000万円必要」「たまに海外旅行に行くような少し豊かな生活であれば、5,000万円必要」というのを目安に決めてもいいかもしれないね。

「将来の純資産額」が理解できたところで、もう1つの「いつ到着するか」は、どういうことですか?

お金の地図上では、目標とした「将来の純資産額」に到着するまでの期間となる。たとえば、目的地である「将来の純資産額」を5,000万円と設定したのなら、それを達成するのが1年後なのか、10年後なのか、30年後なのかを決める、ということだよ。

「定年になる30年後」とか、「早期リタイヤしたいから10年後」という感じでいいのでしょうか?

そうだね。これもイメージできないという人は、定年退職の1つの基準となる「65歳」までの期間を設定してみよう。

目的地までは、どうやってたどり着く?

そして、3つ目の要素、「P3」が「目標の達成手段を知る」ですね。

P1で現在地が分かり、P2で目的地と期間がわかったら、最後は「その目的地(目標金額)までの到着方法(達成手段)を知る」というステップとなる。たとえば、旅行でも目的地が現在地の近くにあって、時間的に余裕もある場合には、ゆっくり徒歩で目的地に進むのが一番安全でよい、ということが考えられるよね。でも、目的地が走りつづけても到着しないくらい遠い場合には、車や新幹線などの乗り物が必要となるのがわかるはず。

つまり、現在地からスタートして、いつまでに目的地に到着しなければいけないかがわかると、時速10kmで到着する目的地なのか、それとも時速300km必要なのか、など「そこに到着するまでのスピード」が見えてくるということですね。

そのとおり。じゃあ実際の資産で見てみようか。先ほどの例で、「資産の代表的な『貯金』が100万円、借金がゼロで、純資産100万円」だったとする。その人が、「20年後に2,000万円」という目的地を設定した。その目的地に到着する方法は、次の2種類で考えていくことになる。なんだかわかる?

1つは「貯金」ですよね。

そうだね。では今後20年間で、いくら貯金できる(積み立てできる)のかを見ていこう。たとえば、毎年50万円貯金できるとしたら、20年間で1,000万円となる。現在、純資産100万円があって、20年間で1,000万円貯金ができるとしたら、金利収入を考えなくても20年後には1,100万円の純資産が構築できることがわかるよね。

でも、目標としている2,000万円には900万円足りませんね。

その900万円をどのようにつくるか、それが「資産運用」なんだ。

なるほど!そういうことですね。 

この資産運用の考え方は、「今あるお金(元手)に、お金を稼いでもらう」というもの。たとえば、100万円のお金が毎年45万円稼いでくれたら、20年で900万円増えて「元手100万円+貯金分1,000万円+資産運用での増加分900万円」となり、「20年後に2,000万円」という目的地に到着できることが見えてくる。そしてこの、「100万円のお金が毎年45万円稼いでくれたら」、というのが、「到着までのスピード」になるんだ。

スピードかぁ。ちなみに僕たちが移動する時って、1時間あたりの移動距離を「時速(km)」で表しますよね。

お金が増える際のスピードは、1年あたりの増加率を「利回り(%)」で表すんだ。

利回りで。へぇ~。

先ほどの例でいうと、100万円が年間45万円増やすということで、「利回り45%」と表現される。この利回り45%が高いか低いかについては、今まで学んできた個別の資産運用ガイドの回でもある程度理解できたと思うけど、ここでは、「利回りとは、お金が増えるスピードである」という考え方だけ理解しておけば大丈夫。そして、個別の資産運用ごとに、ある程度目指せる利回り(スピード)は決まっているということも覚えておこう。

資産運用ガイドの回も、もう1回、おさらいしておこう。

では、ここでクイズ。「20年後に2,000万円」という目的地設定をして、さらに「毎年同じく50万円の貯金ができる(積み立てできる)」人がいるとする。でもその人は、「現在の貯金が500万円」である。その場合、「利回り」というスピードはどのようになるだろう?

ええっと……。さっき、目的地までに到着する方法は、2種類で考えていくと教わって、1つめは「貯金」でしたよね。今後20年間でいくら貯金できるのか。まず、この人は毎年50万円貯金できるので、20年間で1,000万円の積み立てができます。それで、現在、純資産500万円があって、20年間で1,000万円貯金ができるとしたら、金利収入を考えなくても20年後には1,500万円の純資産が構築できることになる。すると、目標としている2,000万円に、500万円足りないことがわかる。その500万円を資産運用で、どのようにつくるかを考えていく、ということですね。

K くん、いいね。その調子!

今ある元手、500万円のお金が毎年25万円稼いでくれたら、20年間で500万増える。つまり、「元手500万円+貯金1,000万円+資産運用での増加分500万円」で、合計2,000万円となり、目的地に到着できる。その際の「お金の増えるスピード」である利回りは、25万円÷500万円なので、5%となる!

ご名答!ちなみに先ほどの「20年間で、元手100万円で900万円増やす」のは、利回り45%で、スピードにたとえると、時速45kmのようなもの。一方で、「20年間で、元手500万円を500万円増やす」となると、利回り5%、つまり時速5kmとなり、到着までの手段がまったく変わることが見えてくるよね。

あぁ~、確かに。

当然ながら、利回り(時速)が低ければ低いほど、選択肢はたくさんあって、そして実現の可能性も高まってくるよ。

到着までの時間と金額を把握することで、そこに到着するまでのスピード、利回りがわかるというのが、この計画期で最も大切なポイントになるんですね。

そう! 結論としては、「できるかぎり多くの元本で、できるかぎり多くの積み立てを行い、できるかぎり長い期間、できるかぎり高い利回りで運用すること」。この基本ルールのもとに、資産を最大限増やしていこう!

はい!

まとめ

初めての土地に旅に出るとき、ほとんどの人は地図やガイドブックを持って出かけます。地図がなければ、目的地にたどり着くことが困難なばかりか、道に迷ってしまうこともあるからです。

つまり、人生やお金においても、道に迷わずに目的地に着くためには、地図を用意すべきだということ。

そして、その地図を作るためには「計画(PLAN:P)」が大切で、計画を立てるためには、「現状(現在地)を把握する」、「目標(目的地)を設定する」、「目標の達成手段(到着手段)を知る」の3つの要素が不可欠です。

これら3つの要素を把握して、地図をつくり、計画を立てることで、到着までの時間と金額が明確になり、到着するまでのスピード、つまり利回りが浮かび上がってくる。それを知ることが、この計画期において最も大切なポイントです。

次回は、「PECDメソッド」の「E」・「EXPERIENCE期」と、「C」・「CONCENTRATION期」について学んでいきます。お楽しみに!